知らないと怖い?Vカット・Uカット工法の間違いとは

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知らないと怖いVカット・Uカット

この記事では「Vカット・Uカット補修」についての間違いや誤解について解説します。

ネット記事の多くには下記のような文章が書いてあります。
ただしこれには「誤解が含まれがち」なので注意が必要です。

※わざと取り消し線を入れています
「3㎜以上のヒビ割れは構造クラックの恐れがあるので、Vカット・Uカット補修の必要がある」

ネット検索で上位にあるページに正解が書いてあるとは限りません。
なぜならGoogleには外壁塗装の知識は特に無いからです。

今回はとても誤解を生みかねない情報ですから、最初に結論を言います。

「Vカット・Uカット」は木造モルタル外壁のヒビ割れ(クラック)補修には適していません。
その理由は、鉄筋コンクリートや木造の基礎部分用の補修工法だから、です。

多くの情報には「モルタル外壁にもVカット・Uカット補修を行う」と思えるような記載があります。

よく分かっている職人さんが「例外だが気を付けて行う」なら差し支えないかもしれません。

しかし記事内容を読んでみると、いかにもその工法を行う方が「丁寧な補修方法」だったり「よく知ってるプロっぽい情報」のように書いてあります。

真実は逆で、よく知らない人が「見よう見まね」で覚えた知識が流通しているだけなのです。

本当は誤解?一般的に正解だと思われているVカット・Uカット工法

一般的に正解だと思われているVカット・Uカットの工法は以下のようなものです。

木造モルタルと鉄筋コンクリート外壁のVカット・Uカット補修

基本的には間違っていないのですが「木造モルタル外壁」には適していません。

  1. 0.3mmを超えるヒビ割れは「構造クラック」の可能性が有るので、Vカット・Uカットをする
  2. ヒビ割れに沿って電動グラインダーなどでクラックに沿って溝を掘る(Vカット・Uカット)
  3. 溝にプライマーなどの下塗りをする
  4. 溝をシーリング材や樹脂モルタルで埋める
  5. 乾燥後、補修部分と既存外壁の段差を減らすため、カチオンモルタルなどの補修材で平らにする
  6. 周囲の既存外壁に合わせ、補修跡を目立たなくするために外壁の柄合わせ補修をする

「Vカット・Uカット」は鉄筋コンクリート用の工法

鉄筋コンクリート外壁のVカット
鉄筋コンクリート外壁のVカット・Uカットの工法

上記の「Vカット・Uカット」工法は、鉄筋コンクリート用の工法です。
だから、木造モルタルには適していないのです。

ネット上で同様の書き込みをしている方もいたので引用しておきます。

この作業はRC造などコンクリートやモルタルにしっかりと厚みがある時にする施工方法です。
<中略>
住宅で行うときは浅めにカットできる機械等を使用してコーキングも外壁面よりいくらか下げ気味に仕上げて塗装をやや厚めに塗装するなどの施工配慮ができないときはVカットやUカットでの施工はお勧めしません。

外壁クラック補修で「Vカット」という行程は何故するのでしょうか?(Yahoo!知恵袋より)

Vカット・Uカットが木造モルタル外壁に適していない理由

Vカット・Uカット-木造モルタル

上の引用文にもありましたが、そもそも鉄筋コンクリートの厚みは15㎝程度が一般的です。
その厚みで1㎝程度の溝を掘っても何も問題はありません。
(残りの厚みが14㎝もあるからです)

モルタル外壁の厚みは、鉄筋コンクリートより数倍薄い

ただし、木造モルタルの厚みは防火地域で2㎝。
準防火地域やその他の地域では1.5㎝しかありません。

そして、その厚みが必ず確保されている訳では無いのが実情です。
実際にヒビ割れの多い外壁の場合は、1㎝程度しか厚みがありません。
(厚み不足もヒビ割れの理由です)

木造モルタル外壁でVカット・Uカット補修を行うリスク

15㎝が14㎝に減るのとは全然違いますよね。
2㎝が1.5㎝になっても心配ですが、1㎝しか無い場合は5㎜になってしまいます…

いずれにしても、モルタルの奥行までは0.5㎝~1㎝しか残りません。
ですから、家が揺れるタイミングでその部分が奥まで切れてしまいます。

シーリングや樹脂モルタルで埋めれば良い?

木造モルタル外壁のVカット・Uカット補修の方法
木造モルタル外壁のVカット・Uカット補修の方法

Vカット・Uカットで彫り込んだ部分は、シーリングや樹脂モルタルで表面を埋めているので安心!
と言う理屈でしょうが、本当にそうでしょうか?

