外壁塗装が終わった後でこの事を知っても遅いので、出来ないものは出来ないときちんと伝える事も必要です。
- 外壁塗装が終わった後でトラブルになった
- 「出来る」って言われたのに、結局出来なかった…
- プロの目から本当のことを教えて欲しい
そんな悩みを解決できる記事を書きました。
外壁塗装職人の2代目で、塗装の技術や塗料の知識は全て体験談です。今は年間300棟以上の家を診断する外壁塗装の専門店を経営。記事は全部自分で書いているので、ライターが書いている他の記事とは正反対の「リアルな内容」も多め。(プロフィール)
外壁塗装では出来ないこと
時には「別の業者が出来るって言った」から出来るハズだと思っていたのに…
とガッカリされてしまう事もあります。
誤解をされたまま工事後に連絡をされても、残念ですが無理なことを保証の対象にはできません。
知識や経験がある業者・営業マンなら「出来ないんですよ」と言えるかもしれませんが、中には「出来ます」って言っちゃう業者も沢山いるので本当に困ってしまいます。
- 外壁塗装を行うだけでは雨漏りは修理出来ない
- ヒビ割れを埋めると見栄えが悪くなる
- 錆びた鉄部は塗装をしてもすぐに錆びる
- 経年劣化では塗装は剥がれない
- 塗りたくても塗れない場所がある
- 塗らない方が良い場所もある
- 濃い色や原色に近い色のペンキは塗った直後でも擦ると付く
では順に解説していきます。
① 外壁塗装を行うだけでは雨漏りは修理出来ない
外壁塗装で雨漏りが直らないと言ってしまうと「じゃあ何のために外壁塗装するの?」と言われそうですが…
なぜ塗装では雨漏りが直せないのか?
「雨漏り」をしたら何とか治したい気持ちは分かりますし、雨の入り口を埋めたり塞げば何とかなるハズ!と思いたい気持ちは分かります。
しかし、雨漏りしている時に塞ぎたいのは外に見えている所では無く、外からは見えないし触れない外壁の内側の防水シートが破けているところです。
ですから雨漏りを修理する部分は外壁では無く、壁の内側に開いてしまった穴になります。
外から雨の入り口を埋めたり塞ごうとする外壁の工事しても「雨漏りの根本原因」までは治せないのです。
なぜ雨漏りを治せると言ってしまう業者がいるのか?
「雨漏りを治せる」という業者は、コーキングで入り口を埋めて、雨の入り口を塞ぐ事が出来る…と思っているのでしょう。
それで治す事が出来れば良いですよね…本当にそれで治れば治したいものです。
しかし現実には(良く聞く話になってしまいますが)何度やっても治らない…という結末になります。
何度埋めても治らない…その原因は
「治った」と喜んでいたのに再発してしまう原因は簡単です。
最初から別に治ってはいなくて、埋めた場所が雨漏りの原因では無かったから。
雨漏りを「治した」「治せる」と勘違いしてしまう原因がここにあって…
- 台風や強風の時などの時に起きる雨漏りは、通常では有り得ない場所からしか雨が入ってきません。
- ですから、同じ気象状況にならないと、雨は漏らないわけです。
- 次に同じ気象条件になって雨が漏るのは、1年後なら早い方で3年~5年という事例が多いものです。
ですから、修理しなくても数年は雨漏りはしないし、修理しても数年後には雨が漏ってしまううわけです。
雨漏りに関してのもっと詳しい記事はこちらを参考にして下さい。
② ヒビ割れを埋めると見栄えが悪くなる
外壁にヒビは入って欲しくないのですが、モルタル外壁に必ずヒビが入るのは宿命です。
雨漏りにまで繋がらないようにそのヒビを埋めるのですが、その埋めた跡が線になって目立ってしまいます。
モルタル外壁のヒビを埋める方法は4つ
- 目立たない方法:外壁塗装の下塗り材(微弾性フィラー・サーフェーサー)でヒビは一旦埋める
- 微妙に埋める方法:ヒビを埋め、跡が目立たないように薄く延ばす
- 確実に埋める方法:ヒビに沿って盛り上げてコーキングを行う
- 埋めないで放置する
③ 錆びた鉄部は塗装をしてもすぐに錆びる
