【高級で良質な寿命の長い塗料】を塗るのが家のために良くない理由

高級な塗料は家に良くない?

この記事では高級な塗料=良い塗料=寿命の長い塗料について、その良くないポイントの解説です。

ここで定義する【高級で良質な寿命の長い塗料】とは…
「次回の塗り替えは15年以上後で良い」
という超寿命塗料の事です。

人間ドック
人間ドック

外壁塗装の目的の1つに人間ドック=健康診断の役目があります。

もし「高級で精密な人間ドック」があっても、それを受けたら「3年間は通常の人間ドックを受けなくてよい」と言う事はありません。

また、こちらもよくある例で「車のエンジンオイルは安いものでも3か月ごとに交換する方が、高級なもので1年間換えないより良い」とも言われます。

エンジンオイル交換
エンジンオイル交換

同じように外壁塗装も10年程度で短めに、普及品の塗料で定期的に塗り替えを行うのがベストでデラックスなのです。

目次

【良い塗料=寿命の長い塗料】は何が良いのか?

昨今は寿命の長い塗料の開発が進んでいるので「良い塗料」が沢山あります。

「良い塗料」というのは「寿命の長い塗料」で、表面被膜の劣化速度が遅い(なかなかチョーキングしない)と言う特徴になります。

これは確かに間違ってはいませんが「ちょっと待った!」と言わねばなりません。

寿命の長さは試験場での結果です。
外壁の平面部分では同様の結果が得られますが…外壁は真っ平らな平面ではありません

もありますし凹みもあります。
サッシの部分はくり抜かれていて継ぎ目もあり、ヒビだって入ります。

いくら「寿命の長い塗料」だと謳っても、それは平らな部分の話なだけで実験用サンプル板の上での話です。

それの塗料を外壁に塗ると、家全体のメンテナンス時期を延ばしても良いというのは若干無理があります。

【良い塗料=寿命の長い塗料】でもヒビ割れ抑止効果は無い

吹き付けタイル外壁のヒビ

良い塗料・高級な塗料であっても、ヒビ割れしにくい塗料ではありません

どんなに長持ちな塗料であっても、一般的に行う外壁塗装工事では5年程度でヒビは再発します

※ヒビ割れに対応する特殊な塗装方法をする場合は除きます。

ですから長持ちする塗料を塗った後の5年後からは、単純にヒビ割れを放置する期間が長くなるのです。

この事にはメーカーも塗装業者・リフォーム業者も、誰も目を向けようとはしません。

雨漏りは防水シートで防ぐ

透湿防水シート
透湿防水シート

木造モルタル外壁の家である程度のヒビ割れが入るのは、新築時から分かっている事です。

外壁塗装工事ではそのヒビ割れを一旦しっかり埋めて塗ることが重要なのですが、再びヒビが入ってしまう事の保証までは出来ません。

ただし、ヒビ割れから入った雨水は、モルタルの中にある防水シート(透湿防水シート)がしっかり施工されていれば簡単には雨漏りしません。

外壁のヒビ割れから雨漏りしてしまうパターン

モタル外壁のヒビ
モタル外壁のヒビ

どちらかと言うと、危険なのは高級な塗料を塗って「外壁が長持ちする」と勘違いしてしまう事です。

一般的な外壁塗装工事の補修ではモルタル外壁に入ったヒビが再発しないようには出来ません。
寿命の長い塗料で塗った場合、ヒビが入ったままで放置する期間が長くなります。

すると、ヒビ割れの隙間から内部の防水シートへ継続的に雨水が入り続け年数が長くなり、遂にはシートが破れて雨漏りになってしまうといった危険があるからです。

外壁塗装は10年~15年の間には行うのが適切な時期の目安

外壁塗装上塗り
外壁塗装上塗り

確かに10年ごとに外壁塗装をするのは面倒ですし予算も掛かります。

ですから少しでも長持ちする(=放置して置ける期間の長い)高級な良い塗料を塗りたくなのは分かります。

しかし、とは言え…15年以上長持ちする塗料というのは、家を放置し過ぎです。

10年ごととは行かなくても、最長で15年までの間に外壁を塗りながらチェックする期会を設けてあげて欲しいというのが個人的な意見です。

まとめ

このように、モルタル外壁では特殊な工法を行わない限りヒビ割れは再発してしまう可能性が高くなります。

そして、そのヒビ割れは10年程度で定期的に塗装で埋めておくのが一番デラックスなメンテナンスの方法です。

その逆に高級な塗料を塗る事は、ことヒビ割れへの対応としては一番貧弱なメンテナンスの方法になってしまいます。

繰り返しになりますが、10年とは行かなくても14~15年までが外壁塗装をしないで放置できる限界です。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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