- ペットがいたら油性塗料は臭うので塗れない?
- 工事中の注意点
- ペットがいる家の外壁塗装の実際
そんな悩みを解決できる記事を書きました。→プロフィール
そこでこの記事では、実際にペットが家にいる家の率が50%以上という工事実績を元に、、ライターさんでは書けないペットのいる外壁塗装の注意点をお伝えします!
(ビションフリーゼを膝に乗せながら書いています)
塗料の臭いでペットは大丈夫?
分からないのでネットで【塗装 ペット】で検索すると下記の内容で注意喚起をしているページがずらりと並びます。
- シンナーに含まれるVOC(揮発性有機化合物)はペットに有害な成分
- 外壁塗料の有害物質はペットには毒
確かに塗料には臭いがありますが、臭いと言えば、アロマもペットには良くないというネット記事がたくさん書かれています。
塗料には水性でも特有の臭いがしますし、油性でには弱い臭いのもの(弱溶剤)と強い臭いのもの(強溶剤)があります。
家の気密性や換気性能・間取りや在宅状況もそれぞれですし、内装建材も臭いを吸着するものしないものなどあり、室内に臭気が充満する量は一定ではありません。
不安に煽られず、注意することは必要
シックハウス症候群の項で出てきますが、塗料以外の有害物質はあらゆるところにあるので、適宜の判断が必要だという事に尽きるのです。
不安をぬぐうには、正しい知識を得てそこから自分で結論を導き出すしかありません。
その判断を業者に委ねることも出来ますし、ネット上の記述に委ねることも自由ですが、実体験の無い人が正論ぶって書く大袈裟な注意喚起で不必要な不安に惑わされる必要は無いと思います。
私は実体験が豊富にあるのでそれだけでも意見を言えますが、信頼性が足りない気もするのでバックボーンとして以下の情報もまとめて付け加えておきました。
外壁塗装の臭いでペットは危険!…は極論
まずはじめに、実体験の無いネット上の記事の極論・誤解・矛盾・取材の浅さで、以下の気になる点について解説します。
- ペットは喋れず大丈夫か聞けないので不安
- 塗料のシンナー=有機物質を有害物質と間違えている
- 塗料の成分がシックハウス症候群等に対策済みだという事まで調べていない
- 無用に不安を煽ろうとしている
ところが自分には、正直それらの記事がリアリティーに掛けていると言わざるを得ません。
ですから、これからの内容は大半のページが書いているのとは、正反対の事になります。
結論から言うと、人が大丈夫な臭い程度であればペットでも問題無い、という事です。
結局、シックハウス症候群については厚生労働省が下記のように「医学的定義が困難」だとしています。
明確な原因や因果関係については、人もペットも分からないのです。
※厚生労働省ではシックハウス症候群の医学的定義は困難で「居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅において見られる健康障害の総称」としています。
健康な日常生活をおくるために:シックハウス症候群の予防と対策
外壁塗装の臭いでペットが大丈夫な理由
次に、大丈夫な理由を解説します。
- 実際はペットよりも人の方が臭いに敏感だから
(ペットが臭いでダメな時には、先に人の方が臭いで - 何より実績があるから
- 嗅覚「鋭い」には誤解があるから
- 有害な塗料はもうないから
何より実績があるから
そのうち3割程度の年間約15棟が、ペットがいて弱溶剤塗料で外壁塗装をしているお家です。
累計で200棟以上のペットちゃんたちのいる家で弱溶剤塗料を塗った実績がありますが、今まで具合が悪くなってしまったペットちゃんは一匹もいません。
動物の嗅覚の鋭さへの誤解
そこで、気になって調べてみました。(Webで調べた範囲です)
それで分かったのですが「動物の嗅覚の鋭さ」にも下記のように各説があるのだそうです。
