ルーフバルコニーからの雨漏りは、主に防水の立ち上がり部分周辺から入ってきます。
この立ち上がり部分は新築時に適切に工事がされていれば、雨漏りはほぼ起きません。
しかし雨や台風の多い日本の気象条件で、木造住宅にルーフバルコニーを作るのは「出来なくは無いが難易度が高い工事」です。
その理由は主に以下の3つです
- 工事に携わる全員のうち誰か一人でもミスをすると雨漏りに直結してしまう恐れがあるから
- 実務に携わる全員が工事に慣れていない(設計をする建築士・設計士を始め、現場の監督・工事をする大工さん・防水屋さん…など
- 工事内容・注意するべきポイントが沢山あるから
このような理由で雨漏りが起きるのですが、具体的にどこから雨が入りやすいのか?については分かり辛い事も多いものです。
心当たりがある方は是非この記事を参考にして頂き、雨漏りの修理や予防の参考にして下さい。
ルーフバルコニーとは?
階下の室内天井に漏る場合は、まずそのバルコニーが「ルーフバルコニー」かどうかを確認してみて下さい。
ルーフバルコニーの良くあるパターンは、3階の屋上部分です。
2階の天井の上が一部セットバックしていて、その部分がルーフバルコニーになっているパターンです。
ルーフバルコニーの素敵なところや、デメリットの解消については下記の記事にまとめてあります。
ルーフバルコニーから下の部屋の天井に雨漏が漏れる場所
雨漏りで困るのは「どこから雨が入っているのか分からないこと」です。
もし家を建てた時の建築図面があれば、雨が漏った部分とその上の部分を照らし合わせて見る事で、どこから雨が入って来るのか?の目安が分かります。
(天井以外から雨が落ちてくる以外には、窓のサッシ廻りから雨が漏って来るパターンもあります)
ルーフバルコニーからの雨漏りは「梁」から落ちてくる場合が多い
ルーフバルコニーからの雨漏りで多いのは、天井の梁部分から雨水が落ちてくるパターンです。
上記画像の天井は〇の部分から雨が落ちています。
この部屋の天井は梁部分が下がっているので分かりやすいですが、天井が平らな場合は雨が落ちてくる場所と建築図面などを照らし合わせて確認してみると良いでしょう。
なぜ梁から雨が漏る事が多いのか?
なぜ梁から雨が出てくる事が多いのかと言うと、その梁の上から雨が入って来る事が多いからです。
梁がある理由は、その上の階の柱と壁を支えるためです。
つまり、雨はルーフバルコニーと部屋の境界から入り、その下には必ず梁が入っています。
ですから、①雨水が壁の内側に入る→②雨水は梁に当たる→③その下の天井から雨が落ちる…
このようになるのです。
梁以外の場合は照明器具が多い
入り外の場合は、照明器具の穴から落ちてきます。
照明器具は主に部屋の中央の天井に付けられていて、その重さで天井は下がっています。
雨水が天井に落ちると低い照明器具の方に流れて行き、電気配線の穴等から雨水が落ちます。
ルーフバルコニーの「立ち上がり」から雨は入る
雨が落ちてくるのは天井の梁部分で、その梁の上にはルーフバルコニーの壁があります。
壁のどの部分から雨が入るのかと言うと、防水の「立ち上がり部分」の確立が高いです。
防水の立ち上がり部分とは?
