ユニプラル外壁のウソ・ホント…塗替えの注意点は汚れより剥がれ?

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ユニプラル

外壁材の中には特殊な物や海外からの輸入材料などがありますが、その中に「ユニプラル」という素敵な素材の外壁があります。

素敵なのは良いのですが物件数や施行例が少ないため、メンテナンスの時期や方法の特徴が分からず、間違った施工法で塗装が行われている場合も…

ユニプラルの塗り換えで間違ってしまうと「塗った塗料が剥がれ続ける」恐れがあり、大変危険です。

そこで今回は、私のユニプラルの施工実績を元に、外壁塗り替えのポイントについてお伝えします。

この記事の信頼性と独自性の理由

外壁塗装職人の2代目で、塗装の技術や塗料の知識は全て体験談です。今は年間300棟以上の家を診断する外壁塗装の専門店を経営。記事は全部自分で書いているので、ライターが書いている他の記事とは正反対の「リアルな内容」も多め。(プロフィール

ユニプラルSLとは

ユニプラルSLは「南フランス風」の日本製天然無機外壁材です。
(モノプラルKSの製造技術を元に日本で製造しているオリジナル製品)

モノプラルKSとは

モノプラルKSは1996年2月に日綜ゲーテハウス建材(株)※が仏Weber et Broutin 社と総代理店契約締結・販売をしている輸入外壁材。(※現在はゲーテハウス株式会社)

主成分はガラス質骨材(高炉水砕スラグ)で、モノプラルKSのように石化する作用は働きません

ユニプラル外壁の7つの特徴(メーカーサイトからのまとめ)

ユニプラル外壁に付いて、まずはメーカーホームページからの情報をまとめてみます。

  1. ガラス質の壁
    素材はガラス質の骨材 (スラグ)が主成分で、奇麗に無機顔料が 混ざる
  2. 耐退色性
    色落ち・色あせがほとんどなく、経過年数に合せて重厚な色合いに変化していく
  3. ライフサイクルコスト性
    吹付タイルやスタッコのような7~10年後の吹き直しは不要
  4. 呼吸する壁
    長期的に防水効果を持続し、壁が呼吸することにより壁内結露を起こしにくくなる
  5. 耐汚染
    天然無機塗材の性質上、表面に静電気が発生しづらい為、空気中の汚れが付着しにくい
  6. 意匠性
    厚塗りが可能な製品のため、彫刻等の装飾デザインの造形が可能
  7. メンテナンス性
    外気中の汚れが付着しにくく防水性もあるため、薬品洗浄による汚れ落としが可能

一般的なユニプラル外壁の評判(メリット・デメリット)

次に、一般的に言われていたりネット上でのユニプラルの評判や感想などをまとめてみました。

ユニプラルのメリット

  • ガラス質特有の美しさ
  • 優れた耐久性により、長期にわたり躯体を保護する
  • 汚れが気になるなら洗浄するだけだけで十分
  • 責任施工なので安心
  • 職人さんの腕による仕上がりのばらつきの心配が無い
  • 重厚な印象に仕上がる

ユニプラルのデメリット

  • しみて黒い汚れが付き、落ちない
  • 酸性雨により雨で外壁が粉になって削り落ちる
  • 冬季の施工は白華現象が起こりやすい
  • 熟練工でも施工が少々難しい
  • 窓廻りなどはクラックが入る
  • メンテナンス費用が高くなりそうで不安

ネット上の声

むむむっ。

ようするに、施工不良ではなく空から降ってくる「酸性雨」が悪いということか。

なんだよそれ。。。

仕様決めの打合せ時に「ユニプラルのメンテナンスは高圧洗浄すればキレイになる」と聞いていましたが、

雨で削り落ちる壁ではそんなこと出来ないわー。

7年で剥げる可能性があるなら新築時にトップコート材を塗ってよーと声を大にして言いたい!! 