犬の嗅覚は人間より1000倍~1億倍も優れています。倍率に幅があるのは、嗅ぎ分ける匂いによって犬にも得意と不得意があるためです。一般的に花や自然界に存在しない化学物質など、犬にとってはどうでもよい匂いに対しては鈍感で、動物の発する有機物(ゆうきぶつ=一般的には炭素原子を含んだ物質全般を指す)の匂いには敏感だといわれています。つまり生きていくうえで必要なものに対してはより敏感であるということです。
https://www.koinuno-heya.com/zukan/smell.html#two-one
この記事の要点をまとめると、以下のようなことが言えます。
- 嗅ぎ分ける匂いによって犬にも得意と不得意がある
- 犬にとってはどうでもよい匂いに対しては鈍感
- 生きていくうえで必要なものに対してはより敏感である
犬はニオイを素早く嗅ぎ分ける事が出来て、しかも嗅ぎ分けられる種類は約30億個以上です。そしてその情報を記憶する能力にも優れています。一度ニオイを嗅いで脳にインプットしたら、次に同じニオイを嗅いだ時に記憶の中から目的とするニオイだけを照合し識別することができます。
神戸フランダース犬猫皮膚科動物病院TOP>院長コラム>犬猫の嗅覚について
好きなニオイは、獲物・群れ・家族・大小便・血液・体液・肉などのニオイですが、人間の体臭の成分である酢酸(1億倍)・吉草酸(170万倍)・アンモニア(100万倍)の3つの化学成分は特に優れた能力を発揮します。
犬は体臭で自分の大好きな飼主を見極めているので、飼主の靴下の臭いニオイもまた大好きです。
嫌いなニオイは、刺激臭や人工的なニオイです。
そして一般的に花や自然界に存在しない化学物質など犬にとってはどうでもよいニオイに対しては、あまり気にしないので鈍感です。
この記事の要点をまとめると、以下のようなことが言えます。
- 犬は匂いの情報処理能力に優れている
- 好きな匂い・目的の匂いだけを識別できる
- 嫌いなニオイやどうでもよいニオイには鈍感
なるほど、きちんと調べると分かるものです。
確かに加齢臭などにも言える事ですが、自分の臭いが分からなかったり、臭いに慣れたりという事はあります。
ペットにとっても好きな臭い・嫌いな臭い・どうでもよい臭いがあるという事ですね。
ちなみに、犬の嗅覚は人の100万倍~1億倍・猫は20万倍以上だそうです。
塗料のシンナー=有機溶剤と有害物質と混同している
確かに塗料中のシンナーに含まれるVOCは有害ですが、VOCは元々大気汚染(光化学スモッグ)の原因となる物質、という意味で付けられた総称です。
大気汚染物質と深く関係する事から、有害物質とされていますし「有」の字が同じですから下記のような混同が生じたのはりかいが出来ます。
塗料のシンナー=有機溶剤=VOC=大気汚染物質=有害物質
↓
有機溶剤=有害物質
さらにその話題は【PM2.5】などの地球環境問題にも発展し、ホルムアルデヒドを含めたVOC中の13の物質がシックハウス症候群の要因として定められた事も「シンナー=有害」のイメージを強く残す結果となっているのは分かります。
確かに有機溶剤を含めたVOCから出る揮発性有機化合物は、大気汚染への影響を与えています。
しかし、全ての塗料で使われる有機溶剤が人やペットに対して即効性の害があるようなネットの記述は誤解と言わざるを得ません。
VOCとシックハウス症候群の結びつきの誤解
人やペットに関する【シックハウス症候群】ですが、その要因となる「室内環境」には下記のさまざまな要因があります。
- 化学的因子:揮発性有機化合物(VOC)
- 暖房器具や調理器具からの排ガス
- タバコ煙など
- 生物的因子:ダニやカビ、細菌など
- 物理的因子:音、光など
このようにVOCはシックハウス症候群の一因となってています。
では、全ての塗料中のVOCがシックハウス症候群の要因になってしまうのでしょうか?
