バルコニー・ベランダの雨漏り【4つの 原因と3つの改善策】

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バルコニー・ベランダの雨漏り【4つの 原因と3つの改善策】

この記事では、多くの木造戸建住宅のバルコニー・ベランダ・ルーフバルコニーが経年劣化以外で雨漏りしてしまう原因について分かりやすく解説しています。

バルコニー防水はきちんと保たれていないと必ず雨漏りしてしまいます。

一見、家の外なので軽視されがちな部分でもありますが、雨漏りの危険性は屋根よりも高い場所なので注意が必要です。

バルコニーからの雨漏りの原因は主に以下の3つです。

バルコニーからの雨漏りの原因
  1. バルコニーの性質上の仕方ない原因
  2. 設計上のミス・雨仕舞いへの知識不足によるミス
  3. 工事の失敗
  4. FRP防水の規格が未完成時期の施工

では、順に解説していきましょう。

1・バルコニーの性質上、雨漏りしやすい(仕方ない)原因

バルコニーは家本体よりも外に出ている
バルコニーは家本体よりも外に出ている

戸建て住宅のバルコニーは、洗濯物を干す場所でもあります。

その設計上、家本体よりも外に出っ張っている場合が多いので下記のように雨が漏りやすい場所になってしまいます。

ですから、バルコニーからの雨漏りは断然屋根よりも多いのです。

バルコニーの性質上、雨漏りしやすいのには4つの原因があります

バルコニーの性質上、雨漏りしやすい4つの原因
  1. 屋根が無いから
  2. 劣化しやすいから
  3. 台風の影響を受けやすいから
  4. 屋根より雨が入る箇所が多いから

1-1.バルコニーには屋根が無いから雨漏りしやすい

バルコニーには屋根が無い
バルコニーには屋根が無い

バルコニーには屋根があれば良いのですが、屋根の無いバルコニーの方が多いですね。

屋根が無いと雨が降れば必ず雨水で濡れてしまいます

すると、隙間やヒビがあればそこからすぐに雨水が入って雨漏りになってしまうのです。

1-2.バルコニーは劣化するから雨漏りしやすい

バルコニーは太陽に良く当たる場所にある
バルコニーは太陽に良く当たる場所にある

バルコニーの役割は「洗濯物を乾かす場所」なので、家の中で最も太陽光が当たる場所でなければ意味がありません。

つまり、バルコニーは家のどの部分よりも太陽光による劣化・風当たりが一番厳しい条件の場所にあるので、新築時には問題無かった部分でもヒビ・隙間・歪みなどの症状が出やすくなってしまうのです。

1-3.台風の横風で雨が入り込むから雨漏りしやすい

バルコニーは台風の横風で雨が入り込む
バルコニーは台風の横風で雨が入り込む

通常の雨は上から降ってきますが、台風や暴風雨の時などは横殴りの風や雨が吹き込みます。

通常の雨では掛からない所に雨水が吹き込んでくるのです。

すると、些細な隙間やヒビなどからでも雨水が入り込むことがあり、雨漏りになってしまいます。

1-4.バルコニーは屋根よりも雨水が入る箇所が多いから

作りが複雑になると雨水が入り込まないように防御するのが難しくなってきます。

例えば屋根の場合だと、天窓やグルニエ等の屋根の開口部を作ろうとすると、平らな屋根よりも雨漏りの確立が数倍に上がってしまいます。

バルコニー廻りで雨水が入り込む余地がある場所は床面だけで無く、下記の場所など14カ所以上あります。

これらのそれぞれが適切に設計・施工されないと雨漏りの原因になり得るのです。

バルコニーで雨漏りの原因になる場所は14カ所以上

立ち上がりにまつわる場所

  1. 防水立ち上がりとバルコニー袖壁の見切り金物の裏側の隙間
  2. 防水立ち上がりと建物側サッシとの接続部分の亀裂
  3. 床面と排水口のジョイント部分の亀裂

