この記事は、艶消し塗料のメリット・デメリット【艶と寿命】を解決する方法という記事と、ケイカル破風板を艶有り塗料で塗るべき理由という記事の解説の意味で書きました。
塗料の艶と寿命について考えた時に、なぜ艶消し塗料の寿命が短くなってしまうのか?という部分を理解しようとすると、その成り立ちや作り方が分からないとピンと来ないのではないかな?と思ったからです。
※ちなみに、内装用の塗料には最初から「艶の無い=艶消し塗料」として作られるものもありますが、この記事の内容は外部に使う塗料の話です。
※内装用塗料には雨や直射日光が当たらないので、塗料の寿命(耐候性)は考えられていません。
艶有り塗料の艶を落とす方法
艶有り塗料の艶を落とすには艶消し添加剤を入れる事で対応します。
艶有り塗料の艶を落とすことを「艶調整」と言い、艶調整をするには下記の2つの方法があります。
- メーカーで艶調整を行う
- 現場で職人が艶調整を行う
メーカーで艶調整を行う
メーカーでは艶を落とす分だけの「艶消し添加剤」を塗料に入れて出荷するのです。
メーカーで調整できる艶の種類
塗料の艶調整の段階は最大で以下の5段階です。
全艶有り | 7分艶有り | 5分艶有り | 3分艶有り | 全艶消し |
塗料によって出来る艶の区分は違うので、塗料のカタログはきちんと確認しておきましょう。
メーカーで艶調整を行う油性塗料の例
日本ペイント ファインウレタンU-100
日本ペイントの塗料で艶調整を行う場合の注意点
- 「3~7分つや有り仕上げ」の場合、上塗りの1回目に「つや有り」、2回目に「3~7分つや有り」を使うこと
- 艶調整品では、はけ、ローラーでの塗装はむらが出やすくなりますので、スプレー塗装が推奨です
- 艶調整品では、塗り継ぎや補修でつやむらが出やすいので、面を区切って1面ずつ塗装をすること
- 艶調整品は、使用中にも塗料液が分離しやすい場合があるので、適宜かくはんしながら使ううこと
- JIS K 5658 表示対象品はつや有りのみ
メーカーで艶調整を行う水性塗料の例
エスケー化研 水性セラミシリコン
エスケー化研の塗料で艶調整を行う場合の注意点
- 艶調整品(艶有り以外の半艶・3分艶・艶消し)は、膜厚や色目、塗回数、希釈率の差などにより、被塗物の形状、実際の艶と若干異なって見える場合がある
- ローラー塗装時に塗継ぎ箇所で艶むらを生じやすい傾向がある
- 濃い色目になると刷毛・ローラー塗装時に塗継ぎ箇所で艶むらを生じやすい傾向に有るので注意する
- 試し塗りの上本施工に入ること
現場で職人が艶調整を行う
塗るのに必要な量の塗料の艶を調整したい時に使います。
※メーカー出荷の艶調整品塗料とはつやの状態が異なります。
艶消し添加剤とは
外壁塗装の現場では小面積で違う塗料や色・艶の違った塗装が必要になるケースも多くなって来ました。
外壁全部を塗る時にはメーカーで調整をした「艶調整品」をオーダーが可能ですが、小面積の塗装では一斗缶で買うにはロスが多すぎます。
艶消し添加剤で少量の艶調整塗料を作ることで、メーカーに発注する時間的ロスや不要な在庫削減や廃塗料の削減に繋がります。
現場で艶調整を行う艶消し添加剤の例
日本ペイント 1液ファインウレタンU100フラットベース
- 現場でのつや調整に使用します
- 塗料用シンナーAで希釈できるタイプの上塗り塗料に適用できるつや消し剤です
- 計量に便利な計量カップも付いています
艶消し添加剤の入る量
艶有り塗料に艶消し添加剤を入れて艶調整を行う方法は、の分量は日本ペイントの油性塗料用の艶消し添加剤1液ファインウレタンU100フラットベースのデータによると、下記のようになります。
全艶有り | 7分艶にする場合 | 5分艶にする場合 | 3分艶/艶消し | |
---|---|---|---|---|
1液タイプ 白/淡彩色 | 0% | 2% | 5% | 出来ません |
1液タイプ 中彩/濃彩色 | 0% | 5% | 10% | 出来ません |
2液タイプ 白/淡彩色 | 0% | 5% | 10% | 出来ません |
2液タイプ 中彩/濃彩色 | 0% | 6% | 12% | 出来ません |
- 油性塗料の場合、艶消し添加剤は最大12%を入れる事で5分艶消しにする事は出来る
- 12%以上は入れてはいけない
- 艶有り塗料から現場で艶調整を行う場合、5分艶までしか艶を落とせない
日本ペイント 1液ファインウレタンU100フラットベースで艶調整を行う場合の注意点
- 使用前に容器をよく振ること
- フラットベースは塗料では無いので、そのまま塗装はしない
- 希釈は必ずフラットベースを混入後に実施すること
- フラットベースを使用後の塗料の希釈量は適宜変わるので注意すること
- 弾性塗料の上塗りには使用できない
- ふた付近に添加剤が粉化した固形物が付着しやすいので都度拭き取ること。取り除かずに塗料に入るとブツブツの原因になる
- つや消し剤の混入量は、調整表を目安にし、正しく計量すること
- 下地、塗付量、塗装条件、色相によりつやの落ち方が異なるので、実際に試し塗りをして艶の程度を確認してから塗装する
- フラットベースと弾性添加剤の併用はできないので注意すること
エスケー化研 SKつや消し剤
- 艶有りの弱溶剤形塗料に添加することで最大30%艶まで艶を落とすことが可能
- 更に現場で簡単に計量できるよう専用の計量カップ付き
- 弾性系やクリーンマイルドフッソには使用不可
艶消し添加剤の入る量
エスケー化研 SKつや消し剤で艶調整を行う場合の注意点
- 弱溶剤形塗料専用の艶調整ペーストなので単独では塗装できない
- 弱溶剤形塗料専用なので、水性塗料、弾性塗料ほか指定製品以外では使用しない
- 主な適用製品はエスケー一液NADウレタン・エスケープレミアムNADシリコン・クリーンマイルドウレタン・クリーンマイルドシリコンなどの弱溶剤系塗料です
- 本製品を JIS 製品に使用するとJIS適用外となるので注意すること
- 使用前に容器の口に付着したつや消し剤を取り除くこと
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【塗料の種類・色選び】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。