「外壁塗装の手抜きの方法」という下記記事を書いたところ、その他の悪質な手抜きの方もまとめておかないと…と思って書きました。
悪質な手抜きの紹介は多いが「回避する方法」はネット上には無い
「悪質な手抜き」への注意喚起は語りつくされている感もありますが、
については、あまり的を得た答えが書いてありません。
そこでこの記事を読めば他の記事には書いていない「悪質な手抜き業者に遭わないための自己防衛策」についても分かるように解説をしてあります。
ありがちな「見積りは3社から取れば安心!」とかでは無いので、参考にしてもらえると思います!
確実な見積りの取り方についてはこちらの記事にガッチリ書いてあります。
外壁塗装職人の2代目で、塗装の技術や塗料の知識は全て体験談です。今は年間300棟以上の家を診断する外壁塗装の専門店を経営。記事は全部自分で書いているので、ライターが書いている他の記事とは正反対の「リアルな内容」も多め。(プロフィール)
やるべき工事時自体をやらない=契約違反的な手抜きとは?
これから挙げる手抜きの方は、確かに悪質です。
ネット上でも色々と取り上げられていますが、どちらかと言うと論外的にアウトで、手抜きをする方にも以下のデメリットが生じます。
- 元請け担当者にはバレてしまう
- 職人の心が痛む(病む)
- 実際には手間が減らない
- あからさま過ぎる
いずれにしても、後で分かってしまうのは致命的です。
まずは、よくある手抜きの手口、そしてその防衛策について解説します。
① 屋根の洗浄が不十分な手抜き
屋根の高圧洗浄が不十分だと、せっかく屋根を塗っても未着力が不足してしまいます。
密着していないと、数年後に塗装が剝れてしまいます。
屋根の洗浄が不十分な手抜きを回避する方法
- 高圧洗浄機の種類を聞く
- 「防音型」か「開放型」かを聞く
- 見積りに高圧洗浄機の(なんだかわからなくても良いので)能書きが書いてあるか確認する
屋根の洗浄が不十分な手抜きを回避する方法① 高圧洗浄機を自前で持っているか?
外壁塗装の業界では高圧洗浄機ブームが少し前にあり、今はひと段落しています。
大抵の職人は道具好きですから、ほぼ全部の業者が高圧洗浄機は買いたい道具の1つだったのです。
ですから…今、高圧洗浄機を持っていない業者はかなり怪しいと言えます。
そして、高圧洗浄機は塗装業者が買う道具の中では高額な部類です。
そんな高額な買い物ですから「どんなエンジン式の洗浄機をお使いですか?」と聞いてみれば良いのです。
少なくとも自慢の道具に興味を持ってくれたお客さんに対して「何でそんな事聞くの?」と思う業者はいないでしょう。
- 高圧洗浄機を持っていない業者が工事を担当する
- 高圧洗浄機に興味が無い担当者→外壁塗装に詳しくない→下請けを使うのがミエミエ
屋根の洗浄が不十分な手抜きを回避する方法② 高圧洗浄機のランクを確認する
精和産業株式会社:洗浄機一覧より
高圧洗浄機は主に下記の3種類があります
- エンジン式高圧洗浄機・防音型 ←この洗浄機でないとダメ
- エンジン式高圧洗浄機・開放型(非防音型)
- 電気式高圧洗浄機(ケルヒャー)
開放型と電気式の高圧洗浄機を使う業者は危険
なぜなら、常時外壁塗装の仕事をしていない事が分かるからです。
(外壁塗装を常にしていれば、エンジン式で防音型の洗浄機が必ず必要になるからです。
開放型の高圧洗浄機を使う業者が危険な理由
もしも自前の機械であっても、常に騒音を出しながら洗浄をしているような無神経な職人が「良い仕事」をするわけがありませんね。
電気式の高圧洗浄機を使う業者が危険な理由
また、特に屋根の洗浄では電気式のパワーでは弱過ぎて丁寧には洗えません。
洗浄の圧力が弱いので、エンジン式と同じクオリティーで洗おうとすれば、3倍以上の時間が掛かり、1日で洗浄が終わらなくなります。
エンジン式(防音型)洗浄機にもランクがある
また、これは業者側の自慢というか自己満足に近いですが、自慢の機械の場合は見積り書や資料に「洗浄機のスペック」をお知らせする記載がある事が多いです。
大抵が、「150キロ圧です!」「15Mpaです!」と、何の事だか分からない自慢が書いてあるのですが…まあその自慢の機械を使うのだな、というのは分かります。
そのような記載を見かけたら「この洗浄機は防音型ですか?」とだけ確認すれば良いでしょう。
② 屋根の洗浄が乾く前に塗り始める手抜き
高圧洗浄を午前中に行い、午後から塗り始めてしまうことがあります。
確かに真夏の場合は、屋根を洗っても一瞬で水分が蒸発していくので、事実上問題無い事も多いものです。
ですから、時と場合によっては問題無いのですが…
「春や秋はどうなのか?」とか
「不安がられてしまうので、止めておいた方が良いのでは?」
という部分を含めると、午後は別の現場に行くなどの自主的な規制も必要でしょう。
屋根の洗浄が乾く前に塗り始める手抜きを回避する方法
- この手抜きは「工程表」があれば回避出来ます。
高圧洗浄で1日の工程が確保してあれば、取り敢えず大丈夫ですね。
③ 屋根の縁切りをしない手抜き
コロニアル屋根(薄型スレート屋根)を塗る時のキーワードとして「縁切り」や「タスペーサー」があります。
どちらも、屋根の重ね目を塗料で塞いでしまうのを「開けて、通気させておく処置」です
縁切りは塗装をした後にカッターなどを使って、人力で隙間を開ける工事になります。
