サイディング外壁の塗装でシーリング工事が必要な理由は、パネルとパネルの隙間を埋めているシーリングが劣化してしまうためです。
シーリングが劣化すると、隙間を埋めている筈が切れたりヒビが入ったりして、サイディングパネルの内側に雨水が入ってしまいます。
当然、そのまま放置していれば雨漏りの原因になる大事な部分です。
今回はそんなサイディング外壁のシーリング工事についてのポイントをまとめてみました。
サイディング外壁にシーリングが必要な理由
サイディング外壁にお住いの方でも、ご自宅の外壁に「シーリング工事をしている部分があって、交換が必要なものだ」という事を知らない方も多いものです。
サイディング外壁の家はパネルを張って外壁を覆ってありますが、ただパネルを並べただけでは隙間が空いてしまいます。(勿論、雨が漏ってしまいます)
そこで、各パネルの継ぎ目を埋めるためにある「ゴムパッキンみたいなもの」がシーリングです。
シーリングの意味・語源
シーリング工事の【シール】と言うのは、この場合(空気・水などのもれを防ぐ)密封,密閉という意味です。
つまり【シーリング事】の意味は、1枚1枚のサイディングパネル板の継ぎ目を密封して、水漏れを防ぐ工事になります。
当たり前ですが、シールというのは、シーリングの略称です。
シーリングとコーキングは違う?同じ?
シーリングとコーキングは同じ意味で使われる事が多いです。
私の感覚では、シーリングやシールと言うのはプロっぽい言い方で、コーキングと言うのは素人っぽい言い方…とまで言うと御幣があるかもしれませんが、そんな感じです。
どちらかと言うと「コーキング」の方が一般名称で、シーリングの方は「専門用語・業界用語」という感じでしょうか?
サイディングのシーリングが劣化すると困ること
サイディングの外壁では、新築時に施工されたシーリング材が10年前後で切れたりビビが入り、下地に雨が入ってしまいます。
サイディング外壁の中に雨水が入っても良い訳はありません。
雨水が常時入るようになれば、壁の下地に貼ってある透湿防水紙に不具合が起きて室内への雨漏りに直結してしまうからです。
「サイディング外壁の雨漏り
一般的に「サイディング外壁は外壁にヒビが入らないから雨漏りしない(しにくい)」と思われているようですが、それには「シーリング交換を適切な時期に行えば」という前提があります。
逆にモルタル外壁はヒビが入らない家もありますが、サイディング外壁の場合は必ずシーリングが劣化してヒビや亀裂が入ります。
「そうとは思わなかった…」「新築の時に聞いていない!」といったお話をよく耳にしますので、新築の会社には今後のメンテナンスの計画をきちんと説明しておいて貰いたいものです。
シーリングの亀裂の原因は2種類
シーリングの亀裂は以下の2種類の要因から起こります。
シーリング材自体の亀裂
シーリング材は10年程度で太陽からの紫外線劣化により経年劣化によるヒビ割れが起きます。
最終的にはシーリング材が落ちてしまったり、風化して無くなってしまったりします。
サイディング自体の亀裂
一般的な木造住宅のサイディングパネルは0.45m×2.7mのサイズと細長い形状です。
この長い側が反ったり伸縮した時にシーリング材が伸びきれずに接着面が切れてしまいます。
この場合シーリング材の劣化が無くても切れた部分は大きく隙間が空いたままになってしまいます。
シーリング交換の時期
サイディングのシーリングの交換時期は基本的に10年~14年が限界です。
しかしまれに、10年前後の塗り替え時にシーリングに劣化の兆しが見られない場合もあります。
上記の理由から、 サイディングの外壁塗装では全個所の交換を基本に考えるのですが、非常に悩みます。
そのような時には、例えば【南側と西側だけシーリングを交換する】といった選択も、リスクも踏まえて検討する場合もあります。
しかし、 残ったシールがあと10年以上大丈夫なのか?という心配もあるので、基本的には全面交換が望ましいのです。
シールが打ってある主な場所
ちなみに、シーリングをする時は「シールを打つ・コーキングを打つ」などと言います。
外壁にシールが打ってある部分は主に以下の場所です。
画像付きで詳しく解説します。
外壁目地
サイディングのボードとボードを繋ぐ部分で、ここが切れると一番危険です。
また、劣化の見極め部分としても一番分かりやすい場所になります。
サッシなど開口部
サッシの廻りとサイディングボードの隙間もシーリングで埋めなければ雨が漏ります。
各サッシの廻り全てにシールが打ってあるので、相当な長さになります。
外壁と軒裏の入り隅
外壁と軒裏の間にもシールが打ってあります。
軒下なので雨が掛からないという事は無く、台風の時など風が巻き込んで雨が掛かります。
ここが切れていると意外と雨漏りの原因になります。
換気扇フードなどの廻り
このような小さな換気フードの廻りは意外と危険です。
外壁塗装をする時に、この部分にシーリングをしていない家が結構るのです。
