この記事では外壁塗装の見積りの適正価格が分かる「設計価格表」についての解説です。
設計価格表には統一した書式が無く、各メーカーが独自に作っています。
メーカーによって驚くほど「分かりやすいもの」と「分かりにくいもの」に差があります。
そこで初めて見ても分かるように、特に一般消費者が見ても分かりやすい日本ペイントとエスケー化研の設計価格表を中心に解説します。
基準が無いと判断が出来ないので、そうならないようにこのサイトでは情報提供をしています。
この記事は2020年5月に書いたものです。
お読み頂いている時期によっては情報が古くなっている(新しい設計価格表が出ている)場合もあります。
設計価格表を資料としてお使いになる場合には、今一度メーカーホームページで確認するか、検索で【メーカー名 設計価格表】と入力して確認してみて下さい。
設計価格表とは
設計価格表とは、各塗料メーカーで出している冊子で、そのメーカーによる「希望小売価格」のようなものです。
サンプル
具体的な設計価格表の活用方法
では、設計価格表を使った見積りの適正価格を考えてみましょう。
設計価格表はメーカーによって記載方法がかなり違います。
今回の記事を書くに当たり参考資料にした設計価格表は下記のメーカー11社のものです。
オススメ度により3段階にランク付けしておきます。
※メーカー名の部分に設計価格表へつながるリンクが張ってあるので、そこからダウンロードも出来ます)
これから初めて設計価格表を見る場合には下記の注意点も参考にして下さい。
- 日本ペイント(2020-2021)50ページ
ほぼ全てを網羅する内容で、ボリューム満点。
特に「100㎡~300㎡未満」の戸建住宅塗り替え用の材工設計価格を設定しているのは日本ペイントだけです。
※ネックは塗料が多くて何を選んだら良いか悩むことかも? - エスケー化研(2019-2020)28ページ
塗料の種類も適度で、誌面の作りも分かりやすい。
下塗り・上塗りの単体価格と、セットになった価格の両方が載っています。
2社共に、外壁を塗り替える時に見るための章があります。
初めて設計価格表を見た時にでも分かりやすく書いてあります。
この2冊の意味が分かれば、他社の多少分かりにくい資料もよく見れば分かって来るようになるでしょう。
- 水谷ペイント(2018)16ページ
上記2社に次いで見やすく出来ていて、塗り替え用の資料として対応しています。
主に屋根の塗り替え用塗料・外壁は「ナノコンポジットシリーズ」がメイン。 - 日本特殊塗料(2018)43ページ
水谷ペイント同様の見やすさで、塗り替え用の資料として対応しています。
社名の通り戸建て用塗料だと遮熱塗料塗料「パラサーモシリーズ」になり、誌面の約6割が防水材関係になります。 - 菊水化学(2020)22ページ
総合塗材メーカーなので商品数が多い割にシンプルな作りなので、少々物足りない印象。
ガイナの取り扱いがあるので、ガイナの価格が気になる方の参考になる? - ロックペイント(2019-2020)12ページ
菊水化学同様で内容が簡素。下地の仕様や塗り替えの仕様の区別が無いのが残念。 - ダイフレックス(2019)34ページ
悪くは無い誌面なのですが、いかんせん馴染みの無い材料が多いのが難点
(基本的にダイフレックスの資料は分かりやすくて好きなんですが…)
ここの5社は上記2冊を見た後や、見積りで出てきた塗料を探す場合には役に立つでしょう。
- 関西ペイント(2018)36ページ
26ページまでの前半が「塗料の価格表」で、残りの10ページに設計価格表が付いています。
設計価格表としては、だいぶ分かりにくいです。 - トウペ(2001)22ページ
前半11ページが設計価格表で、後半11ページが塗料単価表です。
2001年の資料なので、参考程度にしかならないかも? - 大日本塗料(2019)17ページ
こちらは「塗料単価」しか載っていませんでした。
設計価格表の見かた
注意したいポイントは、塗料単独の単価の部分欄と、下塗り込みのセットになっている欄がある事です。
専門家で無ければ、セット価格の欄を見ましょう。
前半で日本ペイント、後半でエスケー化研の資料を解説をします。
日本ペイントの設計価格表の見かた
日本ペイントの設計価格表だけが戸建住宅に対応
日本ペイントの設計価格表は50ページもあります。
とりあえず見るのは後半の43ページ~48ページまでの【戸建住宅等の材工価格表(施工面積 100㎡ 以上 300㎡ 未満)】の項目です。
実は、どの設計価格表でも基本的な建物の大きさが一般住宅をベースにしていません。
「300㎡以上を塗る場合の単価表」になっています。
戸建住宅の外壁は平均で150㎡程度なので、他メーカーの設計価格表が役に立ちません。
この項目を作った日本ペイントはさすがだと思います。
パーフェクトトップの設計価格
では実際に【2020年~2021年版】の43ページから【パーフェクトトップ】の項目を見てみましょう。
各行もの赤丸数字にしたがって解説をします
【塗料名】と【塗料の特徴:カテゴリー】が書いてあります。
パーフェクトトップの場合を解説すると、下記のような分類上の意味があります。
- 1液(2液型もある)
- 水性(油性もある)
- ラジカル制御形(ラジカル制御形でない塗料もある)
- ハイブリッド高耐候性塗料(これはオマケみたいのもの)
塗る下地に合わせた下塗り塗料を選びます。
- パーフェクトサーフ:窯業系サイディングボードの塗り替えに最適な下塗材【水性】
- パーフェクトフィラー:コンクリート、モルタル面の各種旧塗膜に最適な微弾性フィラー【水性】
