吸い込み止めとは?

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塗料の吸い込み止めとは?
目次

吸い込み止めとは、下塗り塗料の役割の1つ

「下塗り」を塗る意味は1つではありません。
下塗り塗料には主に以下のような役割があります。

下塗り塗料の持つ役割
  1. 密着性(下地と仕上げ塗装との接着剤の役割)
  2. 吸い込み止め(上塗り塗料が下地に吸い込まれてしまうのを止める役割)
  3. 下地調整(クラックを埋め、下地の凹凸を減らして平らにする役割)
  4. 錆止め(鉄が酸化してサビてしまうのを防ぐ役割)

今回は下塗り塗装の4つの役割の2番目「吸い込み止め」について解説します。

吸い込み止め下塗り塗料の役割

「吸い込み止め」とはどんな事かというと、画用紙に油性ペンで描いた時に裏にインクが吸い込まれてしまう事に似ています。

油性ペンのインクの粒子が画用紙の網目よりも小さいために表面で留まらず奥にどんどん吸い込まれてしまうのです。

画用紙のようにインク(塗料)を吸い込んでしまう下地の場合には、粒子の荒い下塗り塗料を塗って、上塗り塗料が表面に留まるようにしなければいけません。

道具と素材は、適材適所で選ぶ

吸い込む対象として「画用紙」の例を出しましたが、例えば「ホワイトボード」に書く場合には吸い込む心配は要りません。

ホワイトボードに書く際にも、後で消したくない場合には油性マーカーで書き、専用マーカーで書けば後で消す事が出来ます。

塗装する対象によって、書くもの(ペンや塗料)の種類を適材適所で変える必要があます。

「吸い込み止め」の適材適所

今回の塗装の場合は以下のようになります。

  • 吸い込まない下地…無塗装でも水を弾く(金属サイディング・雨どい・アルミ・日本瓦など)
  • 吸い込む下地…モルタル・窯業系サイディング・ALC・鉄筋コンクリート・スレート屋根・ケイ酸カルシウム板など)

ただし、吸い込んでしまう下地に塗装をする際に、どの場合でも吸い込み止めを塗る訳ではありません。

吸い込ませる必要がある素材もあるからです。

吸い込み止めタイプの下塗り塗料

住宅塗装で使う下塗り塗料のカテゴリーには以下のものがあり、各カテゴリーで用途が微妙います。

また、必ず吸い込み止め効果があるものと、そうで無いものもあります。

吸い込み止め効果がある下塗り塗料

以下のカテゴリー名の下塗り材は、主に下地と上塗り塗料との間に「層」を作ります。
層が出来れば下地まで浸透する事を阻止する事が容易です。

また、層を作れる膜厚があるので、下地のヒビや段差を隠すことも大きな目的になるのです。

層の作り方や、適応する下地によって大まかなカテゴリーが分かれています。

  • フィラー(モルタル用で硬い)
  • 微弾性フィラー(モルタル用で微妙に弾力がある)
  • サーフェーサー(サイディング用)
  • バインダー(主に内装用)

吸い込み止め効果が無い下塗り塗料

以下のカテゴリー名の下塗り材は、主に下地と上塗り塗料との間の「接着材」の役割を重視しています。

下地の巣穴を埋めるのに上記の下塗りほど厚膜が必要無い場合もあります。
(膜が厚いと適さない場所の塗装も多い)

そんな下地の場合は、この液状タイプの下塗りで下地への浸透を阻止します。

膜が薄いので、浸透・呼吸タイプの外壁材の下塗りとしての使用方法も可能です。

適応する下地や用途により、大まかなカテゴリーが分かれています。

  • プライマー(下地に最初に塗るもの・防水材用下塗り材に多い)
  • シーラー(上記と同義ですが「特に最初に塗ること」の意味が無いことから、主に塗り替え用の下塗り材で薄膜のものが多い)

吸い込む下地に、水分を弾かせるか?浸透させるか?

未塗装(新品又は塗装が劣化している場合)の、材木やモルタル・スレート屋根・ケイカル板は「水を弾かない=吸い込む下地」です。

上記の素材の場合の「水分を吸収する・吸い込む下地」の場合、塗装後に下記の2つのタイプの塗装が出来ます。

  • 塗った後で水を弾かせたい【防水型タイプ】
  • 弾かせない【浸透・呼吸タイプ】

水分を弾く上塗りを塗るか?
水分を浸透・呼吸する上塗りを塗るか?
どちらにするかの判断により、下塗り塗料の選択が変わります。

吸い込み止め防水型タイプの上塗りを塗る場合

【防水タイプ】の上塗りを塗る場合、下塗り塗料で膜を張り、水分(上塗り塗料)が吸い込まれないようにします。
下塗りの表面で膜があれば、上塗り塗料も水分を弾く事が出来ます。

防水タイプの塗装が必要な素材

上記で挙げた【吸い込む下地】のうち、外壁以外の素材(スレート屋根・ケイ酸カルシウム板など)のほとんどは【防水タイプ】の塗装が必要です。

防水タイプ・浸透・呼吸タイプの、どちらも選べる素材

モルタル・窯業系サイディング・ALC・鉄筋コンクリートの外壁の場合は、新築時の仕様により防水タイプと浸透・呼吸タイプに分かれます。

塗り替えの場合には、既存の塗装に従って現状通りに塗装をすることになります。

これから新築する際には、どのような外壁にしたいかによって好きなように選ぶ事も可能です。

吸い込み止めタイプの下塗り

浸透・呼吸タイプの上塗りを塗る場合

モルタル・窯業系サイディング・ALC・鉄筋コンクリートの外壁の場合、塗り替える際に既存の塗装が浸透・呼吸タイプだった場合は、従来通りの塗装をするのが望ましくなります。

まとめ

吸い込み止め下塗り塗料についての要点をまとめます。

吸い込み止めとは?
  • 塗装をする下地には【水を含む素材】と【水を弾く素材】がある。
  • 水を含む素材のうち、塗装後に水を弾かせたい場合には吸い込み止め機能のある下塗り塗料を塗る
  • 下塗り塗料には【厚膜タイプ】と【薄膜タイプ】があるので、下地材により適した塗料を選ぶ
  • 【水分を浸透・呼吸させたい下地】に吸い込み止めタイプの下塗り塗料を塗ってはいけない

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

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この記事を書いた人

高橋良一のアバター 高橋良一 花まるリフォーム株式会社代表

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営20年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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