道路使用許可が必要な外壁塗装と不要な場合 費用の相場

道路使用許可が必要な外壁塗装

外壁塗装を行う時には足場が必要で、その資材を運搬してくるトラックは、ほとんど路上駐車をしています。

(私有地に駐車する敷地が「ある」と言う場合は不要ですが、あまりありません)

路上駐車は違法なので本来は道路使用許可を取る必要があります。

しかし実際には、外壁塗装の足場組立で道路使用許可まで取る事は「稀」です。
その理由は費用が掛かるからです。
特に交通導員(ガードマン)の経費がバカになりません。

とは言え…

世知辛い話ですが、路上駐車での作業中に110番通報をされてしまう事が起き始めています。

一般車両の路上駐車禁止のモラルが徹底されて来たこともあり、今後も工事の「お互い様」が通用しない世の中になって行きそうなので、この記事を書くことにしました。

そんなわけで、この記事は2020年現在で「費用が掛かるのは残念だけれど、それでも道路使用許可を取らなければならない立地」についての解説になります。

目次

道路使用許可が必要な外壁塗装

道路使用許可が必ず必要な場合

道路使用許可が必要な時
道路使用許可が必要な立地

実は、外壁塗装工事をする場合のほとんどの場合で道路使用許可が必要です。

足場を組む時・外す時に足場のトラックを道路上に止めないといけない場合には道路使用許可が必要です。

道路使用許可を取らずに足場のトラックを止められるケースは以下のケースしかありません。

道路使用許可が本当は必要な場合

道路使用許可が不要な場合

このように足場のトラックを道路に止めた時に、脇を車が抜けられる時もあります。

しかしこのような場合でも、トラックは違法駐車になります。

ですから、この場合でも道路使用許可は取る必要があります。

道路使用許可の現状

現在では一般的に、ご近隣の方々や通行する皆さんに、ご理解・ご協力を頂いて路上に駐車している事がほとんどです。

道路使用許可を取らない場合、足場トラックは路上に置いたまま足場の設置・解体を行います。

主にトラックから足場のパイプを運び出す為、お施主様の敷地の前やその近辺に路上駐車をします。

必ず道路使用許可を申請する場合

誰が考えても道路使用許可が必要な場合もあります。

交通量の激しい道路や、幹線道路・国道に面している現場の場合です。
また、歩道のある路上にトラックを置く場合も、安全上道路使用許可は必須になります。

道路使用許可が不要な場合

私の体感では、都内近郊で下記のような条件が整うのは2割程度でしょう。
つまり約8割の外壁塗装工事の足場のトラックは、実質的には違法駐車をしている事になります。

※私道であっても「行きどまりになっていない場合(公に人や車が通る私道もある)は、私道も区道も都道も国道も同じ「道路」なので、道路使用許可が必要だと警察署の方に言われた事があります。

下記のような場合だと、道路使用許可が不要です。

  • 自宅の駐車場にトラックが入る場合
  • お隣の敷地などを借りる事が出来た場合
  • 通り抜けの出来ない私道に止められる場合

自宅の駐車場にトラックが入る場合は道路使用許可は不要

自宅の駐車場にトラックが入る

自宅の敷地に足場のトラックが止められる場合は誰にも気兼ねなく駐車出来ます。

お隣の敷地などを借りる事が出来た場合は道路使用許可は不要

お隣の駐車場を借りれば道路使用許可は不要

自宅の敷地でなくても、家の周囲の土地を借りる事が出来れば違法駐車になりません

通り抜けの出来ない私道にトラックが止められる場合は道路使用許可は不要

私道にトラックが止められる場合
私道の場合は共有のご近隣に了承を得れば問題無く止めておけます。

道路使用許可が必要な理由

足場を組みむ時に足場業者はトラックに足場を積んで持ってきます。

よく、「足場の荷物を駐車場に降ろしてトラックをどこかに止めてくれば、道路に止めなくて良いので道路使用許可なんで要らないのでは?」と聞かれる事があります。

…それが出来れば良いのですが、実際には出来ません。

敷地内に荷物を降ろせない理由

トラックには最小限コンパクトに、荷物を降ろして使う順番も考えて積んであります。

この荷物を降ろすと、トラックに積んである3倍の敷地が必要で、その場合にはトラックが止められるスペースがある事になってしまいます。(つまり足場を降ろす必要が最初から無い…)

