例えば、外壁塗装工事を頼んだ時に「破風板が劣化してますね」と言われても、どのように傷んでいてどんな対象法があるのか?分からないまま教えてもらえない事もあります。
また、自宅の破風板に不自然さを見つけてしまった時に、
- それがどの程度の劣化なのか?
- 何もしないとどうなってしまうのか?
…など、プロの目から見たらどの程度なのかも知れたらば安心ですね。
この記事では築15年程度の家で破風板に使われる事の多いケイ酸カルシウム板(ケイカル)の再塗装について、劣化の症状と対応方法を具体的に解説します。
ご自宅の状態と見比べて判断してみて下さい。
もしも「破風板」ってなんの事?という場合はこちらの記事から見てみて下さい
破風板で使われる素材
まず、全体的な話として、破風板で使われる素材の種類についてお伝えします。
家の破風板で使われる素材の多くは以下のものになります。
- ケイ酸カルシウム板
- モルタル
- 材木
- 板金板
では、ケイカル板について①簡単な特徴・②劣化の症状・③適切な塗装の間隔・④塗装方法・⑤補修方法について解説します。
ケイカルの特徴
ケイ酸カルシウム板というのは聞き慣れない素材だとは思いますが、ベニヤやサイディング・間仕切り材などの不燃建材としてあらゆる場所に使われています。
ケイカルは下記のような白っぽいボードです。
ケイカルボードの画像を製造メーカーのチヨダウーテ株式会社様から借りてきました。
チヨダセラボード(出展:チヨダウーテ株式会社 http://www.chiyoda-ute.co.jp/product/cement/keical-chiyodace.html)
ケイカル破風板の例
上記のケイカル板製の破風板がどんなものか、10年程度経った頃の実例ご覧下さい。
こちらは白い塗装の破風板です。
あまり劣化が見られませんが、中央の合わせ目(継ぎ目)のコーキングが切れているのが分かります。
こちらは黒い塗装の破風板です。
こちらは黒い塗装の劣化がやや進んでいますし、合わせ目のコーキングが無くなっています。
ケイカル素材のメリット・デメリット
ケイカル破風板のメリット
- 伸縮性が小さい
- 腐らない
- 軽い
- 安価
- 原材料が豊富
ケイカル破風板のデメリット
- 腐らない=劣化しないと思われている
- 実は半外部用なのに、一番劣化しやすい破風板に使われている
- 新規塗装の時にシーラーを塗ってからパテをしないと、後でパテが剥がれる
- 新規塗装の時にシーラーを塗ってから塗装をしないと、後で塗装が剥がれる
ケイ酸カルシウム板は、腐らないのは良いのですが圧縮材なので、劣化が進んで行くと表面から削れたり崩れたりしてきます。
材木との大きな違いは、伸縮性と密着性
材木は伸縮性が大きく、ケイカルは伸縮性が小さいのが特徴でもあります。
その為、ケイカルは素材の伸縮による塗装のハガレはほぼありません。
また、ケイカルは圧縮材のため元々が粉です。
ケイカル素材の破風板で、釘(ビス)部分が剥がれている理由
破風板の劣化症状で、ところどころで剥がれが見られることが良くあります。
これは経年劣化では無く、ケイカル本体とパテとの密着不良によるものです。
ケイカルとパテはそもそも両方が「粉」なので、どちらも粉に戻ろうとする性質があります。
また破風板は、ついている場所がら劣化の最前線に置かれていて条件が一番厳しい場所です。
そこに粉になりたがっている2つのモノに「お互いにくっ付いていてね」と言う場合には、それ相応の手間を掛ける必要が有ります。
つまり、適度にメンテナンス塗装が必要になり、それは外壁ほど長くはありません。
ケイカル破風板の適切な塗装の間隔
破風板が家の中での一番厳しい最前線というのは塗装の劣化にとっても変わりありません。
ですから破風板は屋根の次に劣化する場所になります。
外壁塗装と外壁塗装の中間に1度、破風板の塗装を行うのが本当は良い事になります。
※そんな事をする人はあまりいませんが、理屈ではそうなってしまいます。
適切な塗装方法
とにかく条件の厳しい破風板です。
メンテナンスとしての塗装も、他の部位よりも厳重に行う必要があります。
下塗り材は2種類塗ります。
- ケイカルの表面をしっかり固め、粉になっている表面を固める【含浸固着型シーラー】
- ケイカルの表面を滑らかに整え、塗料をしっかり密着させる【サイディング外壁用の下塗り材】
この2種類をきちんと塗る事で、ケイカルに塗った塗装の寿命が外壁塗装と同程度に近い寿命を得られるのでは無いかと、淡い期待が持てます。
適切な補修方法(おススメの方法)
上記【サイディング外壁用の下塗り材】を塗装する事で、そこそこの厚みが付くので「それ以上何もしない」のが良いと思っています。
何か補修をする場合、パテなどの表面補修材を施してもパテ自体の劣化(再粉化)による密着力低下により、ハガレてしまう恐れがあります。
パテをしたい目的は段差の解消なので、塗料の剥がれ程度の段差は正直気にせず、パテの剥がれの危険を回避する方がオススメです。
同様に、釘穴やビス穴を塞ぎたい・凹みを平らにしたいという気持ちにもなりますが、下塗り材の厚みで表面の被膜は確保されていると考えます。
この凹みに関しては、気にして見てしまえば残念な気持ちになりますが、凹みが大きければ大きい程パテ材の量も増え、パテの中身が劣化して割れて来る恐れがあります。
関係無いかもしれませんが、少し重くもなるので接着力低下でパテ自体がポロっと落ちる気がします。
また、ケイカルとケイカルの継ぎ目に関しては、シール(コーキング)の打ち替えが必要になります。
これは必須条件ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「ケイカル破風板の特徴や劣化後の塗装方法」のポイントについて、以下のようにまとめてみました。
この記事でご自宅の破風板がケイカル(ケイ酸カルシウム板)だった場合に、その特徴や劣化の症状や塗装の方法について、ちょっと詳しくなれて、あなたのお役に立てたら嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
追記
ケイカル板の外部使用についての記事を書きました。
もしよろしければご覧下さい。