手摺・笠木にまつわる場所

  1. 笠木と外壁の接合部分の亀裂
  2. 笠木の継ぎ目の隙間
  3. 笠木を固定する釘穴・ビス穴の隙間
  4. 手摺を固定する釘穴・ビス穴の隙間

バルコニー袖壁にまつわる場所

  1. バルコニー袖壁の開口部廻りの亀裂
  2. バルコニー袖壁に付いている物干し金物のビス穴などの隙間
  3. バルコニー袖壁から出ている水道配管・エアコン配管の根本の隙間

バルコニーより上部の外壁面にまつわる場所

  1. 外壁のヒビ・亀裂
  2. サイディング目地の亀裂
  3. 外壁に付いている照明器具・エアコン配管の穴の隙間
  4. 換気扇フード廻りの隙間

※以下省略しますが、バルコニーより上部の外壁面全て(屋根も含む)

2・バルコニーが雨漏りする設計上の原因

バルコニーが雨漏りする設計上の原因
バルコニーが雨漏りする設計上の原因

上記のように「バルコニーはそもそも雨漏りしやすい」のに、なぜ設計士・建築士さんたちは雨漏りしやすいバルコニーを作ってしまうのでしょうか?

また、どんな設計だと雨漏りしやすくなってしまうのでしょうか?

バルコニーが雨漏りする設計上の4つの原因
  1. 水を溜める構造だから
  2. メリットを優先したから
  3. 防水構造として未完成だったから
  4. 設計士が雨じまいを無視するから

それぞれの設計上の問題を解説してみましょう。

2-1.そもそも水を溜める構造が雨漏りの原因

そもそもですが「防水する」という事は床に水が溜まっても良い状況を作れる場合になります。

つまり「溜める」と「漏れる」危険が出るわけです。

雨水は「溜める」と「漏れる」
雨水は「溜める」と「漏れる」
雨を「溜めず」に「流す」
雨を「溜めず」に「流す」

それを踏まえ、雨の多い日本の住宅では家に降る雨は「流すこと」で「漏れ」を処理してきました。

一般住宅でバルコニーを「溜める=防水する」構造で建てることが出来るようになったのは、実はここ最近のことなのです。

2-1-1.雨は溜めなければ漏らない

アルミの外付けバルコニーは雨水を下に流す
アルミの外付けバルコニーは雨水を下に流す

それまでのバルコニーの床は、雨は溜めずに流していました。

いわゆる鉄骨のバルコニーやアルミの外付けバルコニーです。

床面は防水では無くスノコを貼り、雨水は下に流してしまいます。

昔のバルコニーは建物本体とは別で「外に付けてあるもの」だったので、家とは別物で雨漏りとは無縁だったのです。

2-2.雨漏りの危険よりも、防水構造のメリットを優先したから

雨水を流してしまえば雨漏りは起きません。
無理に水を溜める「防水構造」すれば雨漏りしてしまいます。

それを承知でわざわざ雨漏りの可能性がある防水構造で建てるのは、メリットが多くそれを優先させたからです。

その主なメリットを3つ解説します。

防水構造で家を建てる3つのメリット
  1. 屋根・ヒサシの代わりになる
  2. 外観がカッコイイ
  3. 高く売れる

2-2-1.屋根・ヒサシの代わりになる

バルコニーはヒサシ代わりになり多少の雨がしのげる
バルコニーはヒサシ代わりになり多少の雨がしのげる

雨を溜めない構造だと、バルコニーの下には雨がビシャビシャ落ちてきます。
しかし防水構造にするとヒサシ代わりになるので、雨水は落ちてきません

バルコニーはヒサシ代わりになり多少の雨がしのげる
バルコニーはヒサシ代わりになり多少の雨がしのげる

鉄筋コンクリートの屋上やバルコニーは、初めから雨を溜める防水仕様になっています。
マンションのバルコニーは上階のバルコニーが屋根・ヒサシ代わりになり、多少の雨がしのげます。

