この記事では、バルコニー・ベランダの【以前塗ってあったFRP防水のトップコート塗装が剥がれている時の正しい補修方法の考え方】についてお伝えします。
バルコニーのFRP防水は外壁の塗装や屋根の塗装同様に、劣化の状態に応じた最適なメンテナンスの方法があります。
FRP防水の表面が剥がれていた時は、下記の3パターンの剥がれ方があります。
それぞれの対策が全く違うので判定が重要です。
- 剥がれている下が【黒】【茶色】【キツネ色】に見える場合(別の記事があります)
- 剥がれている下にも同じ色(グレー)が見える場合(この記事の内容)
- 剥がれが大きかったり沢山ある場合(別の記事があります)
この記事では、まずこの剥がれの原因を解説し、その後で②の補修方法について解説していきます。
剥がれの原因は施工不良
まずは今のバルコニーの床表面がなぜ剥がれているのか?について解明していきましょう。
結論を先に言うと、FRP防水の表面が剥がれていて奥にも塗装がしてあった場合で他の問題要因が無い場合の選択肢は以下の3つです
- 特に何もしないで様子を見る(先送り)
- FRP防水の再防水を行いう(費用を掛けて全て解決する)
- DIYで剥がれたところを塗って行く
特に何もしない場合でも「見栄え」以外は何も問題が起きない可能性があります。
ですから、無理に急いで全て解決する必要はありません。
また、中間案として「トップコートの全面塗り替え」を行っても意味が無いのでお勧めできません。
では、なんでそのような事になるのかを解説していきます。
FRP防水の剥がれ【3つの症状例】
下記の3つのパターンの違いにより【どんな剥がれなのか?】の判定が変わり、その後の対象方法が変わります。
剥がれの状態により対処方法は下記の3つに分かれます。
新築工事の施工不良だけで剥がれが起きる場合は、剥がれた奥が【キツネ色】に見えます。
この場合は雨漏りの危険が高く、必ず補修工事が必要です。
FRP防水が剥がれて奥が【黒・茶色・キツネ色】に見えたら、剥がれた奥に見えているのはFRPの下地(防水層)です。
剥がれた奥が紫外線劣化により削れていくと雨漏りに繋がるので必ず補修工事が必要です。
この状態のFRP防水の対応は下記記事で解説をしています。
一方で、剥がれている下にも同じ色(グレー)が見える場合もありそれは下記のように見えます。
この場合は、ハガレによる直接的な雨漏りの危険は少ないですが、別の問題があります。
【この例についてこれから詳しく解説します】
剥がれた下地の下が塗装されているのが見える
この場合は、ハガレによる直接的な雨漏りの危険は少ないです。
(剥がれ以外の原因が有れば別の話)今すぐの補修を行う必要はありませんが、剥がれている事は良くないのでまた別の問題があります。
【この記事では、このパターンの解説をします】
剥がれた部分に【塗装がしてある】FRP防水
また、剥がれが大きかったり沢山ある場合は、補修では済ませられない場合があります。
この場合は全体的に修理した方がコストパフォーマンスよくなりますので、修理の方法は一部の補修ではありません。
剥がれが大きかったり沢山ある場合
剥がれている下にも同じ色(グレー)が見える場合
また、剥がれが大きかったり沢山ある場合は、補修では済ませられない場合があります。
この場合は全体的に修理した方がコストパフォーマンスよくなりますので、修理の方法は一部の補修ではありません。
この状態のFRP防水の対応は下記記事で解説をしています。
剥がれたFRP防水の3つの改修方法
FRP防水の場合、下地材の不良は有り得ませんから、全部施工不良です。
このどちらかになりますので、原因を順に1つ1つ解説します。
そもそも、なぜ塗った塗料は剥がれてしまうのかと言うと、塗装はツルツルしたところには着きにくい性質が有るからです。
築年数が浅いと、FRPトップコートの劣化がまだ進んでいなくて、ツルツルの状態が保たれていてるので剥がれやすいのです。
早過ぎる再塗装の場合は、特に念入りに表面をガサガサ・凸凹にしなければなりません。
それには電動グラインダーによる目荒らし工事を丁寧に全面行う必要があります。
剥がれた奥に色が付いた塗装が見えたら→(それは以前に誰かが塗った【FRPのトップコート】)
剥がれた奥がここから紹介する事例のように見えたら、剥がれた奥に見えているのはFRPのトップコート塗装です。
つまり、本来なら剥がれてはいけないトップコート塗装が剥がれてしまっている結果…という事が分かります。
そして、その場合は【FRPの保護層】としては剥げていない事になります。
FRPのトップコートが剥がれてはいけない理由
FRP防水のトップコートが無くなると一般的には防水層が見える筈なのですが、既に1度塗ってあるので下地の【キツネ色の防水層】は見えません。
この場合、FRP防水層の紫外線劣化が起きず、防水層への劣化危険や雨漏りへの危険は低いと言えます
トップコートが剥がれている実例の画像集
ではここから、トップコートが剥がれてしまったFRP防水の実例を解説していきます。
ご自宅の症例と照らし合わせて、同じかどうかなど参考にして下さい。
剥がれた部分の色の確認
剥がれた奥の色が何色か?はとても重要なので、画像を多めに解説します。
剥がれた奥にグレーが見える
立ち上がりの角の剥がれ
剥がれて落ちたトップコート塗装
剥がれが点在している
新築後に塗ったトップコートが密着不良で剥がれている
FRP防水立ち上がり部分がかなり大きくベロッと剥がれている