具体的に見てもらうと、この荷物量です

足場トラックの荷物
このトラックに載っている荷物を降ろす場所がありません

トラックの荷台は乗用車1台分より広い
このように、トラックの荷台は乗用車1台分より広いのです

外壁塗装の足場
この量の足場を組んでいくので、少しは荷物を降ろします。

足場の荷物を降ろす職人
そこで、駐輪場などの場所があれば一時的に足場を降ろします。
しかしこれだけでも結構な場所を取ってしまうのです。

道路使用許可の手続き

警察署

道路使用許可の手続きは下記の手順です。

道路使用許可の手順
  1. 申請は使用する道路を管轄する警察署にて行う
  2. 申請書類と作業図・地図・現況写真等、そして申請手数料が必要
  3. 申請には3日~5日程度掛かる

道路使用許可に掛かる費用

道路使用許可を取る時に必要になる費用負担は以下の通りです。

  • 事務経費
  • 交通誘導員経費

それぞれの内訳を解説します。

事務経費

事務経費
  • 警察署で支払う道路使用許可申請費用:2,700円
  • 図面等作成費・申請代行費など手続き代行料:69,800~(現場までの距離等による)

道路使用許可の申請費用については、それぞれの業者により違いますし、慣れていない業者や、申請が出来ない業者もいます。

交通誘導員経費

路上に作業車を駐めるので交通誘導員が必要です。

交通誘導員の経費
  •  必要人数は基本的に通行車両の誘導に2名、歩道がある場合には歩行者の保安に更に1名以上が追加
  •  交通誘導員は警備会社に依頼すると、1名につき2万円以上の実費が掛る
  •  誘導の資格者は2万5千円以上になる場合も
  • 上記は足場作業の場合、組立て時の経費なので撤去時にも同じだけ掛かる

つまり、交通誘導員を外部に頼むと以下の経費が掛かります。

交通誘導員が1回1名の場合の費用

交通誘導員が1回1名の場合
歩道が無く、車のすれ違い通行が出来る場合の交通誘導員経費は1人

歩道が無く、車のすれ違い通行が出来る場合は、警察署の判断で交通誘導員が1回1名の場合が多いです。

交通誘導員が1回1名の場合の経費例
(誘導員の単価は地域などによって違います)

【1名2万円+税=2万2千円】×1名×2回=4万4千円(+事務経費)

交通誘導員が1回2名以上になる場合の費用

交通誘導員が1回2名以上の場合
車のすれ違いが出来ない場合は迂回してもらう

歩道が無く、車のすれ違い通行が出来ない場合は、迂回路を設けなければいけません。
そのため、車の浸入経路の入り口に交通誘導員が必要になります。

この場合は交通誘導員が1回2名以上の場合が多くなります。

また、歩道のある道路に駐車する場合も、必ず複数名の交通誘導員が必要です。

交通誘導員の人数は以下のパターンです。

交通誘導員の人数

車の浸入口に案内用に1名+トラックの近くに歩行者用に1名、誘導員が必要

  • 一方通行の道路:2名が多い
  • 車の侵入経路が2か所ある場合:3名が多い
  • 車の侵入経路が3か所ある場合:4名が多い

(例)車の侵入経路が2か所で、トラックの廻りにも誘導員が必要な場合は1回3名必要になり、足場の組立時・撤去時になるので合計6名必要

交通誘導員が1回2名の場合の経費例
(誘導員の単価は地域などによって違います)

【1名2万円+税=2万2千円】×3名×2回=13万2千円(+事務経費)

歩道があり交通量の多い道路の費用

歩道があり交通量の多い道路

歩道があり交通量の多い道路の道路使用許可の場合は、片側1車線か2車線かなど様々な要因が関わってきます。

条件が良ければ上記画像のように2名で済む場合もありますし、歩行者用にもう1名増える事も多いでしょう。

また、都道や県道・国道の場合は、管轄の役所までの距離が遠くなる傾向があるので、手続き手数料が基本料よりも加算されるかもしれません。

まとめ:外壁塗装で【道路使用許可】が必要なケース

この記事で紹介したように、路上に足場トラックを駐車する場合には、本来必ず【道路使用許可】の申請が必要になります。
足場用のトラックと言えども違法駐車は違法です。

そして、世知辛い世の中になっていくのは止められません。

今後は法律が変わらない限り、足場を建てる外壁塗装工事では【道路使用許可】を取る事が標準仕様になっていく事でしょう。

交通誘導員も今のところ日本人しか見かけませんが、今後は多国籍にならざるを得ません。

外壁塗装工事の経費として、工事費以外に道路使用許可と交通誘導員に掛かる経費をあらかじめ考えていく必要があります。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【雑学・考察・豆知識】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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