バルコニーFRP防水のメンテナンスにはトップコートの塗り替えが必要ですが、正しい塗料の知識と工事の方法を知る業者が少ないのも事実。
塗り替え用の塗料は種類が多く、正しい知識を得ようとしてもそれぞれが我流で工事をしているので体系的な知識が得られないのです。
知識や経験が足りない業者に頼んでしまうと、塗料も工法も間違われてしまいます。
これではちょっと問題だと思いますので今回は記事にまとめました。
FRP防水を塗り替える場合…トップコート塗料は4種類ある
それがあまり知られていないので、お客様には判断が出来ませんね。
(ですので、この記事を書いている訳ですが…)
そんなFRP防水の塗り替え用塗料の種類を大まかに分類すると以下のようになります。
- 【プロ:塗替え用】FRP防水用トップコート(防水屋さんが扱う塗料)
- 【プロ:新築用】FRP防水用トップコート(防水屋さんが扱う塗料)
- 【ノンプロ:塗替え用】FRP防水用トップコート(塗装屋さんが扱う塗料)
- 【DIY:塗り替え用】FRP防水用トップコート(DIY用の塗料)
プロ用:塗替え用のFRP防水用トップコート(防水屋さんが扱う塗料)
防水のメーカーが出している「新築時の塗料よりも、もっと寿命の長い塗り替えの材料」です。
プロ用:新築時と同じ塗料(防水屋さんが扱う塗料)
当然ですが、寿命や性能は新築時のものと同じです。
ノンプロ用:塗替え用の塗料(塗装屋さんが扱う塗料)
「注意したい塗り替えの材料」はこの塗料です。
※悪い塗料では無いですが上記2種類と比較して寿命は半減するという事を施工前に十分説明する必要があります。
DIY用:塗り替え用の塗料(DIY用の塗料)
DIY用ですから、上記よりもさらにグレードは下がります。
(性能に対して価格はそれほど下がりません)
FRP防水用トップコートのどれを塗って良いか分からない業者・職人が多い理由
特に上記の塗料のうち、プロに頼んだ時に誤解が生じ安いのが「ノンプロ(塗装屋さん)が塗る塗料」です。
どんな誤解かというと、頼んだ方も塗っている方も「新築時に塗ってある塗料との違い」を理解していないことです。
はこの塗料は「なぜこのように適切な工事が出来ない業者・職人が多くなってしまうのでしょうか?
それには下記のような原因があります。
- FRP防水のトップコート塗装工事の経験が少ない
- 「FRP防水用トップコート用塗料」として安価で寿命の短い塗料(材料)が沢山売っているから
- それらの塗料には、塗り方のマニュアルの資料があり、簡単に塗れるように書いてあるから
特に問題なのは、業者の担当者・職人自身が不勉強のために「正しい・適切な工事の材料と方法」を知らない事です。
ではFRP防水の塗り替え用塗料の詳しい解説をしてみましょう。
FRP防水の塗り替え用塗料の詳しい解説
新築のFRP防水の材料を扱っているメーカーがいくつか集まった、FRP防水材工業会(略称:FBK)というFRP防水に関わる材料メーカーの団体があります。
ここに属しているメーカーではFRP防水の材料(プライマー・ガラス繊維マット・防水用ポリエステル樹脂・トップコート)を全て作っています。
そのFRP防水のメーカーでは下記2種類FRP防水用トップコートを作っています。
①【新築用】防水業者用:FRP防水メーカー製
その理由は、防水業者の請け負う工事として「塗替え工事」はとても少なく、わざわざ上記の塗り替え用トップコートを用意しなくても新築で扱う塗料を塗っておけば問題が無いからです。
防水業者用(新築用FRP防水トップコート)の商品例
②【塗り替え用・高耐久型】防水業者用:FRP防水メーカー製
この塗料は、新築時の防火認定の関係で新築時には使えないのです
ただし、既に防火認定を取った新築時の塗料の上に塗り替え用塗料として塗る分には特に問題はありません。
そしてこちらの方が、グレードは新築用の塗料より上です。
ですから、FRP防水の塗り替えをする時の「正しい材料」は、このFRP防水の純正塗料になります。
(価格は少々高めになっています)
防水業者用(FRP防水の塗り替え専用)トップコートの商品例
タフシール | ジョリエースJUX-27 (アイカ工業株式会社) |
防水業者用のFRP防水用トップコートで塗り替える時のメリット・デメリット
