この記事はジョリパット外壁を初めて塗り替える方向けに書かれています。
ジョリパット系外壁の塗替えには専用の塗料があります。
しかし、多くの場合その専用塗料で塗っていません…
つまり間違った塗料で塗られてしまっています。
そして、誰もその事について気付かず、疑問も持っていません。
ジョリパット系外壁には、一般的な外壁塗装用の汎用塗料を塗ってはいけないのです。
この記事の結論、つまり「ジョリパット外壁の塗替えを初めてする場合」に知っておくべき大切なポイントは下記の2つです。
- 他の外壁の塗替えとは違って、ジョリパット系外壁を塗り替える際には「専用の塗料」がある
- 多くの業者が「専用塗料」はなく「汎用外壁塗装用塗料」で塗っている
実際にこの記事の内容を関西ペイントの営業マンに説明すると、しばらく黙って…
「その通りですね。目からウロコです」と言われました。
専用塗料で塗らず、汎用塗料で塗るメリット・デメリットを理解した上で選ぶのならば良いのです。
しかし、上記のように塗料を作っている側のメーカーでさえも汎用塗料を塗る方が良いと思っているのです。
塗装業者も同様に思い込んでしまっても無理はありません。
そんな訳で、専用の塗料があるとは知らされないまま外壁塗装を行っている家が沢山あります…
この記事では、ジョリパット系外壁の塗り替えを初めて行う前に、知っておくべき塗料選びのポイントをしっかりとお伝えします。
- ジョリパット系外壁の塗替え専用塗料の銘柄
- ジョリパット系外壁の種類
- 一般塗料を塗る外壁の種類
- 両者の特徴の違い
- なぜジョリパット系外壁に専用塗料が必要なのか?
- 間違った塗料を塗った時のデメリット
- 間違った塗料を勧めてしまう特殊な理由
- デメリットを承知で選ぶ場合
- どうやって業者を探すのか?
- ジョリパット系外壁専用塗料の中でのお勧め塗料は?
ジョリパット系外壁の塗替えで使うべき塗料
では最初に、ジョリパット系外壁の塗り替えを行う時に選ぶべき【専用塗料】についてお伝えします。
ジョリパット系外壁の塗替えで使うべき専用塗料は2020年現在、下記の5種類があります。
これ以外の塗料で塗る場合は、外壁塗装用の汎用塗料の可能性が高くなるので注意が必要になります。
- アイカ工業:ジョリパットフレッシュシリーズ(JQ-800・810・820)
- エスケー化研:アートフレッシュ
- 日本ペイント:インディフレッシュセラ
- 関西ペイント:デコラフレッシュ
- 菊水化学:グラナダフレッシュ・グラナダフレッシュF
では、なぜこれらの専用塗料で塗らないで、間違った塗料で塗ってしまうのか?について解説していきます。
ジョリパット系外壁の塗替えで間違ってしまう6つの原因
ジョリパット系外壁の塗り替えで「間違った塗料を選んでしまう」のは下記のような原因や間違った思い込みの常識があるからです。
- ジョリパット系の外壁の特徴や注意点が分かっていない
- ジョリパット系外壁の塗替えに専用塗料があることを知らない
- 一般的な外壁塗料にはグレードがあるので、ジョリパット系外壁でも同じように選ぶ事が出来ると思っている
- 外壁塗装をすると雨水を弾くようになる(弾いた方が良い)
- 外壁に雨水が浸み込むと雨漏りしやすい
- ジョリパット系の外壁は汚れやすい
「ジョリパット系外壁」の種類
まず「ジョリパット系外壁」について解説しいます。
「ジョリパット系外壁」というのは【砂壁状意匠性塗材】や【意匠性塗材】と呼んでいるカテゴリーです。
ジョリパット系外壁に「系」が付くのは、砂壁状意匠性塗材に下記の3種類あるからです。
ジョリパット系外壁
1975年にアイカ工業が「ジョリパット」を発売してベストセラーになったため、他メーカーのライバル商品(アイカ工業のジョリパットや、エスケー化研のベルアート、菊水化学のグラナダなどの)も含めて、一般的にみんなが「ジョリパット外壁」と呼んでいます。
これらの主な特徴は100種類以上のデザインが可能なことで、本来別々のカテゴリーであった「リシン吹き付け」や「スタッコ吹き付け」と同じデザインが作れてしまいます。
リシン吹き付け
リシン吹き付けは細かい砂粒状デザインが特徴です。
吹き付け材としては最も古く、現在でも多く使われています。
スタッコ吹き付け
スタッコ吹き付けは大柄のデザインが特徴で重厚感のある見栄えです。
ただ、素材がセメント系で重く施工が大変なので、現在は軽量のジョリパットの同じパターンが使われています。
リシン・スタッコも「ジョリパット系」に含まれる理由
リシンとスタッコは、古くからある別カテゴリーの塗材です。
