この記事は私の30年以上ある外壁塗装工事の経験を元に、一般の方が外壁塗装をする時に知りたいポイントに絞って、分かりやすく解説する外壁塗装の用語集です。
今回は塗料用語の中から強溶剤塗料についての解説をします。
強溶剤塗料とは
強溶剤塗料とは、強いシンナー系の塗料です。
油性塗料のシンナーには、強いもの(強溶剤塗料)と、弱いもの(弱溶剤塗料)があり、中間はありません。
塗料メーカーでは【強溶剤】とは表記せずに【溶剤系】と表記しています。
つまり、強溶剤系塗料と溶剤系塗料は同じ意味です。
強溶剤塗料を簡単に説明すると…
- 現在では一般住宅の外壁塗装で強溶剤塗料はほぼ使いません。
- 一般的なイメージでは、強溶剤塗料は【ラッカー系】のイメージ。
(ただし、強溶剤塗料はラッカーだけでは無く、沢山の種類があります) - 職人さんによっては「シンナー系」と呼びます。
(弱溶剤塗料の事は「トシン系」になる)
- 強溶剤塗料に対して【弱溶剤塗料】という弱いシンナー系の塗料があります。
- 弱溶剤・強溶剤は【溶剤系・シンナー系】の塗料ですが、【水系・水性系】の塗料もあります。
- これらの塗料の分類は【薄め液の種類による塗料の分類】です。
※細かい事を言うと、無溶剤塗料や粉体塗料も有りますが、ここでは分かりにくくなるので割愛しています。
強溶剤塗料の特徴
強溶剤塗料の3つの特徴を解説します。
- におい
- 乾燥時間
- 溶かす力
においの特徴
- 毒性・臭気性が強く、過度に吸い込むと危険です。
- 強溶剤塗料が臭わないと言う人はいません。
- 昭和の時代までは、この強溶剤塗料で外壁塗装をしていました。
(オウム事件の直後は、異臭がするといって外壁塗装の現場が110番通報されることがありました) - 今はいないと思いますが、その昔不良少年が「シンナー遊び(アンパン)」をするのに使っていました。
- とにかく換気が必要です。
乾燥時間の特徴
- 乾燥時間が早く、塗りながらどんどん乾いて行きます。
- 乾燥が早過ぎて、刷毛を何度も擦れません。
- ローラーに場合は、何度も往復していると糸状の煙のようなモヤが出てきて、塗リムラになってしまいます。
- 吹き付けるには適しています。(マスクが必須です)
下地を溶かす力の特徴
- 溶解力が強いことから、下地の塗料を溶かしてしまう事があります。
- 水性塗料や弱溶剤塗料の上に直接塗るには、試験施工が必要です。
- フィラーやサーフェーサー・微弾性下塗り材などを塗れば、外壁に塗れない事はありません。
- 強溶剤系のシンナーで手を拭いたり洗ったりすると、皮膚が白っぽくカサカサになってしまいます。
強溶剤塗料の種類
強溶剤塗料の種類を分かりやすく解説します。
以下が主な強溶剤塗料の種類です。
ラッカー系塗料
良質なクリヤー塗料はラッカー系なのは間違い無いのですが、室内で臭いのするラッカー塗料を塗るのはかなり厳しいものがあります。
最近は木部用クリヤー塗料でも水性でそこそこの性能のある塗料もあり、水性クリヤーの方が使われています。
一般の外壁塗装工事でもラッカーシンナーは、塗料のついた刷毛の洗浄や手についた塗料を落とすのに使われています。
エポキシ系塗料
シーラーや錆び止め塗料が多く、一部サーフェーサーもあります。
(エポキシ樹脂は耐薬品性能が高く、室内の実験室などの床用の塗料もあります)
ウレタン系塗料
屋上やバルコニー床のウレタン防水の上塗りで使う事があります。
一部外壁塗装用の塗料もラインナップが残っていますが、旧来の塗料を残しているだけでしょう。
アクリル系塗料
平成の初め頃までは、外壁塗装の主流はこの強溶剤のアクリルエナメル塗料でした。
強溶剤塗料の特徴は臭いが出るのと速乾性です。
臭いの件は当時は「仕方ない」で済ませていましたが、そうも言っていられない事が起きました。
オウム真理教によるサリン事件の影響です。
外壁塗装の現場のシンナー臭が危険な異臭と勘違いされて使えなくなってしまいました。
そのため、急きょ無臭の水性塗料で外壁を塗る需要が高まり、現在の水性塗料主流の流れへと続くのです。
強溶剤塗料の関連語
- 塗料
- 油性塗料
- 溶剤
- 弱溶剤
- 水性塗料
- 塗料用シンナー
- シンナー
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
- 強溶剤塗料は、強いシンナーを薄め液に使う塗料
- 溶解力の強いシンナーを使う塗料のこと
- 毒性・臭気性が強く、吸い過ぎると体に害が及ぶ
- 乾燥時間が早いのが特徴
- 強溶剤塗料は現在の外壁塗装用塗料として、ほぼ使われる機会が無くなっている
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
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