この記事では、外壁塗装をする時のペンキのニオイの原因について…
最終的にニオイが心配な方・不安な方は「水性塗料」を塗る事で出来るだけニオイがしないように塗装を進めるしかありません。
ただ、現状では油性塗料を使う場所もまだ多いので、外壁塗装の際には多少のニオイが出ます。
「ニオイ」がどの程度なのかを言葉や画像でイメージするのは無理ですが、判断材料が足りないと後悔の元になってしまうので、そうならないようにこのサイトでは情報提供をしています。
外壁塗装職人の2代目で、塗装の技術や塗料の知識は全て体験談です。今は年間300棟以上の家を診断する外壁塗装の専門店を経営。記事は全部自分で書いているので、ライターが書いている他の記事とは正反対の「リアルな内容」も多め。(プロフィール)
ペンキのニオイが「くさい」かどうかは人それぞれ
外壁塗装工事で使う塗料には【油性塗料】と【水性塗料】があります。
水性塗料はニオイがほぼありませんが油性塗料を塗った時にはニオイが出ます。
花のニオイは【匂い】と書き「香しい(かぐわしい)」と表現されるのに対し、ペンキのニオイは【臭い】と書き「臭い(くさい)」と表現されます。
ペンキのニオイが好きなら「匂い」と書くかもしれませんし、嫌いなら「臭い」と書くでしょう。
私はペンキ屋の息子として生まれ、ペンキが「クサイ」と言われるのがとても嫌でした。
なので、今回のコラムはいつもより力が入ってしまいました。
さて前置きはともかく今回はそんな、外壁塗装の塗料選びをする時に必ず出るこの話題「油性塗料とニオイ」についてお伝えしたいと思います。
ペンキは全部ニオイがする?
今でも現場を通りかかる小学生ちゃん達は、塗装現場に水性塗料の一斗缶が置いてあっても「あっ!ペンキだ!!臭ぃい~!!」と言って大騒ぎしてくれます(笑)
また、お見積りに伺ったお宅のご主人様が「隣は油性で塗ってるよ、臭うから」とおっしゃるので窓から見てみると、こちらも水性塗料しか置いてありません。
このように「塗料は臭うもの」という先入観は老若男女を問わず一般的にあるようです。
水性塗料にも「ニオイ」はある
では水性塗料は無臭かと言えば、そうでは無く微妙なニオイはあります。
ただそれが、くさいにおいと感じるかが問題になってきます。
(→漢字にすると「臭い臭い=くさいにおい」!?)
水性塗料のニオイは個人的には「甘い感じのニオイ」と表現したい感じです。
ニオイの元はペンキでは無い?
実は油性塗料のニオイは概ね「塗料のニオイ」ではありません。
一般的な塗料は液体の時に塗って、乾燥する過程で揮発する成分が空気中に出て行って固まります。
ニオイの元は、塗料が乾いた時に出て行った「シンナー成分=塗料の希釈液(うすめ液)」のニオイです。
(水性塗料で言うと「水」です)
ニオイの元となるシンナーの分類や特徴
水性塗料の「うすめ液」である水には種類がありませんが、油性塗料のシンナーには沢山の種類があります。
シンナーの種類を「ニオイ」の強弱で分けてみます。
弱いニオイのシンナーを使う塗料(弱溶剤塗料)
- 一般住宅の外壁塗装で使う塗料に用いられる
- 一般油性塗料・ウレタン塗料・シリコン塗料の各弱溶剤塗料用のシンナー
- プロ用では「塗料用シンナーA」という名称
- 一般DIY向けでは「ペイントうすめ液」という名称
強いニオイのシンナーを使う塗料(強溶剤塗料)
- ラッカー系塗料用のうすめ液
- 刷毛を洗ったり、下地に付いた旧塗料・接着剤やボンドなどを落とすのに使う
- スプレー塗料に多い
- 一般住宅の外壁塗装ではほぼ使われる事が無いが、使用するとすれば木部用のラッカー系ニスがある
- 強溶剤ウレタン系塗料用の薄埋め液
- バルコニーやベランダの防水工事で使われる
- 一般住宅の外壁塗装ではほぼ使われる事が無いが、使用するとすれば木部用の強溶剤ウレタン系ニスがある
- 強溶剤エポキシ系塗料用の薄埋め液
- 工場や学校などの室内用塗床材に多く使われる
- 一般住宅の外壁塗装ではほぼ使われる事が無いが、使用するとすれば強溶剤エポキシ錆止め塗料がある
- 強溶剤アクリル塗料用のシンナー
一般的に言われている油性塗料のニオイによる不安
ニオイへの感覚は個人差に大きく影響を受けますが、一般的に困ってしまうポイントの多くは下記のような症状です。
- 気分が悪い
- 頭痛
- 食欲不振
- 目がしょぼしょぼする
上記のような症状を感じたら、まずその場にはいられません。