そこに、この2つと同じ模様で同じ性質を持つ外壁が作れてしまう「ジョリパット」が発売されます。
そこで、塗料業界で古くからある分類のリシンとスタッコが、ジョリパットの数あるパターンの中に含まれてしまったのです。
その後、新築の家でどんどんジョリパットが使われていますが、2020年現在まで塗料業界内では正式な分類名がありません。
本来ならリシンとスタッコも含めて「砂壁状意匠塗材」とするべきところ、ジョリパットの名前が浸透しています。
このサイトではこれら3種類をまとめて「砂壁状意匠塗材」としていますが、この記事では分かりやすく「ジョリパット系」としてまとめています。
砂壁状意匠性塗材の詳しい解説ページはこちら
ジョリパット系外壁の特徴
ジョリパット外壁は後発の外壁塗材なので、それ以前の「塗料」というカテゴリーの特徴からは外れた部分があります。
ジョリパット系外壁の特徴を以下にまとめます。
- 新規モルタル外壁に施す
- 骨材と色の付いた塗料成分を混ぜた「塗材」が材料
- 塗材を、吹き付け・ローラー・コテなどを使い、凹凸模様と色を同時に塗り付ける
- 艶が無い
- 外壁表面に被膜を作らない
- 雨水を弾かず、浸透・放出を繰り返す
- 100種類以上の豊富な模様(テクスチャー)が可能
- 手でこすると少し痛い
- チョーキングは起こらない
- 全体的にボンヤリ汚れる
- コケが生えやすい場合もある
上記の特徴のうち、塗り替え時にポイントになるのは下記の部分です。
- 艶・仕上がり見た目
- 雨水の吸水性・放出性
一般的な汎用外壁用塗料とは?
一般的に「外壁塗装の種類」といえば、上記のような「塗料のグレード」のことを指します。
これら一般的な外壁用上塗り塗料には、アクリル<ウレタン<シリコン<ラジカル<フッ素…といったグレードがあります。
しかしこの表の塗料は一般的な外壁に塗る塗料用の表で、ジョリパット系外壁には適しません。
一番最初に挙げた5種類のジョリパット系外壁に塗る専用塗料は、この表の中には入っていないのです。
一般的な外壁用塗料で塗る外壁の種類
上記の表にある各種グレードが揃っている塗料を塗る「一般的な外壁」は下記の3種類です。
- サイディング外壁
- モルタル・鉄筋コンクリート・ヘーベル(ALC)外壁
- 既に塗り替え済みの外壁
サイディング外壁
木造住宅でサイディング外壁の場合に外壁を塗り替える場合には【一般的な外壁塗装用の塗料】で塗装をします。
サイディング外壁に塗る塗料の場合に下地を塗りつぶしたく無い場合には、クリヤー塗料を塗ることもあります。また、艶あり塗料に添加剤を入れて艶の調整をする事もできます。
モルタル・鉄筋コンクリート・ヘーベル(ALC)外壁
木造モルタルの家や鉄筋コンクリート、鉄骨ヘーベル(ALC)の外壁の場合、で外壁が下記のような見た目の場合には、一般的な外壁塗装用の塗料の各種好みのグレードで塗り替えます。
既に塗り替え済みの外壁
上記の画像は、ジョリパット系外壁に一般外壁用塗料で塗ってあります。
既にこのように塗られている場合、この上にジョリパット系専用塗料を塗ることが出来ません。
この場合には、仕方がないので前回同様に一般外壁用塗料で塗らなければいけません。
一般外壁用塗料とジョリパット系外壁専用塗料の違い
では、両者の特性で何が違うのか?の詳細を、今一度表にまとめてみます。
性質 | 一般的な 外壁用上塗り塗料 | ジョリパット系外壁 塗り替え専用塗料 |
---|---|---|
仕上がり・見た目 | ピカピカになって綺麗 | しっとり・落ち着いた印象 |
艶 | 基本的に有る | 基本的に無い |
雨水の吸収性 | 外壁の表面内に入れずに 雨水ははじく | 外壁のどこからでも 吸い込む |
雨水の放出性 | 外壁表面内に入った水は とても出にくい | 外壁のどこからでも 放出できる |
ヒビ割れへの抵抗力 | 特に無し | 特に無し |
汚れやすさ | 窓下などピンポイントで汚れる (目立つ事も多い) | 全体的にボンヤリ汚れる (目立たない事が多い) |
コケの生えやすさ | 基本的に生えにくい | 条件によって生えやすい |
劣化耐候性 | 樹脂の寿命により 自動的に寿命が尽きる | ・汚れが目立つ場合は10年以内 ・汚れないと15~20年程度(※) |
チョーキング | 寿命が尽きると手に塗料が付く | ほとんど手に塗料は付かない |
外壁用塗料としての 汎用性 | あり 色々な外壁に塗れる | なし 砂壁状意匠性塗材の上にしか塗れない |
ジョリパット系外壁に専用塗料がある理由
ジョリパット外壁には、なぜ塗替え専用塗料があるのでしょうか?
