バルコニーFRP防水の塗替えを【塗装職人】がする場合の注意点

バルコニーFRP防水の塗替えを【塗装職人】がする場合
目次

バルコニーFRP防水の塗替えは、どの職人の担当?

バルコニーのFRP防水のメンテナンスを、本職の防水屋さん以外の塗装職人が工事をする場合、注意が必要です

本職の防水屋さんであればメンテナンスの方法も分かっていますが、「塗装職人=ペンキ屋さん」は詳しい事までは分かりません。

工事自体は「塗る仕事」ですから何となくペンキ屋さんでも出来そうです。
しかし「塗る作業」が出来ても、下地との相性や材料の選択・注意点などは、似てはいても勝手が全然違います

防水の専門職があるのですから「使う材料・道具が似ているから」と言っても、そう簡単にプロと同じ仕事が出来る訳ではありません。

残念ながら工事をする職人が「ペンキ屋さん」の場合、「正しいメンテナンスの方法」を理解していない場合が多いのが現状です。

ペンキ屋さんが防水の塗替えをすると、どうなるのか?

外壁塗装と同時にバルコニーの塗り替え工事を頼むとペンキ屋さんが工事をする事が多くなってしまいます。
すると以下のような事になってしまいます。

ペンキ屋さんが防水の塗替えをするデメリット
  • 適切なメンテナンスの方法が判断出来ない(間違った工事をしてしまう)
  • 新築時と違う塗料では無く、ペンキ屋さんでも塗れる簡単で寿命の短い塗料を使われてしまう
  • 慣れていない仕事なので、雑で下手な仕上がりになってしまう
  • 上記のような工事内容なので安い(安かろう・悪かろう)

これではちょっとよろしくないですね…。

なぜペンキ屋さんがバルコニーのFRP防水をするの?

では、なぜペンキ屋さんがバルコニーのFRP防水をするようになるのでしょうか?

それは以下のような要因があります。

ペンキ屋さんがFRP防水をする理由
  • バルコニーFRP防水は、「外壁塗装のついで」に同時に行う場合が多い
  • ペンキ屋さんでもFRP防水の材料が仕入れられる

バルコニーFRP防水は、「外壁塗装のついで」に同時に行う場合が多い

バルコニーFRP防水は、単体で工事をする事が少ないですね。

大体が外壁塗装を行う時に同時に工事をします。

すると、リフォーム屋さんの営業さんが「ペンキ屋さんでも出来るでしょ」と思い込んでしまいます

「出来る?」と聞かれれば、ペンキ屋さんも「出来ません」とは答え辛いし、ペンキ屋さんの職人さんもそのくらい出来ると思ってしまうのです。

そして、材料屋さんや仲間に聞いて、試行錯誤ながら塗ってみる事になるのですが…
結局本家本元の「防水屋さんに工事のやり方を聞けない」ので、次のような方法で防水工事のやり方を覚える事になってしまいます。

ペンキ屋さんでもFRP防水の材料が仕入れられる

ペンキ屋さんが頼るのは、塗料の材料屋さんです。

防水材の材料屋さんと塗料の材料屋さんは基本的には違う業種ですから、塗料の材料屋さんは防水材の事は詳しくありません。

しかし、塗料の材料屋さんが答えられる知識は、塗料メーカーから出ている「ペンキ屋さんでも塗れる防水の材料」についてのカタログやパンフレットの情報になります。

材料屋さんに罪はありませんが防水材の専門知識が無い人に聞いても、正しい答えが得られません

ペンキ屋さん用のFRP防水塗替え用塗料とは?

ペンキ屋さん向けの「FRP防水の塗り替え用塗料」には下記のものがあります。

塗り替え用塗料を使うメリット

塗り替え用塗料のメリット
  • 誰でも簡単に塗れる
  • 水性の材料が多い(扱いやすい)
  • 材料費が安い

塗り替え用塗料を使うデメリット

塗り替え用塗料のデメリット
  • 新築時に戻る訳では無い(今までとは違う性能・特徴になる)
  • 寿命が短い(概ね5年程度)
  • きちんと下地処理をしないと剥がれる
  • 新築時の塗料をこの上に塗る事が出来なくなる

ペンキ屋さんが防水をすると困る事

では、先ほど挙げた「困ってしまう点」について詳しく解説していきましょう。

ペンキ屋さんが防水をすると困る事
  • 適切なメンテナンスの方法が判断出来ない場合もある
    (間違った工事をしてしまう)
  • 新築時と違う塗料では無い
    (簡単で寿命の短い塗料を使う)
  • 慣れていない仕事なので、雑で下手な仕上がりになってしまう
  • 安かろう・悪かろう

適切なメンテナンスの方法が判断出来ない場合もある(間違った工事をしてしまう)

そもそもペンキ屋さんは新築時に防水工事をしません
防水工事をするのは防水屋さんだからです。

つまりペンキ屋さんは、そもそもどうやって防水が出来ているのか?までは詳しく知りません。

ペンキでも劣化の補修には下地の作り方を知った上で、劣化してしまった部分への補修方法をその都度判断していきます。
そして、その判断こそが塗装でも防水でも一番肝心なトコロなのです。

その肝心な下地の劣化の度合いや補修方法までをFRP防水の工事の方法を知らないペンキ屋さんに判断させようと期待するのは無理な話です。

FRP防水で必要になる判断の知識と経験
  • ただ「塗れば良い下地」なのか?
  • 何らかの防水補修工事をしなければいけないのか?