2-2-2.外観がカッコイイ

防水構造の家は外観の統一感がグッと増してカッコ良い
防水構造の家は外観の統一感がグッと増してカッコ良い

それまでのバルコニーの外壁部分は、木製→鉄骨→アルミへと変化しつつも格子状の手すりになっていました。

それを防水構想にすると、他の外壁と同じ壁で作る事になり、外観の統一感がグッと増してカッコ良くなります

2-2-3.外見がカッコイイと高く売れる

外見がカッコイイと高く売れる
外見がカッコイイと高く売れる

そのようにカッコイイデザインで建て売り住宅を作れば、以前のようなアルミバルコニーの家よりもずっと見栄えが良くなり、売れやすくなります。

建て売り住宅では、売れやすいかどうかが死活問題ですから、積極的に売れやすいデザインが採用されて行くのは必然です。

そうして、チャレンジャーな設計士・建築士さん達が、木造住宅でもバルコニーを防水構造に出来ないか?という取り組みが進みました。

2-4.FRP防水の雨じまいを守れない設計士・建築士

さて、FRP防水が雨漏りしないように出来るようになったとは言え、いまだに何故だかわざわざ雨漏りしてしまうバルコニーを造ってしまう設計士・建築士がいます。

FRP防水を正しく作れば、それまでより自由な設計・レイアウトが可能になったのは確かです。

しかし、自由になったからといって何もかも出来るわけではありません。

そして全ての設計者がきちんと雨漏りしない適切なな設計をするわけではありません。
ビックリですね…
(そうあって欲しいのですが、事実そうなっていない家が沢山あります)

2-4-1.雨漏りしやすい家の特徴No.1は?

防水の立ち上がりが無いサッシ出入り口
防水の立ち上がりが無いサッシ出入り口

FRP防水を雨漏りしやすく作る設計は「出入り口の足元・防水の立ち上がりを低くしてしまう」事です。

バルコニーへの出入りで「いちいちまたがなくて良い優しい配慮」なのだと思うのですが、雨漏りの危険を冒してまでする設計でしょうか?

2-4-1.雨漏りする家の失敗例

その他にも下記の要素を雨漏り対策より優先してしまった家が多く見られます。

雨漏りよりも優先させた設計の例
  • 敷地形状によるバルコニーの位置
  • 手すりの形状・素材の選定
  • 雨水排水経路のデザイン上の設置位置
  • リフォームで増築したバルコニー

偉い設計士さんほどデザインを優先して、雨じまいに無理を通そうとする傾向にあります。

設計段階では問題が無い筈だったのかもしれません。
しかし設計が机上の空論で、思った通りには行かない事も有ります。

  • 現場施工段階で「無理を通す事が出来るスペシャルな職人」が揃っていれば出来たかもしれません。
  • しかし並みの腕の職人ではそんな「設計上の無理を通す腕」はありません。

3・バルコニーが雨漏りする施工上の原因

バルコニーが雨漏りする施工上の原因

施工上の問題は以下の2つに分かれます。

バルコニーが雨漏りする施工上の原因
  1. 職人の施工ミス
    職人の失敗は、後日になってからでは、意図的な手抜きなのか単なる失敗なのか又は知識不足だったのか…実際にどうだったのかは分かりません。
  2. 現場監督のミス
    監督の場合は、段取り上のミスが主なものです。

3-1.職人の施工ミスによる雨漏り

全工種の誰がミスをしても起きる雨漏り

職人系のミスは防水工事だけが原因の雨漏りと、大工さんから始まる全工種の誰がミスをしても起きる雨漏りがあります。

このように、バルコニーの雨漏りは防水工事だけが原因とは限りません。

職人のミスが雨漏りに繋がる原因
  • 防水立ち上がり部分が奥まで施工されていない(防水工事のミス
  • バルコニー床の大工下地が歪んでヒビが入る(大工工事のミス
  • バルコニー廻りの防水シートが適切に貼られていない(防水シート工事のミス
  • モルタルの厚みが足りず、壁にヒビ割れがある(左官工事のミス
  • その他、外壁貫通部分を埋める工事のミス(各工事

3-2.現場監督のミスによる雨漏り

現場監督のミスによる雨漏り
現場監督のミスによる雨漏りも多い

現場監督のミスというのは隠れがちですが、実はそれなりに多いです。

天候や職人のスケジュールなどの管理では難しい要因もありますが「管理」の仕事をまとめるのも現場監督の重要な仕事です。
上記のスケジューリングが上手く行けない場合しわ寄せは職人に行き、結果的には工事が上手く行かなくなってしまいます。