剥がれているFRP防水の対処方法…【何もしない】【防水をやり直す】の考え方
さて、最初にお伝えした通り、FRP防水が剥がれていて奥がグレーに見えて塗装が有った場合は【何もしない】か【全面的に防水をやり直す】かの2択になります。
【前提】剥がれている奥のトップコートについて
上記画像の例が全てではありませんが、概ね剥がれた下地に塗ってあるトップコートには特に問題が無い事が多いです。
という事は、 このパターンの剥がれの問題のほとんどは、2回目に塗ったトップコート(現状で見えて剥がれている表面)になります。
(新築時に塗った1回目のトップコートはきちんと施工されている)
そして憎らしい事に、剥がれているトップコートは全部剥がそうと思っても剥がせないのです。
密着していないトップコートの上に施工出来る3つの選択肢
現在の表面トップコートは基本的にきちんと下地と密着していませんので、どこで・いつ剥がれるかが分かりません。
ですから、このバルコニーに対する施工方法は3つです。
何もしない
せっかく綺麗に塗ったとしても、翌日には剥がれるかもしれないのです。
ですから割り切って、剥がれているのは気分が悪いですが「何もしない」事にする、という案になります。
雨漏りや劣化が気になるかもしれませんが、基本的に塗って無くても良かった塗装が剥がれているだけなので、剥がれている影響は見栄えだけです。
繰り返しになりますが、実質的に防水性能には関係無い事から、見栄えは我慢して何もしないことにする、という対処方法になります。
全面再防水
剥がれている見栄えが我慢出来ない場合や、どうしても防水性に不安が残る場合は、防水のやり直し工事になります。
ただ、実質的には必要が無い工事を見栄えだけのために行うのは「勿体ない」気がしてしまいます。
(剥がれるように失敗工事をされた事には納得が行きませんが、クレームを言ってみても取り合ってくれないでしょう)
FRP防水の全面防水工事の方法
- 立ち上がり部分のみ:剥がれ部分の撤去
- 立ち上がり部分のみ:電動グラインダーを使ったFRP表面の目荒らし
- 立ち上がり部分のみ:アセトンによる油膜の拭き取り
- 立ち上がり部分のみ:プライマー(次に塗る塗料によっては不要)
- 床部分のみ:ベニヤ張り
- 改修ドレン工事(不要な場合も有り)
- 全面:ガラスマット貼り
- 全面:ポリエステル樹脂含浸
- 全面:脱泡処理
- 全面:トップコート塗装
(もっと詳しいFRP防水の全面防水工事の方法については、別記事を書く予定なので少々お待ちください)
DIY塗装
後日剥がれて来るのを前提で、プロに頼まずにDIYで自分で塗り直す方法です。
この場合は趣味的に行うのですから、楽しんで出来るなら良いでしょう。
DIYでも全面トップコート塗装はしない方が良い理由
DIYで塗装をする場合でも、本当は全面塗装をするのはあまりオススメ出来ません。
なぜかと言うと、今度はDIYで塗った部分が剥がれて来る可能性が高いからです。
防水の上に塗ったものが2回とも剥がれてきたら、余計に汚く見えてしまいます。
DIYならタッチアップ塗装がオススメ!
そこで、もしDIYで済ますのなら、剥がれている部分だけをタッチアップ塗装するのがオススメです。
タッチアップ塗装をする場合は、剥がれた所を含めた新しく塗る部分をサンドペーパーでよく削ってから塗装をしましょう。
プロの工程では【アセトン拭き:油膜取り】の工程がありますが、アセトンの入手や処分に困ってしまうと思います。
DIYですからその部分を省くために、サンドペーパーでしっかりと表面をザラザラにしましょう。
その後で、市販の中性洗剤やマジックリンなどの洗剤で洗って乾かすと、そのまま塗るよりも剥がれる確率はグッと下がります。
全面塗装をするには大変ですが、剥がれた部分だけなのでやり切れると思います。
その後は手に入れた塗料の説明書に従って塗ってみましょう。
もしもその塗った所が剥がれてしまっても「またDIYで塗り重ねてしまえば良い」という気軽な気持ちで出来ればこの方法を続けるのも1つの方法です。
※ただし、いつか数年後にプロの手を入れて防水をやり直したい時には全面防水のやり直し工事を行う必要が有ります。
剥がれた下地にグレーの塗装がある場合のFRP防水の改修方法:まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
このように少々剥がれがある場合にはその後のメンテナンス計画をしっかり考える事が重要です。
バルコニーの防水が剥がれていたらどうしても雨漏りが心配になります。
特に最近は階下がリビング等の室内になっているケースが多く、何か早めに手を打っておきたい気にもなりがちです。
業者に見積もり依頼をした時に「何もしなくていいですよ」とか「DIYでやってみたらどうでしょう?」なんて言う業者はいません(笑)
あるいは、全面防水をしないと塗ったものが剥がれますという知識がる業者も少ないので、塗り替えの提案になりがちです。
ただ、FRP防水の塗装で1度失敗をするとその後のメンテナンスが難しくなってしまいます。
本来は全業者にこの程度の知識が浸透して、失敗工事が無くなれば良いのですが、まだしばらくは掛かりそうです。
この記事の内容で納得が出来て3つの選択肢の中で選ぶ事が出来たら嬉しいです。
興味がありましたら、他の【FRP防水】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。