それ以上の不快感があれば危険ですから、その場から移動(避難)しましょう。
近隣への影響はどの程度なのか
ニオイが出る塗料を使って心配なことと言えば、近隣への影響があります。
一般的にはお互いの敷地境界が歩ける空間が無い場合(家の外壁と外壁が1メートル以上離れていない場合)には注意が必要です。
家と家が離れていればシンナー臭は届く前に風に乗って飛んでいってしまいます。
しかし、敷地の間隔が狭い場合には敷地の間でシンナー成分が空気中に留まってしまいます。
するとお隣の室内にもニオイが入ってしまうでしょう。
風通しが良い環境と、そうでない場合にはニオイの影響がだいぶ違うと言えます。
一般的には知られていない油性塗料のニオイの特徴
油性塗料で外壁塗装をする時に出るニオイに関する事で、あまり知られていない影響や特徴には以下のようなことがあります。
外を塗っていてもニオイは室内に入る
油性塗料を塗る時にいつも皆さんがおっしゃる事が「窓を開けないから大丈夫、臭わないよ」ということ。
ところが不思議と窓をいくら閉めていてもニオイは室内に入ってきます。
そして、塗装工事中はなかなか換気が出来ない状況です。
塗装中は窓を開けようと思っても、ビニールシートで塞がれているので換気がしにくくなっています。
また、換気しようと換気扇を回す場合に、タイミングによっては外から取り入れた空気にシンナーが含まれていると、余計に臭くなってしまう場合もあります・・・。
ニオイは1階に溜まるので注意する
気体になったシンナーを含んだ空気はその他の空気より重いという特徴があります。
この特徴による影響で、室内に入ったニオイは2階より1階で強く感じられます。
また、壁の外側でも1階廻りにシンナーを含んだ空気が滞留しているため、2階の方が澄んだ換気との換気が早く行えます。
ニオイに注意したい家の廻りの環境
ニオイが気になってしまうケースはどの家でも均一ではありません。
下記のような家の周りの環境の場合には少し注意が必要で、もしかしたら油性の塗料は控えた方が良いのかもしれません。
- 家の敷地が奥まった旗竿地で、風通しが悪い
- 東西南北の各近隣との敷地が狭く、風通しが悪い
- 近隣含め3階建て以上の建物に囲まれていて、1階部分の風通しが悪い
- アパートや賃貸物件・お店・自宅の仕事場が1階にある
ニオイに注意したい室内の環境
家の外側で無く室内の環境でも注意しておきたいポイントがあります。
- 二世帯住宅で1階の世帯(外壁塗装中は2階で就寝するなどを検討する必要がある)
- ペットのケージが1階にある場合(人は1m以上の高さに鼻があるが、ペットは低い位置で呼吸しているため)
- ベビーベッドが1階にある
- 寝室が1階にある
出来るだけ2階以上で就寝することが出来れば、あらかじめ考慮しておいた方が良いでしょう。
シンナーのニオイでペットへの影響はある?
上記ではペットの件に触れましたが、実際にはペットの具合が悪くなったり、ぐったりしてしまったといったケースは今のところ花まるリフォームではありません。
だから大丈夫とは言えませんが一つ誤解があるとすれば、動物の鼻が利く・ニオイに敏感というのは人間に比べて何倍も強くニオイの刺激を感じてしまうのとは違うという事のようです。
ただ、ペットの方が身体が小さい分影響を受けやすいでしょうし、「臭くて耐えられない」と伝えるのも難しいでしょうから、念のため体調管理には気を付けてあげて下さい。
やっぱり水性塗料を使えば安心
特に外壁用の塗料に限っては水性塗料で対応が出来る場合がほとんどですので、わざわざニオイのする油性塗料を選ぶ必要は無いのかもしれません。
(ただし、全ての条件で水性塗料が対応できるとは限りません)
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
- ペンキのニオイが「くさい」かどうかは人それぞれ
- 水性のペンキはニオイが少ない
- ニオイの元となるシンナー
- 弱いニオイの塗料
- 強いニオイの塗料
- 塗料のニオイによる不安
- 塗料のニオイの注意点
- ペットへの影響
- やっぱり水性塗料を使えば安心
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【塗料のニオイ】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。