この記事では、外壁塗装をする時の塗料選びについて悩みがちな部分…
結論というか答えは「どちらでも良い」ので、好きな方・自分の価値観に合った方を選ぶ事が出来れば良いです。
判断材料が足りないと後悔の元になってしまうので、そうならないようにこのサイトでは情報提供をしています。
- 外壁を油性塗料で塗ったらどうなるの?
- 短所は?
- 水性塗料より良いところは?
- 油性塗料のオススメを教えて!
そんな内容をメリットとデメリット形式でまとめました。
実際に30年近く戸建住宅の外壁を塗ってきて、今も年間300棟以上の家を診断しています。
職人を20年以上経験しているので塗料技術の歴史も分かり、実際に自分で塗って来ました。
正直、ほとんどのネット記事はネット上で調べただけのライターさんの記事なので、それらとは比較にならないリアルな内容を書いています。(プロフールはこちら)
そこでこの記事では、強溶剤塗料(強いシンナー系)や水性塗料も塗った事のある経験から、メーカーでは言えない油性塗料のメリット・デメリットをお伝えします!
油性塗料と水性塗料の違い
油性塗料と水性塗料には、それぞれにメリット・デメリットがあります。
そして、特に優劣はありません。
どんなものでも同じですが好みの問題です。
油性塗料の価値観
- 信頼性
- 実績
- 水を弾く
- 寿命が長い
- ペンキと言えば油性でしょ!
水性塗料の価値観
- 臭いがしない
- 安全性
- 環境に優しい
- 安心
- 特に油性でも水性でも同じだと思う…
【耐久性】については、油性の方が「水を弾きそう」というイメージですね。
やはり油性塗料は「ニオイがある」というデメリットを持っている反面、耐久性の面でのメリットがあります。
油性・水性の持つ特徴のうち、どちらを優先にするか?はご自分の価値観の中にあります。
また、既に持っている「何となく」といったイメージに気付ければ、どちらにしても取捨選択の役には立つと思います。
油性塗料のデメリット6つ
まずはじめに油性塗料ーの短所を紹介します!
良いところだけでなく、悪い点もあるので事前に理解しておきましょう!
- デメリット1:室内に臭いがこもる
- デメリット2:ご近所に臭いがする
- デメリット3:扱っている業者が少ない
- デメリット4:完全艶消しには出来ない
- デメリット5:濃い色を塗ると危険
- デメリット6:塗料の種類が分かり辛い
デメリット1:室内に臭いがこもる
特に臭うのは自宅の室内。しかも1階が一番臭います。
理由は【油=シンナー】です。塗料の中の「臭う成分」はシンナーなので、塗料が乾く時に空気中に放出されて臭うのです。
特に1階に臭いが残る
シンナーは空気中の成分より比重が重いので、足場のネットの中で下に降りて来ます。
室内でも同じで、2階よりも1階に臭いがこもりがちです。
赤ちゃんや療養中の方、受験生などの「臭わない方が良い特別な状況の方」がご家族にいらっしゃる場合には下記の対策を行う必要があるかもしれません。
- 工事中は家にいないようにする
- 油性塗料から水性塗料に変える
- 2階以上に部屋を移す
- 工事の時期をずらす
油性塗料の臭いでペットは大丈夫?
「ペットは喋れないので、大丈夫か分からない」ですよね。
とは言え、自分の経験では外壁塗装を行う方の半数以上が室内にワンちゃんかネコちゃんがいて、今まで具合が悪くなってしまったペットちゃんは一匹もいません。
気になって調べたのですが「動物の嗅覚の鋭さ」にも下記のように各説があります。
- 嗅ぎ分ける能力が鋭く、決して強く感じるのでは無い
人の鼻が嗅ぎ分けられる臭いの種類より何倍も「違いが分かる」という鋭さ - 生きていくうえで必要なものに対してだけ敏感
嗅ぎ分ける匂いによって得意と不得意がある - 人間の嗅覚もネズミやイヌ並みに鋭く、ワインや日本酒の香りをかぎ分ける能力は人の方が鋭い
人間の鼻の感度は直立歩行したため地面から鼻が遠くなり、他の動物が感じる臭いのデータベース量が極端に減っている
人で言うと視力に似ていて、遠くの物までハッキリ見分けられる眼の良い人と、ちょっと遠くなるとぼやけて見える人の違いです。
(私のように老眼ベースで言うと、近くの物でも見えるか・ぼやけて見えないか、です)
勘違いの方だと、くさい臭いを強烈に感じてしまうのではないか?と思いがちです。
これを目に置き換えると、光を強烈に感じてしまうという事です。
暗闇から屋外に出た時に眩しく感じてしまうのに似ています。
臭いは我慢できるか?出来ないか?