実際にはカットした両端が「いつまで既存モルタルとくっついているか?」が重要な問題となります。

Vの字にシールで埋めた両端に切れる可能性のある個所をわざわざ作ってしまっています。

【既存モルタル】⇔切れ目⇔【埋めたシール】⇔切れ目⇔【既存モルタル】

サイディングの目地がいつまで両端に付いているか?

それを考えると、V・Uカットした両端とシール(樹脂モルタル)がいつまでも既存モルタルと仲良くくっ付いているとは思えません…。

Vカット・Uカットで問題ない場合の理由

もしもその後にひび割れが再発していない場合は、埋め戻した後の補強塗装が効いているだけでしょう…。

そうなると、そもそも「Vカット・Uカット」でヒビ割れを掘り下げなくても良い筈です。

実は、それが安全な木造モルタルのヒビ割れを補修する方法のヒントになります。

なぜ間違った補修方法が「正しい」と言われてしまうのか?

Vカット・Uカットの補修の方法

では、なぜ多くの業者が間違った補修方法を堂々とホームページに載せているのでしょうか?

その理由は意外と単純です。

ネットで記事を書いている業者やYouTube動画を撮っている職人の多くは、戸建て住宅向けに発信しているはずです。

妙な話ですが建築業界でもヒエラルキーもようなものがあり、建築の規模が大きい方が「偉い・正しい」みたいな雰囲気があります。

そこで、木造戸建ての仕事が多い(町場の)職人が、鉄筋コンクリートなど(野丁場)の建築現場に応援に行ったりした時に「Vカット・Uカット」という工法を知ります。

または、ちょっと勉強しようかなと建築向けの雑誌や本などを読んで「Vカット・Uカット」工法のことを知ったりすると、それが正しいヒビ割れの補修方法なんだと勘違いしてしまうのです。

この情報は、ネットが普及する以前から広まっていました。
おそらく、上記のように「Vカット・Uカット」を知った複数の職人が同じように各地で点在しながらクチコミで広まっていったのだと思います。

この他にも同じような職人の間違い・勘違いが「本当は間違っている常識」としてまかり通っている事は少なからずあります。

「木造モルタル外壁のヒビ割れ」の補修方法

木造モルタル シール盛り上げ工法

さてここで、批判だけしても仕方がないので、Vカット・Uカット以外の補修方法についても解説をします。

考え方はVカット・Uカットと一緒です。

  • 補修材がヒビ割れ部分を広く覆って、揺れなどで外壁が伸縮した時に追従出来ること
  • 補修材と既存外壁との設置面を広く取り、簡単に剥がれないように出来ること

この条件を満たす方法は…

ヒビの上に山盛りにシーリング材を盛りなが埋めていく、という方法です。

表現としては「ミミズ腫れ」のように外壁に山盛りのスジを付ける事になります。

ただし、施工後の見た目は明らかに美しくありません。

この「美観の悪さ」が許されないのが、Vカット・Uカットが採用される理由でしょう。

美観を取る中途半端な【Vカット・Uカット工法】・美観は無視の【シール盛り上工法】

Vカット・Uカットが正しそうに感じてしまう理由にもなっている「仕上がりの美しさ」ですが、残念ながらそれを確保しながらヒビを埋めるのは無理です、諦めましょう。

  • 美観を優先し、ヒビの再発の恐れがある【Vカット・Uカット工法】
  • ヒビの再発を優先し、美観の悪い【シーリング山盛り工法】

どちらにしても「正解じゃない」かもしれませんが…

とにかく、あまり厚みの無いモルタル外壁の場合、わざわざ凹ませて薄くするのは意味が無いだけでなく、場合によってはヒビを深く大きくしているだけになります。

「非公式工法:亜流工法」としてのVカット・Uカット

実際には、リフォームの補修工事では「公式の工法」がある方が珍しいので、「非公式・亜流工法としてのVカット・Uカット工法」なら、選択肢の1つとしては有りです。

ただし、それが「正解」のようにGoogle検索で見えてしまうのは問題があります。

そもそも、鉄筋コンクリート外壁向けの工法ですから、木造モルタルの外壁には【非公式】的な扱いです。
それがまるで【公式】的にネット上で多く出回っている状況が、よろしくないと思うわけです。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【雑学・考察・豆知識】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

高橋良一

高橋良一

外壁塗装の専門家

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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