Simple+Asian+Modern=K’s House 外壁の問題②・・・ 

数年経った頃から汚れば目立ち始め、今では残念な感じです。

黒ずんでいるところもあり、カビも心配です。

外壁リフォームについて質問です。 9年前に新築し、外壁はこちらの希望でユニプラルにしました。

ユニプラル・モノプラル外壁はメンテナンス系の情報に問題あり?

上記のを踏まえて、ユニプラルのメンテナンスについてのリアルな情報をお伝えしましょう。

ユニプラルはメンテナンスフリーでは無い

ユニプラルのメリットには「優れた耐久性により、長期にわたり躯体を保護する」というものがありましたが、残念ながらそう上手くは行きません。

※メーカーのホームページには「吹付タイルやスタッコのような7~10年後の吹き直しは不要です」と書かれています。
これは「10年後以降にはメンテナンスが必要である」と言っているのと同じ事ですね。

ユニプラルは特に超寿命では無い

また実際は吹き付けタイルやスタッコでも7~10年後の塗り替えは不要なので、この文章からするとユニプラルのメンテナンス性は一般外壁材と同じ事になります。

特殊な建材使う場合は新築時の期待し過ぎ(勘違い)に注意!

新築時にこのような特殊な素材を使うときには、ついつい営業マンのセールストークも実質よりも150%程度盛り上げて話しがちになるようです。

そこでユニプラル外壁にお住いの方は「このユニプラル外壁はメンテナンスフリーなんだ!と勘違いしてしまう方が多く、10年程度で外壁がとても汚れてしまって残念に感じる方も多いのです。

ユニプラル・モノプラル外壁のリアルな経年劣化の特徴と解説

では、実際にユニプラル外壁を使った日本の木造住宅ではどのように経年劣化していくのでしょうか?
上記4事例を元に解説していきます。

ユニプラル外壁の経年劣化の特徴① 汚れる

ユニプラル外壁だけではありませんが「外壁の汚れが気になって…」という悩みはおおいもの。

建物の創りによっては汚れにくい家もあると思いますが、サイディングや艶有り外壁塗装の素材と比較すると、ユニプラル外壁は汚れ方が激しい傾向にあります。

汚れる原因

艶が無く、呼吸する外壁の特徴に浸透性があります。

これらの素材ではその凹凸の隙間に藻やカビと共生する地衣類が発生しやすい環境になるのですが、それはある意味自然なことになります。

樹木の木肌また岩肌に、まるで黄緑、青緑、薄青緑のペンキが塗られているような光景を見かけたことがありませんか?実はその正体は地衣類なのです。

地衣類とは? -藻ガール尾張の博物館紀行-

ユニプラル外壁の経年劣化の特徴② 石粒が落ちる

ユニプラル・モノプラル・など漆喰系の外壁は、経年劣化により壁を触ると表面がパラパラ落ちて来るようになります。

(手で外壁を触ると、パラパラと落ちて来るのです)

外壁を経年以上に劣化させてしまう原因

この現象を加速させるのは、建物のデザインにも一因があります。

このタイプの外壁を選ぶ場合、オリジナル感のあるデザイン・シンプルモダンな外観を好んで設計が成されます。
すると、屋根の軒先の無いシュッとした家になり、ただでさえ地衣類が生えやすい素材なのに雨が降れば必ず濡れてしまう家になってしまうのです。

この事を設計時に注意喚起する設計士はいませんし、むしろ好んでそのような家を建てている現状があります。

ユニプラル外壁の経年劣化の特徴③ 外壁が削れて行く

ユニプラル外壁などの「漆喰系お洒落でステキな外壁素材」では、劣化が進行した結果外壁素材が削れて行く事が頻繁に起こります。

外壁が削れていく原因

ユニプラル外壁の表層が削られて行くと、下地モルタルまでの厚みが減っていいきます。

モルタルまで水分が行ってしまうと、すぐには乾いてくれません。
そして、凹んで雨が浸みた部分の廻りのユニプラルにも水が吸われて劣化していきます。

元々削れる部分は、外壁に雨が流れる通り道になっている部分です。
常に雨が降ればそこの部分には他よりも多くの雨水が行くので、そこだけが激しく劣化→削れて行く事になります。