※厚生労働省ではシックハウス症候群の医学的定義は困難で「居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅において見られる健康障害の総称」としています。
VOC=シックハウス症候群という結び付けの誤解
結論から言うと、塗装・塗料に使われる有機溶剤(シンナ)の全てがシックハウス症候群の要因と結び付けてしまうのは誤解になります。
誤解の理由は、一般住宅の外壁塗装用塗料が下記の2つをクリアーしているからです。
- 室内空気中化学物質(VOC13物質)の室内濃度指針値
- ホルムアルデヒド値
なぜなら、一般住宅の外壁塗装工事で使用される塗料中のVOC成分は、厚生労働省の策定したガイドラインには当たらない範囲になっているからです。
このガイドラインは、シックハウス症候群に関わるVOCを13種類とし、その室内濃度値を定めたものです。
指針の内容は『人間がその濃度の空気を吸い続けても健康への影響を受けないと判断される値』であり、室内環境汚染の度合いを測る目安として利用されてます。
日本塗料工業会によると、この13物質のうちの7種類が塗料と関係がありますが、全て対策済みとなっています。
物質名 | 室内濃度指針値※ | 主な発生源 | 日本塗料工業会による対応 | |
---|---|---|---|---|
1 | ホルムアルデヒド | 100μg/m3 (0.08ppm) | 合板、壁紙などの接着剤、塗料 | ホルムアルデヒド放散等級表示 F☆☆☆☆ 自主管理審査・登録制度 |
2 | トルエン | 260μg/m3 (0.07ppm | 内装材、家具などの接着剤、塗料 | 「非トルエン・キシレン塗料} 0.1%未満 自主表示 |
3 | キシレン | 870μg/m3 (0.20ppm) | 接着剤・塗料 | 「非トルエン・キシレン塗料} 0.1%未満 自主表示 |
4 | パラジクロロベンゼン | 240μg/m3 (0.04ppm) | 衣類の防虫剤やトイレの芳香剤 | |
5 | エチルベンゼン | 3800μg/m3 (0.88ppm) | 合板、家具などの接着剤、塗料 | 「非トルエン・キシレン塗料} 0.1%未満 自主表示 |
6 | スチレン | 220μg/m3 (0.05ppm) | 断熱材、浴室ユニット、畳心材、パテ | 代替済み |
7 | クロルピリホス | 1μg/m3 (0.07ppb) | 防蟻剤 | |
8 | フタル酸ジ-n-ブチル | 220μg/m3 (0.02ppm) 但し小児の場合は0.1μg/m3 (0.007ppb) | 塗料、顔料、接着剤 | ほとんどが代替済み |
9 | テトラデカン | 330μg/m3 (0.04ppm) | 灯油、塗料 | 塗料中にはほとんど含まれていない |
10 | フタル酸ジ-2- エチルヘキシル | 120μg/m3 (7.6ppb) | 壁紙、床材、電線被覆 | |
11 | ダイアジノン | 0.29μg/m3 (0.02ppb) | 殺虫剤 | |
12 | アセトアルデヒド | 48μg/m3 (0.03ppm) | 建材、壁紙などの接着剤 | |
13 | フェノブカルブ | 33μg/m3 (3.8ppb) | シロアリ駆除剤 |
ホルムアルデヒドとフォースター(F☆☆☆☆)
これは、F☆値によりフォースター(F☆☆☆☆)が最高値で、使用面積の制限が無い塗料を意味します。
通常であれば外壁塗装で扱う塗料でペットちゃんに上記のような危険が及ぶことはありません。
なぜなら、そのような危険な有害物質があれば人体にも悪影響があるからです。
人に悪影響がある塗料や材料であれば、そもそも何があっても使用は控えなければいけません。
当然ですが、現在一般に使用できる塗料メーカーの塗料でそんな危険な成分の入っているものはありません。
仮に臭いのキツイ【強溶剤塗料】を使う可能性があるとしたら、先に人間の方がその臭いで困ってしまいますので、ペット云々というレベルでは無い話になります。
ペットにとって危険な塗料と気を付けたい塗料は、人間にとっても同じ
塗料を溶かしているシンナーのことを「有機溶剤」といいます。
シンナーと言えば毒性があり、「シンナー中毒」をイメージするかもしれません。
ネット上で調べるだけだと分からないかもしれませんが、実際にはシンナーを使う【溶剤系塗料】にも【弱溶剤系】と【強溶剤系】の2種類があります。
住宅の塗装では特別な下地に使わなければならない下塗り塗料以外では【強溶剤系塗料】を使う事は無いはずです。
(業者の好みやVOCに対する理解度にも依りますが…)
ネットの情報では強溶剤系塗料と弱溶剤塗料を分けていないので、全てのシンナーを使う溶剤系塗料が【危険な塗料】というレッテルを張られることになっていますが、それは誤解です。
強溶剤系シンナーとは?
