家の廻りを囲む塀の塗装が剝れていると嫌ですね。
しかも、何度塗り直しても剥がれて来る事が良くあります。
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塀に塗装をすると剥がれやすい理由

塀に塗装をすると「一般的に」とても剥がれやすくなります。
その理由は、塀の内部に雨水が入ってしまうから。
雨水が入る侵入箇所は主に以下の2点です。
- 一般的な塀には「屋根が無いから」
- 塀をくり抜いてポストやインターフォンが付いているから
また、排水されれば良いのですが以下の場合には、入ってしまった雨水が塀の内部に留まってしいます。
- 塀の両面を塗っている
- 塀を塗装しているのが、雨水を弾く艶有り塗料
塀の塗装を剥がれないようにするには?
塀の塗装を剥がれないようにするには、3つの方法がありますので、順に解説していきます。
塀に屋根を付ける

まず、そもそも塀の塗装を剥がれないようにするには上記の塀のように、塀に屋根を付けるのが一番です。
とは言え、塀に屋根を付けるコストを考えると「では付けましょう!」とは行きにくいですね。
塀の上面と片面だけを塗る
もしどうしても何も塗っていない塀にこれから塗装をしたいなら、塀の上面と片面だけを塗ると剥がれにくく出来ます。
家の塀(道路と家を隔てる塀)の場合、おおむね道路面=外から見える面を塗りたい事がほとんどでしょう。
ですから塀の家側の面は塗装をしないのがコツです。(理由は後述します)
塀を塗装する塗料を工夫する
塀を塗装する際の塗料を少し工夫すると、さらに剥がれにくくする事が出来ます。
塀を塗っても剥がれにくく出来る場合

【艶消し塗料】と言うと代表的なものは「ジョリパット」と「リシン吹き付け」です(※下記注)
この2つは塀にはあまり使われていません。
理由は、艶が無い場合触ると汚れがすぐ付きやすい傾向にあるからです。
しかし「ジョリパット」と「リシン吹き付け」には水分を吸ったり吐いたりする性質が有ります。
この塗装が施してある塀の場合だけですが、専用の艶消し塗料を塗る事で現状通り剥がれにくい塗装をすることができます。
(※注)
便宜上「塗る」と書きましたが、「ジョリパット」と「リシン吹き付け」は、実際は「塗装」ではありません。
新品の塀にパターン(模様)を付けるものになります
塀を塗る場合に剥がれやすくなる塗料

大抵の塀にこの艶有り塗料が塗装されています。
この艶有り塗料の性質の1つに【水を弾く性質】が有ります。
雨水を弾くのに、雨水が塀の中に入るのは変に思うかもしれませんね。
その点は艶有り塗料が多く使われる理由と一緒に、次の項目で詳しく解説しましょう。
塀に塗った塗装が剥がれやすい理由
さて「塀に塗った塗装は剥がれやすい」とは書いたものの、その理由や理屈がなければ説得力がありません。
ここできちんと解説をしておきましょう。
塀に塗ってある塗料の前提
上記でも書きましたが、大抵の塀に塗ってある塗料は「艶有り塗料」になります。
塀に艶有り塗料を塗る理由は、主に以下の点です。
- 一般的な材料だから
- 雨水を弾くから
- 汚れが付きにくいから
- すべすべしていて、触っても痛くないから (艶消し塗料はザラザラしていて、触ると痛い)
屋根の無い塀に塗った塗装が剝れてしまう理由
適切な工程で塀に塗装をしても塗装が剥がれてしまう場合、塀の内部に雨水が浸透してしまうのが原因です。
ポイントは2つで、
- 塀に屋根があれば、てっぺんから雨水は染み込みません
- ポストなど塀に開口部が無ければ、隙間から雨水が入りません[/list]
塀の側面に降り掛った雨水が浸透していう場合も考えられます。
しかし、雨水は圧倒的に上面と開口部の隙間から入ってきます。
ですから剥がれの原因を断つには、まずそこからの雨水の侵入を止める事が大切なのです。
塀の内部に水分が浸透すると、なぜ塗装が剥がれてしまうのか?
塀の内部に雨水が浸透してしまうとどうなるかと言うと、中で溜まった水分が塀の側面から外に出ようと染み出してきます。
しかし、塗装が外に塗られていると水分が外に出られません。
塀の外側で水分が留まっている状態がずっと続いてしまいます。
塀の内部に溜まった水分は、その後どうなるのか?
塀の外皮側に留まって行き場の無い水分がある状態が続くと以下の2つの事が起きます。
水分が水蒸気になって塗膜を押し出す