ユニプラル外壁の経年劣化の特徴④ ヒビ割れと複合すると雨漏りが心配

ユニプラル外壁に限りませんが、ヒビ割れは雨漏りのもとです。

特に上記の削れた部分は雨水が浸み込んでサラッと乾いてくれません。
モルタルにも水が浸みていき、その時間が長くなれば中の透湿防水シートが濡れる回数・時間が増えて劣化します。

雨漏りに繋がる原因

木造住宅の雨を防いでいるのはこの透湿防水シートです。

このように透湿防水シートが度々濡れてしまう環境が長く続くと、いずれ破れてしまう可能性も高くなります。
当然雨漏りに繋がる可能性が出てきます。

あまり煽りたくはないのですが、削れる場所にはヒビ割れも同時に発生しやすい事もあり、雨漏りの危険も多くはなります。

ユニプラル外壁のメンテナンスの時期のサインや特徴

以上の事から、ユニプラル外壁のメンテナンスは10年程度
経年劣化による一般的な塗り替えメンテナンスが必要になる場合が十分にあると言えます。

そのメンテナンスの時期のサインや特徴を以下にまとめてみましたが、以下の自己診断が出来ない場合は、10年を目途に汚れやヒビ割れが無くても専門家の診断を受けた方が良いでしょう。

  • 部分的に汚れている所が出ていないか確認する(他の外壁と同じ塗り替えのサイン)
  • ひび割れが無いか確認する(上記同様)
  • よく日が当たり雨風にさらされる場所で、表面の石粒が落ちてこないかを確認する(ユニプラル特有の塗り替えのサイン)
  • バルコニーや土間コンクリートの上などにユニプラル外壁から落ちた石粒が無いか確認する(上記同様)

ユニプラル外壁の塗替えで特に注意したいこと

最後に、ユニプラル外壁の塗替えで特に注意したい一番大事なことをお伝えします。

ユニプラル外壁は特殊な素材なので、あまり詳しくない業者に工事を頼むと大変です。
上記のポイントやユニプラルの特性を知らないで工事の設計や塗料の選定をされてしまうので、後で外壁がボロボロ剥がれてしまう場合があります。

ユニプラル外壁の施工で一番大切な事は下塗り材の選定

剥がれるように塗られてしまう最大の要因は、下塗り材の選定間違いです。

下塗り材の選定は、全ての塗装工事のキモになりますが、ユニプラルなど「下地がポロポロ落ちてしまう外壁」の場合は特に注意が必要です。

外壁がポロポロ落ちてしまう理由

触ると落ちてしまう外壁のイメージは、昔の和室の京壁や砂壁です。

壁に砂が付いているだけのようなものなので、そこにいくら良い塗料を塗っても下地の砂が剥がれてしまいます。
塗った後で乾く時にすぐ剥がれてきてしまう時もあるのです。

ユニプラル外壁も最初の10年程度であればそのようには落ちて来ないのでしょう。
しかし「ガラス質の骨材で固めている外壁」なので、紫外線劣化でにより各骨材と骨材の接着力が落ちてしまうのでしょう。

理屈はどうあれ、触ると表面がボロボロと落ちている部分はそのように劣化している部分です。

落ちてしまう外壁下地には、どんな下塗りを塗れば良いのか?

接着力が無くなって砂状になってしまった下地の上には、一般的な塗料で塗っても剥がれるだけです。

その上には適した塗料を塗らなければなりません。
塗料の種類は下塗り材と上塗り材に分かれますが、下塗り材にも沢山の種類があります。

特にこのような場合には一般的な下塗り材では無く、下地の奥まで浸透してガッチリ固める事が求められますので、そんな下塗り材から選ばなければなりません。

一般的に良く使われる下塗り材は「微弾性フィーラー」や「微弾性サーフェーサー」等と呼ばれていますが、これらを砂っぽい下地に塗ると確実に剥がれるので危険です

プロはどうやって下塗り材の選定をするのか?