- パーフェクトプライマー:金属系サイディングの下塗り・付帯部の塗装【油性】
- ファインパーフェクトシーラー:サイディングボード、スレート屋根、鉄部など、屋内外の新設改修用【油性】
- 水性パーフェクトシーラー:高意匠サイディングボード他、コンクリート、モルタル、木部、硬質塩ビ、FRP樹脂等各種無機・有機系素材の新設・改修塗装用【水性】
②の項目で、下塗り材の「塗り方」によって下記のような凹凸模様を付ける事が出来ます。
(その種類によって単価が変わります)
外壁塗装の見積り金額に直結する「塗る面積」に掛かる単価です。
ここで、100㎡以上300㎡未満の材工価格と300㎡以上の材工価格を比較してみます。
(1120+1100+1240+1160+990+990=6600)÷6=1100
同様に屋根の単価を確認すると…
(1110+1380+1170+1040=4700)÷4=1,175
【この事から分かる事】
他メーカーの300㎡以上の設計価格を調べた場合でも、外壁も屋根も1,000円追加した単価が【戸建住宅用の設計価格になる】
工程数は外壁も屋根もおおむね「3」が多く、下記のようにいわゆる「3回塗り」ということです。
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
※中塗りと上塗りは、同じ塗料を2回塗ります。この例で言うと、パーフェクトトップを2回塗ります。
何を使って塗るのか?という道具の解説です。
こんな事まで書いてあるのは日本ペイントだけで、明らかに一般の方が見る事を想定しています。
工事に際しての注意事項や、下塗り材の選定のヒントなどが書かれています。
日本ペイントの設計価格表のまとめ
日本ペイントの設計価格表は塗りたい塗料を決めてから、どんな下塗りが良いのか決めていく流れです。
おそらく一般の方の場合はこの方が進めやすいのかと思います。
ただ、この場合注意で注意したいのは現状の下地に適さない塗料を選んでしまう場合がある事です。
このサイトでは何度も出てくる話題ですが、リシン吹き付けの外壁やジョリパット外壁の場合はパーフェクトトップなどの艶有り・防水型塗料はふさわしくありません。
しかし、今回紹介した日本ペイントの設計価格表では、その仕様は改修用の欄には載っていません。
41ページに下記のように載っているので、見逃いてしまいそうです。
日本ペイントの設計価格表はとても見やすいのですがリシン・ジョリパットなどの【艶消し・透湿型外壁】の場合には下記塗料【インディアートセラ】で塗ることをおすすめします。(日本ペイントの場合)
エスケー化研の設計価格表の見かた
エスケー化研の設計価格表は28ページです。見るのは後半で21ページ~24ページ。
【外壁用改修塗材】の項目です。
エスケー化研は下塗り=サーフェーサーを選び、次に上塗りを選ぶ手順になっています。
これは「見積る」手順としては素直な編集ですね。
なぜなら、下地に合わせた下塗りを選んだ後で、上塗りはどれでも選べるからです。
次に選ぶのは「仕様・工法」です。
まずは次の3択から選びます
- 水性上塗り:オール水性型W工法(下塗りは水性なので、上塗りも水性ならオール水性になります)
- 油性上塗り:超低汚染型C工法(クリーンマイルドシリーズでの上塗りです)
- 弾性工法:どちらも外壁のヒビを止める弾性仕様です
- 多機能単層弾性型M工法(簡易的な弾性工法)
- 壁面防水型E工法(弾性主材を間に塗ってから弾性上塗りを塗る、複層防水の仕様)
砂骨ローラー(マスチックローラー)にて厚みを付けて下塗りを塗る工法。
それまでの壁の模様(凹凸パターン)が変わり、なみがた模様になる。
下塗り材は入れる水の量により調整できるので、水を入れないか少なくすると厚く付ける事が出来ます。
下塗り材の入れる水の量を調整して上記よりも水を多く入れると薄く付ける事が出来ます。
一般的なウールローラーで塗る工法。
それまでの壁の模様(凹凸パターン)を変えずに上塗りを塗ることが出来る。
下塗りまでが決まれば、最後に上塗りを選ぶだけです。
寿命の長さやニオイの有無などの選択肢からお好みのものに決めましょう。
エスケー化研の単価は300㎡以上のものなので、先ほどの通りここの単価に千円を足した額が150㎡~300㎡までの設計単価になります。
上塗り塗料の特徴が書いてあります。
この部分はスペースを取っている割に、工夫が足りない気がします。
もう少し各上塗り塗料の違いが分かるような記載が欲しいところです。
エスケー化研の設計価格表まとめ
エスケー化研の設計価格表は、下地に適した下塗りを選んでから上塗り塗料を決めて行くパターンです。
日本ペイントとは違い、一般の方には少し選びにくいかもしれません。
しかし、下塗り塗料のラインナップを見ていると「上塗りだけ選べば良い訳では無い」という事に気付けるかもしれません。
また、エスケー化研の方は前出のリシン・ジョリパット外壁用の仕様も後半24ページに載っていますので、確認してみて下さい。
遮熱塗料の価格の差は?
この方式で屋根塗装の金額について検証してみました。
下記の記事に詳しく書いています。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が役に立って、早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【見積りと価格【業者選び】】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。