- 塀の上部が紫外線劣化や、塀の揺れにより目地に亀裂が入る
- 雨が降ると、その亀裂や隙間から塀の中に雨水が入る
- 雨水は塀の中に浸透する
(消えて無くなりはしない) - 塀に太陽光が当たり温度が上がると、塀の内部に有る水分は蒸発して外に出ようとする
- 水蒸気となった水分が表面の塗料を中から押し出して、塗膜が破ける
(水分は無事外に出て解放される) - 本来「水蒸気で塗料が剥がされた」と言うべきですが、一般的には「塗料が剥がれた」となる
水分が塀の下地を劣化させて塗膜が破れる
- 塀の上部が紫外線劣化や、塀の揺れにより目地に亀裂が入る(上記と同じ)
- 雨が降ると、その亀裂や隙間から塀の中に雨水が入る(上記と同じ)
- 雨水は塀の中に浸透して行く
(消えて無くなりはしない:上記と同じ) - 塀の本体に水分がある事で、次第に塀の表面が劣化していく
- 塀本体の表面が脆くなって砂っぽくなる
- 塀本体表面に塗料が付く事が出来なくなり、塗料が剥がれる
(水分は剥がれたところから垂れて落ちる) - 本来「塀内部の劣化で塗料が剥がされた」と言うべきですが、一般的には「塗料が剥がれた」となる
既に塀が塗装してある場合の対応策
既に塀の両面が塗ってある場合、どのように対応したら良いでしょう?
剥がれている場所によって、対応方法が以下の3パターンに分かれます
塀の両面が同程度剥がれている場合
塀の両面が同じくらいの量剥がれている場合は下記のようにする事です。
この方法が功を奏すれば、塀の表面を剥がれにくくする事が出来ます。
- 裏側の片面は今後塗装しない事にする
- 裏側の剥がれた近くの塗装をなるべく剥がす(無理矢理になりますが)
- 裏側の見栄えが悪いのは我慢する
- 表側片面と上面だけ塗装をする
- とは言え、表側も再度剥がれて来るのでその都度塗装を行う


塀のポストの下部両面が主に剥がれている場合
塀のポストの下部が剥がれている場合は、開口部と塀の接続部をコーキング等でしっかり塞ぎ雨水が入らないようにする事です。
この方法が功を奏すれば、塀の表面を剥がれにくくする事が出来ます。
- ポストの両面の開口部と塀の接続部を塞ぐ
- インターフォンの縁と塀の接続部をを塞ぐ
- 塀上部に照明器具があれば、塀との設置部分を塞ぐ
- とは言え、表側も再度剥がれて来るのでその都度塗装を行う


塀のあちこちが剥がれている場合
塀のあちこちが剥がれている場合は、塀の上面や開口部に雨水が入らないようにするしかありません。
塀の塗装は簡単そうに思われるかもしれませんね。
ただし「塗る事」は簡単でも、「どのように塗るか?を適切に考える事」は意外と難しい場合もあります。
ですから、最終定期には現状を受け入れて「剥がれたら塗る事を繰り返す」という対処方法も検討する必要が有るかもしれません。
塀を作る前なら考えられる事
塀を作る前なら、塀に塗装をしないようにする事も検討が出来ます。
ブロック塀のまま、塗装をしない
ただし、ブロック塀のままだと、味気ないもの。
「塀」としては機能しますが、装飾的にイマイチですね。
装飾も考えつつ塗装をしない塀には、以下の3つの方法があります。
塗装しなくて良いブロックを使う

そこで、ブロックの中には塗装をしなくても装飾が施されている「化粧ブロック」というものも有ります。
今から境界ブロック工事を行うので有れば、化粧ブロックで作るのも有力な案になります。
タイルを貼る

予算は上がりますが、塀にタイルを貼る事も出来ます。
低いブロックとフェンスにする
現状での主流の方法が、この方法です。
視線を隠すのではなく、オープンにする事で空き巣対策にもなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は下記のような、塀の塗装が剥がれやすい理由と対応方法について解説をしました。
この記事では下記の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
興味がありましたら、他の【外壁塗装の工事のポイント】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。