ラッカー系の強溶剤塗料はペットだけでなく人間にも耐え辛く、現在一般住宅の外壁で塗る事はほとんど無いと考えられます。
弱溶剤系シンナーの特徴
外壁塗装では全ての部位を水性で塗る事は稀で、鉄部や塩ビの部分は弱溶剤系の油性塗料で塗ります。
弱い臭いはしますが、私の経験では職人で中毒症状が出た話は聞いたことがありません。
ペットがいる家で弱溶剤塗料を使って外壁塗装をする時の注意点
弱溶剤塗料を外壁全体に塗る場合には2~5日程度、室内に臭気がこもります。
ペットに限らず人間でも…
- 乳幼児
- お年寄り
- 療養中の方
- アレルギー体質の方
- 体調不良の方
- その他不安が有る方
これらの不安が有る場合には、あらかじめその旨を施工業者とよく相談することが必要です。
また、健康でも臭いが不安な場合には弱溶剤塗料を無理に塗らずに、水性塗料を塗る事を検討しましょう。
特にペットがいる場合に気を付けたい事を最後に付け加えておくと…
塗料から出るシンナー成分(VOC=有機溶剤)は、空気より重いので、もしもペットが常時1階にいる場合、ペットが一番シンナー成分を吸う事になります。
その場合は、2階以上で過ごさせるようにした方が安全です。
もっともこれは人でも同じで、二世帯住宅の1階世帯や、1階が寝室の方なども同様です。
いざとなったら、2階以上で過ごしたり寝るようにするなども念のため考えておくことで「備えあれば憂いなし」と言えるでしょう。
その他、ペットがいる家の外壁塗装の、当然の注意点について…
工事全体のストレス
とは言え、工事が始まってしばらく経つと慣れてくれることがほとんどです。
ネコちゃんの場合、外出が出来ずにストレスになってしまう事があるかもしれません。
いずれにしても、外壁塗装工事は2週間前後は必要です。
いつもとは違う環境になるのは確かです。
なので、心のケアもお忘れなく。
足場の騒音
ペットちゃんにとって一番怖いのは、足場の組立・解体時の音に違いありません。
足場の組立はほぼ1日、解体は半日程度が一般的です。
出来るなら、少しでも外出できると怖い思いをしなくて済むでしょう。
トリミングの日に合わせてしまうのも1つのアイデアです。
ペットホテルが嫌いじゃないなら、ストレス面も考慮すれば出費も止むお得ないところかも?
親せき・知人のお家で預かってもらえるなら検討しておくと良いでしょう。
高圧洗浄
洗浄機には防音型と開放型(防音なし)があります。
都内だとご近隣への配慮から開放型を使うのは有り得ませんので、あまり気にならない音です。
開放型は人も動物もウルサイので、事前に防音型かどうかを確認しておくと良いでしょう。
換気について
換気扇フードを養生で閉じてしまう職人さんがいるとは思いたくないので、一般的には換気扇は使えるはずです。
ただし、下記の場合は換気扇を回してしまうと外のペンキの臭いが入ってきてしまう可能性があります。
- キッチンが1階にある場合は、外壁を塗った日とその翌日程度
- キッチンが2階にある場合は、外壁を塗った当日と屋根を塗った当日
ただし、もしも回しても気にならないようだったら出来るだけ換気はした方が良いので、様子を見ながら調節してみるのが理想的です。
24時間換気システムについて
その時はペットちゃんはいなかったのですが、奥様だけがホテルに避難してしまい、その他のご家族は「お母さん??」という感じでした。
人の臭いの感覚が家族間でも随分と違う実例です。
外で飼っている場合
外飼いの場合は、人慣れの程度によりケースバイケースでしょう。
ワンちゃんの場合は、小屋が離れていて気にしない子なら特に問題は無いですが、職人さんと近づいてしまうようだとトラブルが起きかねません。
ワンちゃんと職人さんがお互いに良い関係が築けそうだとしても、工事中は何かの拍子に大きな音が出たり…何があるかは予測が出来ません。
足場のすぐそばに小屋があるような場合ならなおさらですね。
ペットを塗料に近づけないよう、管理はしっかりすること
塗料の管理や、注意喚起は業者の責任ですが、ペットの行動管理は飼い主であるあなたの責任です。
万が一でも下記のような事が無いように、きちんと大切なペットちゃんの管理をしましょう。
- 塗料に触れさせない
- 塗料をなめさせない
- 作業用に塗料を置いている「ネタ場」に近づけさせない
自然塗料について
いくつかのサイトでペットに安全な「自然塗料」の紹介がありますが、それは主に木部用の着色塗料になります。
その旨お間違えの無いようにご検討ください。
相談先
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化学製品による事故・苦情の相談に対するアドバイスを行ったり、化学製品に 関する問い合わせなどにおこたえしたりする民間の機関です。
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まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
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