防水の立ち上がり部分というのは下記のような場所です
立ち上がりから雨漏りしてしまう仕組み
台風や暴風雨の時などは雨量が多く、さらに横風が吹くと雨水が床に当たった後で横風に煽られて跳ね上がります。
すると跳ね上がった雨水が普段は水が行かない所に水が行ってしまい、そこに穴が開いていると雨水が入ります。
もしも立ち上がりが25㎝程度あるにも関わらず雨が漏る場合には、跳ね上がった水の可能性が低くなるので、防水面より上の外壁部分からの雨漏りを疑う必要が出ます。
防水の立ち上がりには下記の2カ所があります。
サッシ下部
サッシの立ち上がりが低いと危険な理由
サッシ立ち上がりは最低でも12㎝以上無いと危険です。
出来れば25㎝程度あり、他の面の立ち上がりと同じ高さになっている方が望ましいです。
雨漏りの原因の多くは、サッシ下部の防水立ち上がりが低過ぎたためです。
サッシの立ち上がりに十分な高さがある実例
下記画像の場合は、立ち上がりが18㎝程度は有ります。
出入り口サッシ部分の立ち上がりはこの程度上がっていると安心です。
サッシの立ち上がりが低い実例
どういう訳か、どの設計士も雨漏りの危険は無視して、出入り口のサッシ下部は立ち上がりを下げる傾向にあります。
設計士の建てた家で雨漏りが多い理由はここにも有ります。
水切りの下部
防水の立ち上がりに付いている「水切り」部分も雨漏りの危険がある
画像のように立ち上がりの水切り部分から雨水が入る事もあります。
この場合は、3階のセットバックした部屋のサッシ下部からの漏水でした。
防水の立ち上がりに付いている「水切り」部分も雨漏りの危険がある
台風や防風雨だと、普段の雨だと水の掛からない場所(水切りの下側やサッシの下側)に、雨水が勢いよく掛かります。
また、バルコニー自体が広いので、遮る壁が無く、バルコニーの床に叩きつけられた雨水が上方向に跳ね返ってしまいます。
そして水切りやサッシの裏側にまで、跳ねた水が勢いよく掛かってしまうのです。
水切りの裏側が施工不良だった場合の実例
このルーフバルコニーで雨が漏っていた原因は、水切りの裏側でした。
上の方は茶色いベニヤが見えています。
こんな寸足らずの防水で雨漏りにならない方がおかしいですね。
笠木の廻りから雨漏が漏る
笠木の廻りは一般のバルコニーでも雨漏りの多い場所です。
ルーフバルコニーは3階が多いので、風当たりが強く2階のバルコニー・ルーフバルコニーよりも断然雨漏りの危険が高くなります。
板金笠木の取付け部分が危険な理由
笠木と手すりが全てアルミ製だと良いのですが、笠木が鉄板(トタン・ガルバリウム鋼板)で出来ていると危険です。
板金笠木に手すりが付いている場合は、手すりの付け根(留めているビスの穴)から雨が入る可能性もある。
また、笠木板金はアルミ笠木とは違い、地面に並行して作られているので上面に雨が溜まりやすくなっています。
しかも手すりの根本はビスで押えられる事と、手すりの重さで凹んでしまい、雨水が溜まる場所になるのです。
板金笠木から雨が廻って雨漏りしていた実例
手すりをビスで留めていた穴から雨水が少しずつ入ると、最終的には下記のようになってしまいます。
少しずつ入って行くので、気が付いた時には笠木の下地が腐ってしまうのです。
バルコニーが本当にプールになれば階下が浸水する!
「防水」とはバルコニーがプールになっても良い状態を作ること…とは言っても限度があります。
排水口が詰まってしまい雨水が排水されなくなれば、プールになった雨水が開口部サッシレールから浸水して、階下の天井全面から雨がザーザー降ってきます。
勿論レアなケースですが雨漏り調査を行っていると、10年に1度くらいの頻度でそのような雨漏り事例にも立ち会います。
その場合の共通項があるので、ここでお伝えしておきます。
排水口にテニスボールがハマって蓋をしている事が有ります。
雨水がボールの脇から浸透していれば多少排水されるのでしょうが、このような状態が続けば排水口が完全に塞がれます。
排水口が詰まった際に床面に雨水がプール状に溜まった時に、サッシ下部の防水立ち上がりが低過ぎたために雨水が階下天井から漏った。
※ 逆にもしそうでない場合、バルコニー床面とは関係ない部分からの雨漏りと言うことになりますので、対処方法は一般外壁の雨漏りを修理する方法になります
バルコニー関連のその他の雨漏りの場合
バルコニーからの雨漏りは、この記事の「室内天井への雨漏り」の他に下記の2パターンがあります。
- バルコニー階下の窓サッシの上部、枠部分から雨が漏った
- バルコニー本体の裏面・天井に黒いシミが出来ているのを見つけた
それぞれの場所から雨漏りしてしまった場合は、別の記事を書いてそちらで解説します。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の件について解説しました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【バルコニーの雨漏り】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。