ですから、見積りでは面積や外壁の上塗り材の事も大切ですが、下塗り材の選定が一番大事です。

大事な部分なのでもう一度…

適材適所に合わせた下塗り材の選定こそが見積り仕様を決める重要な部分であり、見積り担当者のスキルが試される部分でもあるのです。

ユニプラル外壁の場合は現状の下地の状態を判断して、浸透するシーラー(浸透性シーラー)の中から適切な下塗り材を選場なければいけません。

それを正しく行うのには、商品知識と「経験と勘」が必要です。

ですから、ユニプラル外壁の塗替えを検討する場合には、確実に施工実績のある会社に頼んだ方が安全です。
(大手やチェーン店の「営業マン」には分からない判断だと思います)

※お願い

下塗り塗料の選定についてのご質問にはお答えできない場合がありますので、ご了承ください。

汚れてしまったユニプラルをの塗り替え塗料

上手く下塗り材でユニプラルを固めることが出来たら、現状に似た塗料で塗ることになります。

ここで選択肢が2つに分かれます。

  1. 汚れ対策を重視した塗料を塗る
  2. 風合いを重視した塗料を塗る

どちらにもメリット・デメリットがあるので解説します。

汚れ対策を重視した塗料を塗る

しっかり固めたユニプラルの上に、普通の艶有り塗料を塗ります。
アクリル・ウレタン・ラジカル・シリコン・フッ素…何でも構いません。

ただし、この方法は基本的にお勧めできません。
なぜなら、塗った塗料が剥がれるリスクが高いからです。

しかし、そのリスクを負ってでも「汚れにくい方を選ぶ」という方もいます。
現状の汚れ方が許せない、また同じように汚れるのは我慢出来ない場合です。

剥がれるリスクを承知で「それでも出来るだけ剥がれないように対処して艶有り塗料を塗る」そんなケースが実際にはあります。

※ただし、その間に塗るサーフェーサーは、サイディング用のエポキシ系サーフェーサーが個人的にはお勧め)

風合いを重視した塗料を塗る

しっかり固めたユニプラルの上に、ジョリパット系の塗り替え用の塗料を塗ります
各社1種類しかないので、お好みのメーカーの塗料を選びましょう。
(中身はどれもあまり変わりません)

艶消しの風合いは保たれ、剥がれる危険性も少ない塗り方です。
ただし、艶有り塗料よりは汚れやすいのは否めません。

この場合はサーフェーサーを塗ってはいけないので、工事費も若干割安です

ジョリパット系の塗り替え用の塗料

ユニプラルの風合いを変えず保つ方法

ユニプラル外壁はその風合いと高級感・重厚感が素敵な素材だと思います。

この風合いを長持ちさせる方法は以下の通りです。

① 新築時にクリヤーのコーティングを行う
② 汚れる前(約5年~10年以内)に足場を掛けて再度クリヤーコーティングを行う
③ 繰り返す

これは、風合いを重視する外壁材全てに言えます
(多色刷りサイディングや石材調の吹き付け塗装など)

今の風合いを維持するには、劣化させてしまったり汚れてしまったりすると元には戻りません。

単色塗装の場合は悪い表現かもしれませんが補修が効きますし、下地が汚れてしまっても塗り潰してしまうので問題が少ないのです。

まとめ

ここまでユニプラル外壁の特徴やメリット・デメリットをお伝えしてきました。
2020年現在、どんな外壁材でも「メンテナンスフリー」というのは無く、ユニプラルも例外ではありません。

ユニプラルは特殊で素敵な外壁ですが、そのままの風合いを維持していくには少々ハードルが高いでしょう。
出来れば新築時にこの情報を得て頂いて納得した上で選んで頂くのが良いと思います。

新築の営業マンさんには是非「メンテナンスフリー」という言葉は使わないようにして欲しいものです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【時期の目安・劣化と対処方法】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

高橋良一

高橋良一

外壁塗装の専門家

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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