わざわざ専用の塗料を作るのには理由があります。
専用塗料では無い「一般的な外壁用塗料」とは基本的な性質が違うので、塗ってはいけないからです。
違いの詳細は下記の表にまとめますが、大事な点は2つです
- 艶・仕上がり見た目
- 雨水の吸水性・放出性
上記の性質が変わると何がいけないのかをこれから解説します。
専用塗料を塗るのが教科書的に正しい事が分かります。
艶・仕上がり見た目が変わってはいけない理由
艶消しの風合いは、ジョリパット系外壁のキモと言って良いでしょう。
実際に私がジョリパット系外壁の塗り替えで専用塗料を塗らなければいけないと気付かされたきっかけが、お客様からのこんな相談からでした…
塗り替えたらピカピカした外壁になる家、あんな風にはなりたくないの…
せっかく素敵に思えていた我が家が、塗り替えたら台無しになるなんて…こんな悲しい事はありません。
今まで通りに艶が無いまま綺麗になると思っていて、足場が取れてみたら「ピッカピカ」に輝いた我が家になってしまい愕然とした方が沢山いるに違いありません。
雨水の吸水性・放出性を変えてはいけない理由
「一般的な外壁用塗料」の特徴は…
- 雨水を弾く膜を張る・基本的には艶があるという2点
それに対してジョリパット系外壁の特徴は…
- 雨水を弾かず浸透/放出する・艶は無いと言う2点
ジョリパット系外壁に一般的な外壁用塗料を塗ってしまうと、これらの「基本性能・特徴を変えてしまう」ことになります。
雨水を弾く塗装が良い訳では無い!
ここで「雨水を弾く塗装の方が良い」と思っている方々が多いので、解説をします。
一般的には塗装をする目的の1つが「雨水を弾くこと」と思ってしまいがちです。
しかし、外壁の素材の中には「必ずしも外壁で水を弾く必要がない外壁」があります。
雨水の浸透・放出という性能が大切な理由
一般的な外壁用塗料を塗ってしまうと表面をラップで覆うようになります。
しかしサッシの隅やクラックからは、必ず雨水が外壁内に浸透してしまいます。
すると浸透した水分が外に出られなくなってしまうのです。
外に出られなくなった水分は水蒸気となり、塗膜を押し出して「膨れ→剥がれ」となります。
基本性能を踏襲した専用塗料で塗り替えを行えば、このような事が起きません。
ジョリパット系外壁は、格好良く言うと、呼吸ができる外壁とも言います。
一般的な外壁用塗料を塗ってしまうと、呼吸を止めてしまうのです。
ですから外壁の塗替え後も、その特徴を生かしたままでないといけません。
なぜ雨水を弾かなくても良いのか?