この判断を間違ってしまえば、工事自体がまるで無駄になってしまうのです。

新築時と違う塗料では無く、ペンキ屋さんでも塗れる簡単で寿命の短い塗料を使われてしまう

防水工事の難しさの1つに、どんな材料で工事をするか?という事があります。

グレードの高い工事から簡易な工事まで、工事の方法は下記のように各種あります。

FRP防水の工事の種類
  • 【既存FRP防水下地の解体・補修~新規FRP防水のやり直し】※FRP防水の雨漏りが有った場合
  • 【既存FRP防水の上に下地ベニヤ貼り~新規FRP防水のやり直し】
  • 【FRP防水の新規やり直し】
  • 【FRP防水の部分補修+トップコート塗替え】
  • 【FRP防水のトップコートの塗り替え】防水屋さんが行うFRP防水の塗り替え工事(本物)
  • 【FRP防水の上に塗っても良い塗料での塗り替え】ペンキ屋さんが出来るFRP防水の塗替え工事
  • 【DIY用塗料での塗り替え】一般の方が出来るFRP防水の塗替え工事

ペンキ屋さんが塗料の材料屋さんから勧められるのは、塗料メーカーから出ている「ペンキ屋さんでも塗れる防水の材料」です。

一般的にはFRP防水のトップコートの塗り替え寿命は10年~15年が目安ですが、ペンキ屋さん用の塗料の寿命は約半分です。
しかも、再度塗り替えたい時には防水屋さんが行うFRP防水の塗り替え工事(本物)は塗れ無くなってしまいます。
DIY用の材料よりは上ですが、現状の床に塗ってある本物の防水材(新築時と同じ種類の塗料)ではありません。

慣れていない仕事なので、雑で下手な仕上がりになってしまう

そもそも防水工事はペンキ屋さんの職種ではありませんから、慣れている筈がありません。

ここはちょっと厳し過ぎるかもしれませんが、慣れていない仕事なので雑で下手な仕上がりになってしまうかもしれません。

上記のような工事内容なので安い(安かろう・悪かろう)

ペンキ屋さんが外壁塗装と同時にバルコニーのFRP防水メンテナンス工事をする場合には、防水屋さんが工事をする場合よりも安い1ランク下の工事になる事が多くなります。

その事を十分理解した上で納得して頼むのであれば全く問題はありません。

ただし「頼んだからにはちゃんとした防水工事をしてある筈」だと信じていたとしたら、実際は思っていたのと違う工事をされていた事になります

FRP防水工事を誰が担当するか確認するの方法

確認の方法は簡単です。

FRP防水の塗装は防水屋さんが別に来るかどうかを聞く

まずは素直にズバリ聞いてしまいましょう。
防水屋さんが来る場合は安心です。

塗装職人が塗る場合は下記の確認を行います。

バルコニーのFRP防水で使う塗料が見積り書に書いてあるか確認する(書いて無ければ聞く)

特に今回の工事に限った事ではありませんが、見積り所に使用材料が詳しく書いてあるかを確認します。

今回の場合の確認事項は、トップコート塗料がメインです。
必要な内容は、メーカー名・商品名です。

FRP防水の塗り替え用の塗料の種類をまとめた記事を書きました。
各塗料の種類は下記記事を参考にして下さい

工事の工程を詳しく教えてもらう

8割の見積り書には、防水塗装の工程まで詳しくは書いてありません。

チラシやパンフレットが有ったとしても、概要が書いてあるだけのもので、おおむねイメージの意味しかない資料です。

見積り書に書いていなくても良いのですが、紙面で工程を書いてもらうようにしないと危険です。

なぜかと言うと、管理監督をする営業マン本人が、どんな工事内容で工事を進めて行くのか分かっていない場合が多いからです。

そんな事であれば、塗装職人が正しい工事内容で出来るのか?不適切な工事を行ってしまわないか?の判断を営業マンも出来ないからです。

見積り担当者の塗装や防水の知識のレベルが高いかどうか?

そもそも担当者に知識が無さ過ぎる場合にはチェックも出来ません。

特に防水工事はそんなに多く行う工事では無いので、営業マンの経験や知識レベルを向上させる機会が少ないもの。
防水屋さんのプロが来ない場合には、塗装屋さんが「工事出来る」と言っている内容やレベルを判断する事が出来ません。

防水担当の職人がきちんと見積り現地調査に来たかどうか

塗装職人が外壁塗装と同時にFRP防水の塗装もする場合には、その職人も現場確認を行う必要があります。

それは、上記の理由で営業マンに防水工事の判断・診断をするのは無理があるからです。

外壁塗装をするだけでも、担当する塗装の下請け業者の現地確認が必須ではあります。
防水の塗装も行う場合には、必ず職人の現地調査を行うべきです。

まとめ

バルコニーのFRP防水のメンテナンスは基本的には防水屋さんの仕事ですが、場合によっては外壁塗装のペンキ屋さんが工事を担当する事もあります。

  • バルコニーの状態・状況の適切な判断
  • 適切な工事内容の判断
  • 塗る塗料(材料)の質
  • 工事の技術
  • 価格

この時確認しておきたいのは担当する職人により以下の点が違う場合があるという事です。

特にルーフバルコニーになっている場合、下が部屋になっているので雨漏りがあると大変です。

ペンキ屋さんの診断が間違っていると雨漏りの危険も増すので、この記事の要領できちんと確認をした方が良いでしょう。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【FRP防水】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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