これは人によって感じ方がかなり違いますが、特別敏感な方でない限り我慢できる範囲のようです。
油性塗料を塗った方の殆どが「油性でも臭うのは工事中の5~6日だけだけなので平気だった」という感想です。
デメリット2:ご近所に臭いがする
外で塗っているので、ご近所に臭いが行ってしまうのではないかと心配するかもしれません。
しかしにおいの混ざった空気は、風に乗って飛んで行ってしまうので。お隣に入ってしまう事は少ないです。
ただし。お隣との壁の隙間が50センチ程度の場合は注意が必要です。
塗料から蒸発したシンナー成分が家と家の間の1階部分で動かずに、お隣に入ってしまう恐れもあります。
そのような条件のときには油性塗料を使わない方がいいかもしれません。
デメリット3:扱っている業者が少ない
特に都内では、上記のような理由から油性塗料を扱っている業者が少ないのは事実です。
扱っている業者が少ないと言うことのデメリットは「選べない」と言う事になります。
油性塗料を塗りたいと思っている方の場合には、最初の業者選定の段階から確認しておくことも必要です。
デメリット4:完全艶消しには出来ない
塗料は油性で水性でもほとんどが、艶ありが基本です。
艶あり塗料は添加剤を入れることで、ツヤを落としていくことが可能です。
ただし油性塗料の場合は、完全つや消しにはすることができません。
(水性塗料には完全艶消しに出来るものが多い)
とは言えつや消しにすればする程、耐候性が落ちます。
外部に塗る場合には、好きなようにツヤを落としても良いかというと、注意も必要です。
デメリット5:濃い色を塗ると危険
濃い色の塗料を塗る場合の注意です。
濃い色の塗料を塗った後で完全に乾いていたとしても、強くこすると色が擦った方に付いてしまう事があります。
例えば、バルコニーの手すりに黒や濃紺の塗料を塗った後で、布団を干して取り込み時に擦るとペンキの色が布団に付いてしまう事があります。
デメリット6:塗料の種類が多くて分かり辛い
水性塗料に比べて油性塗料は、歴史も古く色々なグレードや成分・特徴の違う塗料があります。
専門的には色々な種類の塗料があれば、選択肢が増えて使用用途に的確な塗料が有るのは良い事です。
しかし種類が多過ぎると、今度はその塗料の使い勝手や性質を見極めるのに苦労してしまいます。
間違った使い方をする職人や会社があれば、元も子もなくなってしまいます。
油性塗料の評判:メリット7つ
- 長所1:信頼・実績が豊富
- 長所2:密着性が良い
- 長所3:寿命が長い
- 長所4:艶もちが良い
- 長所5:発色が良い
- 長所6:乾燥時間が早い
- 長所7:2液型塗料がある
長所1:信頼・実績が豊富
油性の塗料は最近得たものが少なく皆実績が豊富です。
実際に新商品のメリットよりも、実績が豊富なメリットのほうが大きく、その点でも油性塗料の方が安心感があります。
長所2:密着性が良い
油性塗料と水性塗料の違いが何か?と言った場合の1番のポイントが、この密着性です。
簡単に言うと、水性塗料は手についた後でもお風呂に入ってお湯で洗えば取れてしまいます。
しかし油性塗料の場合はそうはいきません。
油性マジックのように、手に付いたものが皮膚の中に浸み込んで入るので、中々落ちてくれません。
奥まで染み込んでいく性質があるので、塗ったものの表面から奥に食い込んで付着するので剥がれにくいのです。
長所3:寿命が長い
水性塗料よりも油性塗料の方が寿命が長めです。
ただし、これに関しては最近の水性塗料を頑張っています。
ただ、同じ寿命の水性塗料と油性塗料があれば、水性塗料の方が値段が高いです。
長所4:ツヤもちが良い
そもそも塗った時から油性塗料の方がきれいなツヤが出ます。
そもそも油性塗料と水性塗料を比べると、油性塗料の方が最初から良いツヤが出ます。
そしてそのツヤが長持ちするのも油性塗料の特徴です。
長所5:発色が良い
油性塗料は原色に近いきれいな色が作れます。
逆に水性塗料では出せない色があるのです。
遊具や消火器など、発色の良い色を塗りたい場合は、油性塗料でしか塗れません。
長所6:乾燥時間が早い
薄め液が水の水性塗料よりも、シンナーで薄めている油性塗料の方が乾くまでの時間が短いです。
長所7:2液型塗料がある
現在、住宅用に使われている油性塗料のメインは2液型の塗料です。
2液型と言うのは、塗料が主剤と硬化剤に塗料が分かれていて、塗る時に混ぜて塗るもの。
面倒な反面、そのメリットは上記の発色以外に関わっていて、油性塗料の性能のを上げるのにかなり貢献しています。
油性塗料を扱う業者が少ない問題について
最後に、業者側の視点でちょっと不満を書いてみます。
このように水性・油性共に良い面があるのに、不思議と多くの業者は水性塗料の見積りしか持って来ません。
その理由は、油性の「長持ち」というメリットより、ニオイでクレームになる【業者側のデメリット】を恐れるからです。
そんな水性の見積りしか出さない業者では、塗装の知識や技術を教えるよりもずっと「契約を取る方法」を教える事に一生懸命なのでしょう。
彼らにしてみれば、メーカーカタログに書いてある事を検証し直すなんてナンセンス!水性と油性の塗料が両方あるなら水性だけを勧めておけばニオイのクレームが無く、油性の方がナンセンスだ、と思うのも仕方ないのかもしれません。
(注:水性が悪い訳ではなくそれぞれに適材適所なので、色々な選択肢・長所短所をプロとしてお伝えすべき、という事です)
ただ結局、そんな「塗装の知識も技術も無い営業マン」には工事の現場監督が務まるはずがありません。
結局工事は下請け任せになってしまいます。そうならないためには、水性の見積りしか出さない業者にはきちんと納得できる理由を聞いておくことで、下請け任せの手抜き工事を回避することができるでしょう。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【塗料】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。