先ほど「外壁の素材の中には「必ずしも外壁で水を弾く設計にしていない」ものがある」と言い切ってしまいましたが、ほとんどの方が(塗料メーカーも)雨水を弾いた方が良いのだと思い込んでしまっています。
ここでは少し詳しくその点について解説しておきます。
外壁で雨水を弾かなくて良い理由
そもそも木造住宅での雨漏り防水対策は下記の2段階になっています。
- 1次防水
屋根材・外壁本体や表面の塗装。
建物表面の目に見える部分で雨水を防ぐ部分。 - 2次防水
1次防水の奥にある防水シート。
屋根は「ルーフィング」
外壁は「透湿防水シート」など
ヘーベル・ALCの外壁には1次防水しかなく2次防水のシートが在りません。
ですから、各ボード材の継ぎ目(シーリング材)に亀裂が入ると、必ず室内側の石膏ボード裏にまで雨が漏ってしまいます。
このように木造住宅では、2段階で雨を防ぐので1次防水では全ての雨を防げない事が前提になります。
2次防水のシートまでは雨が来ても大丈夫なように作ってあるのです。
つまり、外壁の表面塗装で必ずしも雨水を弾いて、その奥に雨水が行っても良い設計になっているのです。
リシン外壁の雨漏りと、艶あり外壁用上塗り塗料の歴史
しかし「ジョリパット」が発売される前の建物(外壁)では壁の中の防水シートの性能がまだ低く、外壁の表面で雨水を防ぐ必要がありました。
その頃はリシン外壁が一般的だったので、外壁にヒビが入るとそこから雨漏りする事も多かったのです。
そんな時に吹き付けタイル外壁+外壁用上塗り塗料の組み合わせによる「防水型塗装」が大流行したのです。
ただ、丁度「ジョリパット」が発売された頃から、2次防水の防水シートの性能が上がり始めます。
その他サッシや新建材の登場もあり、現在では特に外壁の表面で雨水を弾く必要が無くなったのです。
外壁塗装のグレードにジョリパット向けが無い理由
では、なぜ外壁塗装のグレードにジョリパット向けが無いのでしょうか?
理由は簡単、それは…
全国平均とはまるで違っていて、都内近郊だけジョリパット系外壁が多いのです。
ここをまとめると以下のようになります。
- 全国的な新築着工数の85%以上はサイディングでモルタル外壁は10%以下
- 都内近郊では、注文住宅よりも建売り住宅の方が圧倒的に多い
- 建売り住宅ではジョリパット系の外壁でないと売れない
ここは住んでいる地域によって真逆のことになるので、丁寧に解説します
① 全国的な戸建住宅の外壁はサイディングが9割
下記の調査によると日本の新築戸建て住宅の外壁は、9割近くがサイディングとなっています。
外壁仕上げは、「窯業サイディング」が76.6(78.6)、さらに「サイディング合計」で87.9(89.4)を占める。「モルタル」は7.8(6.6)となっている。
平成30年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要(日本サッシ協会)
この調査は平成28年8月以降から平成29年調査時点までに建てられた全国都道府県(沖縄を除く)のデータなので、確かに全国的にはサイディング外壁がほとんどを占める事が分かります。
この【外壁塗装のグレード】は全国平均では正しいのですが、都内近郊の建て売り分譲住宅に限ると全く当てはまりません。
つまり、全国平均ではジョリパット外壁の新築住宅は10%程度ですが,都内近郊ではジョリパット外壁が90%程度と、都内近郊とその他の全国の地域では基本的な外壁素材で全く違う性質のものが使われているのです。
② 都内近郊では、注文住宅よりも建売り分譲住宅の方が圧倒的に多い理由
ここは簡単ですね。
注文住宅を建てようとするなら、土地を既に持っている必要があります。
その場合には以下の2つがあります。
- 土地を既に持っている(空き地に建てるか建替える)
- 土地だけで買ってそこに家を建てる
①は注文住宅を建てるしかありませんが、地主さんか2世帯住宅を建てる場合に限られるとてもレアなケースです。
②の場合もレアケースで「この家に住みたい」「他の家とは違う個性的な家に住みたい」といった願望と予算が無いと実現出来ません。
このような理由で、都内近郊の戸建て住宅では圧倒的に「建売りを買うのが普通」であり、ハウスメーカーや設計士・建築士に頼む注文住宅の割合はごく少数になるのです。
③都内近郊の建売り住宅だけジョリパット系外壁が多い理由
では、なぜ建て売り住宅ではサイディング外壁は少なく、モルタル下地のジョリパット仕上げが多いのかと言うと、ジョリパット系外壁でないと、家が売れません。
その「見栄えが良い」という意味は下記の理由により、建売りではあるが注文住宅のように感じる事が出来る点です。
- 艶消しの落ち着きある風合い
- 手作業で柄を作る立体感と高級感
