微弾性フィラーとは
「微弾性フィラー」とは、外壁塗装の下塗り材の一種で、正式名称は「可とう形改修塗材E 主材」です。
また、リシン・スタッコ・ジョリパット外壁で、既に塗り替え済みの場合にも使用します。
微弾性フィラーの特徴(メリット)
微弾性フィラーの特徴は、主に以下の部分です。
- 「微妙に」弾力性があるので、厚みによって下地へのクラック追随性がある
- 表面には大きな弾力は無いので、上塗り塗料は「弾性」ではなく一般形塗料を塗ることが出来る
- 工期短縮(1つの材料で下地調整、下塗り、中塗りの機能を備えています)
- 比較的防水性に優れている
- 旧塗膜表面の微細なひび割れ、巣穴などを1回塗りでカバーできる
- 適度な肉厚感があり表面が滑らかになるので、上塗りにて良好な仕上り感が得られる
- 粘度の調整により、下塗り材としてだけでなくパターン付け材としても幅広く使用できる
微弾性フィラーの注意点(デメリット)
外壁塗装の下塗り材の基本のようになっている微弾性フィラーですが、用法を間違えている業者・職人もまだまだ多くいるので注意が必要です。
見積りを取った時にチェック出来るポイントもありますので、下記に該当していないか確認すると良いでしょう。
- サイディング外壁に塗ってはいけない
- 規定値以上に薄めてはいけない
- 塗り継ぎが出来ないように塗る(1面の途中で休憩など挟まないように塗り始める)
- 呼び名が統一していないので分かり辛く、とても困る
※ 既に上記下地に微弾性フィラーが塗ってある場合は、既に透湿性が失われているので、その上の塗り替え用下塗り材は微弾性フィラーを塗るのが適切になる。
各塗料メーカーの主要な微弾性フィラー
「微弾性フィラー」と言う名前は俗称なので、各塗料メーカーごとに呼び名が違います。(統一して欲しい!)
ここでは各塗料メーカーの代表的な微弾性フィラーを紹介しましょう。
日本ペイントの微弾性フィラー【アンダーフィラー弾性エクセル】
日本ペイントがアンダーフィラー弾性エクセルに付けているカテゴリー名は【微弾性特殊アクリルゴム系樹脂エマルションフィラー】です。
とても長くてこの名称を使う機会は無いかもしれませんが(苦笑)確かにこの「微弾性フィラー」の特徴を踏まえて言い表しています。
というのは、この塗料の以下の4つの特徴を全て表しているからです。
- 微弾性…硬さの種類
- 特殊アクリルゴム系樹脂…樹脂系統の種類
- エマルション…水性
- フィラー…塗料の特性
日本ペイントには元々「アンダーフィラー」と言う弾力性の無いフィラーがあり、良く使われていました。(現在はニッペ アンダーフィラーSとニッペ アンダーフィラーALの2つになっています)
その新型商品として「アンダーフィラー弾性エクセル」もよく売れたので【微弾性フィラー】という名前がこのカテゴリーの一般名称のようになりました。
エスケー化研の微弾性フィラー【水性ソフトサーフSG】
エスケー化研が水性ソフトサーフSGに付けているカテゴリー名は【一液水性微弾性サーフェーサー】です。
エスケー化研は日本ペイントとは違い「分かりやすいネーミング」です。
- 水性、はそのままですが…
- 「微弾性」を【ソフト】で言い換え…
- 「アンダーフィラー」を【サーフ】と
どちらもカタカナ3文字で言い換えてしまいました。
(「SG」が何の略なのか、実は考えた事が無かったのですが何なのでしょうか?)
日本ペイントの名付けた「フィラー」を使わずに、エスケー化研が微弾性フィラーに「サーフ」と名付けたのはもちろん戦略でしょう。
そしてそれが的中して大ヒットしてしまったおかげで、現場は混乱です…。
それで反省したのかは分かりませんが、最新の「ラジカル制御形塗料」のラインナップでは、ついに「フィラー」と「サーフ」の商品名と使用方法(適用下地)を揃えてくれました。
これにより【モルタル用下塗り=微弾性フィラー】【窯業系サイディング用下塗り=サーフェーサー】というように、フィラーとサーフェーサーの区分が2社の中で統一されました。
塗料カテゴリー | 日本ペイント | エスケー化研 |
---|---|---|
上塗り塗料 | パーフェクトトップ | プレミアムシリコン |
微弾性フィラー (モルタル用下塗り材) | パーフェクトフィラー | 弾性プレミアムフィラー |
窯業系サイディング用 下塗り材 | パーフェクトサーフ | 水性SDサーフプレミアム マイルドSDサーフプレミアム |
とは言え、エスケー化研の「サーフ」はモルタル用なのかサイディング用なのか…いまだに混乱してしまうのです…トホホ。
関西ペイントの微弾性フィラー【アレスホルダーGⅡ】
関西ペイントが微弾性フィラー「アレスホルダーGⅡ」に付けているカテゴリー名は【水性反応硬化型弾性ホールド材】です。
残念ながら関西ペイントは商品名もカテゴリー名も「分かりにくい」です。
- 水性…は良いでしょう
- 反応硬化型…は分かりにくいし、そもそも不要な気がします
- 弾性…だと微弾性ではないのか???(エスケー化研の弾性プレミアムフィラーも同じですが…)
- ホールド材…はイマイチピンと来ないネーミングです
塗料の性能としては「好み」の範囲内になるかと思いますが、ネーミングで損をしていると思います。
菊水化学の微弾性フィラー【ロイヤルサーフ】
菊水化学が微弾性フィラー「ロイヤルサーフ」に付けているカテゴリー名は【1 液水系シリコン樹脂サーフェーサー】です。
菊水化学はエスケー化研に追随した形です。
- ロイヤル…は菊水化学の「ロイヤルシリーズ」の冠名です
- サーフ…ですから、水性ソフトサーフSGと同じですよ、という事ですね
塗料の性能としては「好み」の範囲内になるかと思いますが、ネーミングで損をしていると思います。
その他のメーカーの微弾性フィラー
その他のメーカーの微弾性フィラーを紹介します。
- 水谷ペイント…リフレッシュフィラー
- ロックペイント…ビニロック エラスティックフィラーⅢ/ロックSBフィラー
- 大日本塗料…DNT弾性フィラー一液テクトMAX
まとめ
この記事では微弾性フィラーについて、下記の点についてまとめてみました。