- 新築時に戻る事が出来る
(同じ性能・特徴がある) - 寿命が長い
(概ね10年~15年程度の寿命) - 3回目の塗り替えも同じ塗料で塗れる
- 材料費が高い
- 工事に手間と技術が必要
(工事費も高い) - 工事の正しい手順を知る職人が少ない
(経験者がいない) - 厚く塗り過ぎると剥がれる
③【ノンプロ用】塗装屋さんが使う為の塗料
不思議な事に、上記FRP防水用の材料以外にも「FRP防水のトップコートだけ」作っているメーカーがあります。
つまり、FRP防水のトップコートの塗り替え専用の塗料です。
塗り替えを頼んだ場合に、この種類の塗料で塗ってもらえないとは誰も思っていないでしょうが、実際は下記の【ノンプロ用】で塗られてしまう場合もあります…。
塗装屋さんが使う「FRP防水の塗り替え用塗料」の商品例
FRP防水の塗り替え用塗料を扱っているメーカーでは、FRP防水の材料(プライマー・ガラス繊維マット・防水用ポリエステル樹脂・トップコート)を全て作っていない場合があります。
防水屋さんが塗り替えで使うトップコート塗料は、このいずれかのメーカーのトップコート塗料である事が多いでしょう。
下記のカタログを見ても「FRP防水の塗替えに最適! 改修用水性トップコート」と書いてあります。
この塗料を使うのが良いように感じてしまいますが、この商品は「FRP防水工事は出来ないペンキ屋さん用に、FRP防水の塗り替えが出来るように開発された塗料」なのです。
つまり「プロ用」では無く「ノンプロ用」の塗料なのです。
プロ用の商品とノンプロ用の商品の違い
防水屋さん向けでは無く塗装屋さん向けの塗料だと「ノンプロ用材料」というカテゴリー分けになります。
カタログには寿命が短い事は「分かりにくく」しか書いてありませんが、「塗替えに最適!」の文字は目立つようになっています…
このようなカタログを見たら、塗装屋さんが「この塗料を塗るのが最適なんだ」と勘違いしてしまっても仕方がありません。
④【DIY用】一般の方が使う為の塗料
この記事の主題はプロに頼む時の注意点なのでDIY用の塗料については突っ込んで書きませんが、DIYで塗る場合は基本的に自己責任でずっと自分で塗る覚悟で行って下さい。
自分の家を自分の好きなように管理するのは良い事だと思いますし、プロと違って時間と手間を惜しみなく掛けられます。
その点で、実際に我々プロよりも上手に・綺麗に塗装をされる素人の方は沢山いらっしゃいます。
そのような方向けに楽天市場で「FRP防水塗り替え」と検索してみると、下記の商品が見つかりました。
それぞれの塗料に付いているマニュアルを参考にして丁寧に塗装をしてみて下さい。
※参考までに、FRP防水のDIYでもプロが塗る際にも「塗るのが早過ぎると剥がれる危険が高い」という記事も有ります。
気になる方は参考にしてみて下さい。
FRP防水の作り方
FRP防水の新設工事の工程
FRP防水を新規に作る際には下記のような工程を経て出来上がります。
- 下地(ベニヤ等の板下地)
- プライマー(下塗り)
- ガラス繊維敷き
- トップコート(表面塗装)
このような工程の中で出来たFRP防水が、時間が経って劣化した時に必要なメンテナンスは表面塗装の塗り直しになります。
FRP防水用トップコート塗り替え工事の工程
FRPの塗り替えは、劣化した新築時のFRP防水の上に、下記の工程を加える事になります。
- 高圧洗浄
- 目荒らし
- アセトン拭き
- プライマー(下塗り)
- トップコート(表面塗装)
上記のFRP防水と塗り替えの工程を図解すると下記のようになります。
では、この記事のメインの話題、FRP防水の塗り替え用塗料の種類の解説です。
FRP防水用トップコートの塗り替えは、業者の経験がまだ少ない
そのFRP防水の床面が劣化し、外壁塗装と同時にメンテナンスをしなければならないお家が増えています。
ただし、まだまだFRP防水のメンテナンスをした事が無い業者が多く、経験不足からトンチンカンなメンテナンス工事が沢山行われています…
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【FRP防水】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。