- 複数の柄や色を組み合わせる事によるオーダーメイド感
このように高級感があり建売り感が少ないジョリパット系外壁ですが、建築費が高く工期も長くなるので、少なからず売価も高くなるデメリットがあります。
価格が高くてもジョリパット系外壁が売れる理由
しかし、建売り住宅の場合は最終的に「売れるか・売れないか」の方が重要です。
建築費のコストパフォーマンスだけで考えると、確実にサイディング外壁の方が安価で工期も早く出来ますが、値上がり分のコストをケチったところで、見栄えが悪くて売れないのでは話になりません。
多少建築費の部分が高くなったとしても、そもそも土地代が高い地域です。
家と土地の総額費用となると、サイディング外壁にした時の割安感よりも、ジョリパット系外壁の見栄えのメリットの方が確実に上回ります。
実際には、飯田ホールディングスなどの「ローコスト系」の建て売り住宅ではサイディング外壁もあります。
しかし、一般的にはジョリパット系外壁ではない建売り住宅は皆無に等しくなります。
ジョリパット系外壁でも専用塗料を勧めない理由
ジョリパット系外壁でも専用塗料を塗らない業者の理由は4つあります。
- 無知(勉強不足)…専用塗料の存在を知らない
- 誤解
- 営業上の都合
- 会社の都合
これらの理由により、ジョリパット系外壁の塗り替え専用塗料があるにも関わらず、サイディング外壁などに塗るべき「艶あり外壁用上塗り塗料」で塗られてしまう不思議な現実があります。
デメリットを承知で一般外壁用塗料を塗る場合
さて最後に、ジョリパット系外壁でも「あえて一般的な外壁用塗料で塗る方が良い場合」があるので、どういったケースかを紹介しておきます。
それは、築年数が10年以内程度なのにも関わらず外壁がとても汚れてしまい、それが理由で外壁塗装をするケースです。
その際の汚れには、主に下記の2種類があります。
外壁に生えてしまうコケ
どんな家でも北側の外壁やバルコニーの内壁には年数と共にコケが繁殖してしまいます。
しかし、その量が著しく多い場合には専用塗料を塗った場合に同じ年数でコケが生えて来る理屈になります。
本来は専用塗料を塗るべきところですが、すぐに現状と同じようになってしまう運命であれば例外として考えるのが自然です。
この場合は、艶あり外壁用上塗り塗料を塗れば現状とは違い、コケ汚れが付きにくくなる筈です。
ピンポイントで汚れる場所がある
沢山の家で外壁塗装をしていると「確かにこの汚れは我慢が出来ないなぁ…」と思わざるを得ない汚れに出会う時があります。
そんな場合には、雨水を弾く一般的な外壁用塗料を塗る方が良いでしょう。
どうやって業者を探す?
ここまで読んで頂ければ、ジョリパット系外壁の業者選びのコツは簡単です。
ホームページのある業者の中から選ぶ場合は、施工事例を確認すれば塗料名が書いてある筈なので確認すれば分かります。
あとは見積りを取って、塗料名がしっかり書いてあるかを確認しましょう。
お勧めの塗料
最後に、ジョリパット系外壁の塗替え専用塗料が下記の5種類ある中で、どの塗料がお勧めなのか?について書いておきます。
この記事のテーマ的には、専用塗料であればどのメーカーの塗料でも問題はありません。
とは言え「おススメはどの塗料?」と気になるものだと思います。
ここまで読んで頂いた方のために、個人的な意見ですが参考にしてみて下さい。
- アイカ工業:ジョリパットフレッシュシリーズ(JQ-800・810・820)
- エスケー化研:アートフレッシュ
- 日本ペイント:インディフレッシュセラ
- 関西ペイント:デコラフレッシュ
- 菊水化学:グラナダフレッシュ・グラナダフレッシュF
評価の基準
自分なりの評価の基準は以下の通りです。
アイカ工業 | エスケー化研 | 日本ペイント | 関西ペイント | 菊水化学 | |
---|---|---|---|---|---|
基材を作っているか? | ★ | ★ | ★ | ★ | |
総合塗料メーカーであるか? | ★ | ★ | ★ | ★ | |
ラインナップ展開をしていないか? | ★ | ★ | ★ | ||
主力商品か? | ★ | ★ | ★ |
ジョリパット系外壁専用塗料の中でアートフレッシュを勧める理由
上記の表を見たら分かる通り、私のお勧めの塗料はエスケー化研のアートフレッシュです。
アートフレッシュを勧める理由は下記の部分です。
- エスケー化研は「アイカ工業のジョリパット」のライバル商品として「ベルアート」という砂壁状意匠性塗材があり、アートフレッシュは、そのベルアートの塗り替え用塗料として作られています。
- また、エスケー化研は外壁塗装の総合塗料メーカーなので塗り替え用塗料として信頼性があります。