写真は塗装前のものですが、このお家は若干汚れていますがシールがしてあるのが分かります。
換気フード廻りのシールが、なぜ新築時時にきちん工事されていないかというと…
換気フード廻りはシーリング屋さんがやっていないからです。
なぜかと言うと、工事の段取り上サイディングのシール工事は「建物のシール工事」としてシーリング屋さんが行い一旦終了します。
その後で、換気フードなどの小物類は大工さんや電気屋さんなどが取付け「コーキング」をします。
出来れば本職のシーリング職人が来て、細かい所のシールもプロがすれば良いのでしょう。
日程や予算の関係で、それは出来ないのです。
本職では無い職人さん達がシール工事をするので、上手では無い「コーキング工事」になるのです。
ですから、シーリング屋さんのプロの施工と、他業者さんのノンプロ施工が 隣り合った場所にある事も珍しくありません。
配管・配線などの貫通部
建物には色々な貫通部分が出てきます。
水道の給水・排水・雨どい・エアコンの配管・電気・電話・インターネットなどなど…
それぞれにきちんと隙間を埋めておかないと、この部分からも雨漏りの危険が生じます。
外壁とバルコニー手すりなどの接合部
最近の家ではバルコニーの手すりや笠木部分がアルミ製になっている事が多くなっています。
このアルミ笠木と外壁の隙間は必ずシーリングで埋まっています。
ヒビ割れなど補修部
サイディング外壁のボード本体は基本的にヒビが入らない想定ですが、中にはボードが割れてしまっている事も。
そんなサイディングボードのビビ割れを埋めて外壁塗装をするのも「外壁塗装工事」の役割のひとつです。
ヒビを埋めるの材料は、ヒビの大きさ・長さ・太さによりけりで、必ずしもシーリング材でなくても良いです。
写真のように太く・長い場合は、シーリング材の方が良いでしょう。
シーリング工事に掛る費用
そうなるとサイディング外壁の場合は、塗装代以外にもシーリング工事が必要になります。
(工事が増えると費用も増えますので、適切な工事をご提案してもあまり歓迎されませんが仕方ありません…)
シーリング工事の費用は工事内容と必要な数量によって変わります。
シーリング打ち替え工事の費用の相場
シーリング打ち替え工事は、主に外壁サイディングのパネル同士の継ぎ目に打つ工事です。
今付いているシールをカッターで切り取って入れ換えます。
シーリング打ち替え工事の単価の相場は、1m800円~1,200円程度です。
シーリング打ち増し工事の費用の相場
シーリング打ち増し工事は、下記のような場所に打つ工事です。
- 外壁のサイディングパネルとサッシとの隙間
- サイディングと軒下ボードとの隙間
- 換気フード廻り
- 各種貫通部分
これらの部分は三角の入り隅部分になるので、今付いているシールを切り取りきれませんので、その上に盛り上げてシールします。
シーリング打ち増し工事の単価の相場は、1m600円~1,000円程度です。
単価の違いの理由
上記の単価に幅があるのは、下記の理由が考えられます。
- 施工会社の経費の問題
- 中間マージンのある・無し
- 工事の丁寧な業者・手抜き業者
- 材料を適切に使う・ケチって使う(シール材を少なく使う裏技がある)
- 不適切なシール材を使ってある現場があったので、そんな業者が工事をする場合
- 工事単価とは別に廃材処分費がある・
- 日本の職人・外国の職人
シーリング工事の見積り比較のよくある間違い
外壁塗装工事の見積りで、よくある間違いをご紹介します。
工事の数量(m数)が多いと金額も高くなってしまうので、数量が多いと嫌なのは消費者感情として理解出来ます
ただ、数量が少ないのは単にやらない所があるから、だとしたらどうでしょう?
シーリング工事は、目に見えて増える訳では無く塗装のように塗った所が後で見える訳でも無いので、手抜き工事がしやすい場所なのです。
数量の違う見積りが出てしまったらどうしたら良い?
数量の計り方は各社まちまちですから、同じ場所を工事するにしても1.3倍程度は違いこともあります。
もしもシーリング工事の数量が違う見積書が出てしまった場合は、工事の場所をきちんと確認するのが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、サイディング外壁の塗装前に必要なシーリング工事のポイントを以下のテーマでお伝えしました。
サイディング外壁の場合は塗装の寿命がまだ先でも、シーリングの寿命が先に尽きてしまえばメンテナンスを先延ばしには出来ません。
まずは正しい工事の時期の見極めが出来るように、チェックしてみて下さい。
そして最終的にはシーリング工事が下手だったり手抜きだったりでは困ってしまいます。
この記事で丁寧な業者さんを見つけるポイントまではお伝え出来ませんが、標準以下の職人さんを呼んできそうな業者(塗装屋さん・リフォーム屋さん・工務店)を見極める事が出来ると思います。