外にある鉄部が既にサビている場合は、きちんとした工程を行っても割とすぐにサビが出ます。
「塗装をしたのにすぐサビが出た」という話をよく聞きますが、以下の要因で仕方のない事とあきらめてもらうしかありません。
- 鉄が錆びる「酸化現象」は、自然現象なので止めようがない
- 錆ている部分を完全に取り除いてしまおうとすると、穴が開いてしまうので、完全に取り切れない
もともと自然界で鉄は錆びた状態の「鉄鉱石(酸化鉄)」で存在しています。
それを人為的に加工して、不自然な形の「鉄」を作っているのです。
つまり、鉄は酸化鉄へ戻りたがっていてそれが錆びた状態、鉄である事の方が不自然な状態なのです。
ネット上では下記のような行き過ぎ書き込みも見受けられます。
ただし、完全にサビを落とそうとすると鉄に穴が開いてしまうことが多いので「完全にサビを落とす」事は稀だと言えます。
※ 錆落としの作業を怠り、錆が残ったまま塗装を行う業者(職人)がいる。
一般の方が上記のような記述を見てしまうと、塗装を頼めば完全にサビを落として、錆止めを塗ってから上塗り塗装もするので何年もサビないだろうと思ってしまうでしょう。
しかし、塗装前のサビの進行が進んでいればいるほど、落としきれないサビが残りますので、再度サビが出てくるまでの期間も短くなります。
④ 経年劣化では塗装は剥がれない
実は業者のミスなのに「仕方ない」と誤解しているケースもあります。
「塗装をしてから年数が経ったから塗装がハガレてしまった」という誤解です。
塗装には、経年劣化で仕方なく剥がれてしまう性質は特に無いからです。
「はがれる」という意味の問題ですが「塗装の裏側の接着力が無くなってシート状にはがれる」ような下記のパターンは経年劣化では無く施工ミスになります。
- ケイ酸カルシウム板の場合:
下塗りシーラーを適宜塗っていない、パテを行う場合に下地とパテの密着をしっかり行うような施工をしなかった - 密着性の悪い素材の場合:
下地処理や目荒らし工程の失敗、下塗り塗料の選定、左記の手抜き - 密着性が特に悪くない素材の場合:
下塗りや下地処理工程の手抜き
逆に、施工ミスでは無い「不可抗力の塗装のはがれ」には下記のパターンがあります。
- 鉄部の場合:
鉄本体が錆びて(錆になり)盛り上がりることにより、結果として表面の塗装が剥がれたように感じてしまう - 木部の場合①:
木材自体が収縮して、その伸縮に付いていけない塗装が切れてしまい、結果として表面の塗装が剥がれたように感じてしまう - 木部の場合②:
木材自体に元々含まれている水分や、雨が掛かって回り込んだ水分が水蒸気となり、塗装面から出ようとして塗装を突き破った時に剥がれて見える
⑤ 塗りたくても塗れない場所がある
現場での塗装の場合、基本的に「塗れない」と判断する場所がいくつかあります。
- シリコンコーキングの上
- ワックスを掛けた事のある木部(玄関扉など)
⑥ 基本的には塗らない方が良い場所もある
最近は「下記素材の上にも塗れる」という下塗り材が発売されています。
しかしまだ実績に乏しく、今のところ無理に塗装をする必要が無ければ塗らない方が良いでしょう。
- アルミ
- ガラス
- ステンレス
- タイル
- 日本瓦
⑦ 濃い色や原色に近い色のペンキは塗った直後でも擦ると付く
信じられないかもしれませんが、実際にも起きた現象です。
濃い色や原色に近い色で、塗った後できちんと乾いていても、その後で強くこすると色が移って付いてきます。
例えば指でこすると指に付きます。
ベランダの手すりや笠木を濃い色で塗装する事はよくありますが、後日布団を干した接地面(擦った場所)に乾いている筈の塗料の色が付いてしまう事があるのです。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【雑学・考察・豆知識】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。