※エスケー化研は外装用塗料市場ではトップシェアの会社です。 - エスケー化研はアートフレッシュ以外にグレードを作っていません。
個人的にですが、この系統の塗料にグレードは不要だと思っています。 - エスケー化研は元々「塗料メーカー」と言うより「塗材メーカー」なので、そもそもベルアートやリシン吹き付け材が主流です。
その塗り替え用塗料としてのアートフレッシュは、エスケー化研の中でも主力的な商品になります。
その他メーカーの評価
アイカ工業
アイカ工業のジョリパットフレッシュは、元祖ジョリパットの純正塗り替え用塗料です。
本来ならジョリパットの塗り替えなので、ジョリパットフレッシュを塗るのが正しいようにも思えます。
建材メーカーとしてのアイカ工業が、素材取り扱いのノウハウを生かしてジョリパットを作るというのは分かります。
そして爆発的なヒットを飛ばしたジョリパットに塗り替え需要が出るのは当然なので、ジョリパットフレッシュを作るのはビジネス的には正しい事です。
しかし、そもそも塗り替え用塗料はアイカ工業の得意分野ではありません。
その部分で個人的にはジョリパットフレッシュへの信頼性が若干落ちてしまうのです。
日本ペイント・関西ペイント
日本ペイント・関西ペイントは元々「塗料」のメーカーなので、砂壁状意匠性塗材のような「塗材」系統は主力商品ではありません。
一応総合塗料メーカーとしてラインナップに加えている(だけ)のように感じます。
どちらのメーカーもジョリパットの同等商品(砂壁状意匠性塗材の基材)は有りますが、ほとんど売れていません。
菊水化学
菊水化学はエスケー化研と似た感じのメーカーで、元々はセメント系吹き付け材料が主流のメーカーです。
ジョリパットの同等商品「グラナダ」は、エスケー化研の「ベルアート」よりは売れていませんが、菊水化学の中では主力の商品になります。
とりわけグラナダフレッシュをオススメしない理由は無いのですが、特にオススメする理由が無いのが実のところです。
「○○フレッシュ」と言うネーミングについて
このカテゴリーの塗料の商品名には、どれも「フレッシュ」と言う単語が入っています。
つうまり、最初に付けた商品に合わせて各メーカーが後追い的にパクったのでしょう。
このカテゴリーの元祖も気になったので調べた結果、下記の順番で各塗料が発売されています。
ジョリパットフレッシュ(2008年10月発売)
ジョリパットフレッシュを新発売 新築時のジョリパットの質感を甦らせる新トップコート
http://www.aica.co.jp/news/products/2008/10/20081030.php
アートフレッシュ(2010年11月発売)
ベルアートの改修に最適な 「アートフレッシュ」を開発
https://web.archive.org/web/20110215125950/http://www.sk-kaken.co.jp/news/2010/news20101116.html
インディフレッシュセラ(2014年10月発売)
既存の砂壁調・土壁調の塗装デザインを活かす完全つや(光沢)消し仕上げの塗替え用塗料「インディフレッシュセラ」
https://www.nipponpaint.co.jp/news/2014/wn1014.html
グラナダフレッシュ(2017年6月発売)
下記新製品を上市しました。 グラナダフレッシュ
https://www.kikusui-chem.co.jp/news/2017/products/160.html
デコラフレッシュ(2019年7月発売)
【建築用塗料】新ダイナミックシリーズ含む新製品 7 品の販売を開始
https://www.kansai.co.jp/sites/default/files/new/press19/%E3%80%90%E9%96%A2%E8%A5%BF%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%80%91%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%80%8E%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%88%86%E9%87%8E7%E6%96%B0%E8%A3%BD%E5%93%81%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E9%96%8B%E5%A7%8B%E3%80%8F.pdf#zoom=100
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事が役に立って、外壁塗装が上手く行えるようになったら嬉しいです。