現場監督のミスによる雨漏りの原因
  • 工事順番の管理ミスによって適切に工事が行えなかった
  • 材料発注のミスによって適切に工事が行えなかった
  • 天候不順などの要素を踏まえて臨機応変に対応出来なかった

4・FRPがバルコニー防水として未完成な時期だった

FRP防水工事も年代によって材料が違う

しかも、そんなFRP防水も初期の段階では完全に上手く行くようなパーツがまだ無い時期もありました。

木造住宅のバルコニーでFRP防水がちゃんと施工できる部材・商品が一般建材として流通し始めたのは、おおむね2015年以降でしょう。

つまり、それ以前の建物では少なからず雨漏りの危険があるという事になってしまいます。

成功と失敗

そうしてFRPバルコニー防水の「失敗と改良の進化の歴史」が始まります。

そのチャレンジで出来上がった家では、工夫の結果上手く防水出来ている家が少数と、残念ながら多くの失敗作(雨漏りしてしまう家)が生まれてしまいます。

最終的にFRP防水の構造・工法や建材は、2015年ごろ雨漏りしない仕様が可能になります。

ですからそれ以前の家では、まだFRP防水が構造的に未完成な時期で防水材として完成されていなかったので、雨漏りしてしまう家が多いのです。

5・雨漏りしにくいバルコニーにする改善策

雨漏りしにくいバルコニーにするには?

「バルコニー」が雨漏りしやすくなる原因が分かったところで、雨漏りしにくいバルコニーにするには?も考えてみましょう。

基本的には上記の雨漏りしやすい原因を排除していけば良いのですが、ポイントを3つにまとめました。

雨漏りしにくいバルコニーにする方法
  1. 屋根を付ける
  2. 再防水を行う
  3. 構造を根本から変える

5-1.【改善策①】後付けのアルミ屋根を付ける

屋根の無いバルコニーには、後付けのアルミ屋根を付ける

バルコニーの上部空間の条件にもよりますが、バルコニーに屋根を付けるのは雨漏り予防に最も効果的です。

また、バルコニーに屋根を付ける事は、雨漏り対策だけでなく下記のメリットもあります。

バルコニーに屋根を付けるメリット
  1. 洗濯物が小雨程度なら濡れない事
  2. バルコニー床面の劣化を防ぐ事が出来る(メンテナンスのサイクルを延ばせる)
  3. 夏の日差しを遮る事が出来る暑さ対策にもなる

5-2.【改善策②】再防水を行う

2015年以前の建物で築15年以上経っていれば、再防水をする

2015年以前の建物で築15年以上経っていれば、FRP防水が未完全の時期だった可能性が高いです。

念のため今の防水の上に再度防水工事をした方が良いかもしれません。

特に排水口のドレン廻りをチェックすると、雨漏りの危険を察知出来ます。

5-3.【改善策③】旧来の防水方式のバルコニーなら、構造を根本から変える

雨漏りしないバルコニーの構造

一番確実でその後も雨漏りの心配が無くなる方法は、バルコニー自体を現在標準の方式に変更する事です。

この場合、下記の条件を満たすような変更が必要になります。

雨漏りしないバルコニーの構造
  • 床の防水はFRP防水にする
  • 出入り口サッシ下部とバルコニー床面との立ち上がりの高さは250㎜以上取る
  • 立ち上がりと壁の間には水切りを設置する
  • アルミ笠木を設置する
  • 開口部笠木もアルミ製にする

出来ればアルミ製屋根を設置する

かなりの大工事にはなりますが、例えばバルコニーへの出入り口に立ち上がりが無い家などで雨漏りしないようにするためには、必ずこの工事が必要です。

この工法は雨漏りしないバルコニーを作る最低条件なので、この条件を満たさないバルコニーで雨漏りしないようにするのはかなり難しいのです。

補足

この条件を満たさない状態で雨漏り対応をしようとすると「雨漏りしない保証」が出来るような工事は出来ません。

とは言え、このような工事をするのは稀なので、その際の雨漏り補修工事は『もし雨漏りが止まったらラッキー!』という程度の工事になります。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【バルコニー】記事も読んで頂けると有りがたいです。

高橋良一

高橋良一

外壁塗装の専門家

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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