縁切り作業は、後で確認する事が出来ないので、もしもやっていなかったとしても分かりません。
悪い人は「やりました」とウソをつくかもしれません。
縁切りをしない手抜きを回避する方法
- 「縁切り」なのか「タスペーサー」なのかを確認する
- 「縁切り」であれば依頼しないのが安全
- 「タスペーサー」なら次の質問へ進む
「縁切り」がダメな理由①
縁切りは、タスペーサーと違い、工事の有無の確認ができません。
ですから「縁切り」をするという業者の手抜きを回避するのは「依頼しない」以外ないです。
縁切りをしたか?しなかったか?については、足場に乗って見ているしかないからです。
「縁切り」がダメな理由②
また、縁切りは行ったとしても、再び屋根材と屋根材とが密着してしまうので「縁が復活してしまう」可能性があります。
縁切りするよりタスペーサーを使うべき理由
タスペーサーは物理的に屋根材と屋根材の間に空間を作ります。
縁切りと違って、1回くっ付いてしまった屋根を1枚1枚剥がす手間もかかりません。
あらかじめ引き離して、付かないように塗装が出来るタスペーサーは、タスペーサーの商品代金を差し引いても縁切りの人件費の方が高くつきます。
しかも正確性にも欠け、タスペーサーを入れたかどうかもハッキリします。
④ タスペーサーの量が足りない手抜き
タスペーサーは、塗装前に屋根の隙間に3×4センチ程度のホームベース上の「クサビ」を入れる縁切りの便利グッズです。
2~3ミリの高さがあるので、その分屋根材の重ね目に隙間が出来ます。
(タスペーサーは入れっぱなしになります)
タスペーサーを正しい場所に入れず、半分しか入れないのです。
もしかしたら、その数で正しいと思っている可能性もありますが、使用説明書を読めばすぐ分かるので、その場合は説明書を読まない手抜きとなります。
タスペーサーが足りない手抜きを回避する方法
- 見積りや解説に「タスペーサーの使用料(個数)が書いてあるか?確認する
- 記載が無ければ聞く
- 回答例①:1平米に11個なので…〇〇個です。
- 回答例②:1枚の両脇に2枚なので…〇〇個です。
「タスペーサーが入っている所の写真を見せてね」でも良いですが、こちらも「ちゃんとやりましたよ」アピールをしてくれる業者であれば向こうから見せてくれます。
⑤ 塗装回数が少ない手抜き
や外壁の塗装回数は以下の3回塗りが基本です。
(屋根の劣化状況によって下塗りを2回塗る場合などの臨機応変はあります)
- 下塗り(下塗り用塗料)
- 中塗り(上塗り用塗料と同じ)
- 上塗り
見た目では分からないとしても、塗料の厚みが違うので経年劣化の速度が速まります。
塗装回数を減らす手抜きを回避する方法
この手抜きの確認方法は、塗料の使用缶数の確認です。
外壁や屋根の下地の種類によって使用缶数は変わりますが使用量の最低ラインは分かります。
使用量が減ったとしても「半分しか使わなかった」という事はありません。
※見積りの時点で塗料のメーカー名・商品名を事前に確認しておく事はとても重要です。
塗料のカタログをもらえば、どこかに【平均的な塗り面積】などの記載があります。
※下記記事で、塗料缶数を「見積り時に記載するのは無意味」だと書いてありますが、今回の場合はあくまで予定缶数の確認です。
⑥ 塗装後の乾燥時間を守らない手抜き
適切な間隔を守り、前の工程で塗った塗料がきちんと乾燥してから塗らないと、性能を発揮出来ないからです。
塗装間隔が短い手抜き(疑惑)を回避する方法
ズバリ「同じ場所への塗装は1日2回まで」というのを確認するしかありません。
そして、現場の職人さんに毎日の予定を報告をしてもらいましょう。
こう言うと「じゃあ、ちゃんと工程表を出してもらえば良いね」となりますが、それは止めた方がいいです。
事前の工程表でガッチリ日程を固めたがる人もいますが、天候と相談しながらの仕事なのでどのように作業が進行していくかを事前に予告するのは無理なのです。
ですので、作業が終わった後の当日の進行と、翌日の予定の報告・連絡を行う事で無理のない管理・確認が出来ます。
⑦ 指定した塗料を変える手抜き
契約した塗料で塗っていなければ、明らかな契約違反です。
塗料を変える手抜きを回避する方法
この手抜きを防ぐ方法は「どんな塗料を塗ったか記録を残したいので、塗る前に写真を撮らせてほしい」と頼む事です。
工事開始後に確認しようとしても抑止力にはなりません。
職人が車から降ろして塗り始めてからでは遅いのです。
事前に自然な流れで「使う塗料が合っているか確認する」ようにしなければいけません。
まとめ
途中でも書きましたが、業者・職人を疑い過ぎても上手く行きません。
疑われているのがあからさまであれば、モチベーションが落ちたことにより「手抜き」でなはいクオリティー低下になれば元も子もありません。
さらに本当のことを言えば、この記事を実践しようというような業者に頼むべきでは無い、という事も言えてしまいます。
つまり、信じる事が出来なければ頼まない方が良いという事です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【外壁塗装と手抜き工事】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。