ニチハ パミール屋根の改修方法と建設会社の補償

ニチハ パミール屋根の改修方法

ニチハのパミール屋根は知る人ぞ知る欠陥商品です。
この記事ではそんな欠陥品のパミール屋根を使われている家に対して、建設会社がどのように補償しているか?

また、パミール屋根にはどのような補修方法があるのか?

という点について解説しています。

目次

パミール屋根とは

「パミール」というのは外装建材メーカーのニチハが製造していた屋根材のブランド名のひとつです。

生産期間は1996年から2008年までで、現在は生産中止となっています。

パミールの欠陥

パミールの主な欠陥は、屋根材表面の剥離です。

築10年程度経って屋根が劣化してくると、パミール屋根の裾の方からケーキの「ミルフィーユ」のように層になって屋根材が剥がれて来る不具合が起きるようになってきます。

そのまま気付かずにいると、その剥がれがどんどん広がっていき、屋根がボロボロになって行くのです。

メーカー(ニチハ)や建築会社のパミール屋根への対応

パミールの欠陥が見つかり始めたのは2006年頃から。

それから2年後には生産中止になっているので、本来なら屋根に葺いてしまったパミールは回収・交換するべき、と言うのが消費者心理ですよね。

しかし、メーカーのニチハや建築会社の対応は、ほとんどが「バレたら対応する」というものです。

自宅の屋根がパミールだと分かる経緯

誰も自宅の屋根がそんな状態になってしまうなんて思いません。

しかも、自宅の屋根をまじまじと見る機会なんてほとんど無いのが一般的です。

ですから一般の方が自分の家の屋根材が欠陥品だと知るパターンで一番多いのは、以下のような場合です。

建売り分譲地で家を買い、築10年を過ぎて普通に外壁塗装を行おうと建設会社に見積りを依頼すると、建設会社の方から「実はお宅の屋根はパミールと言う欠陥品でした」と知らされる。

晴天の霹靂とはこの事でしょう。

  • 我が家の屋根が欠陥品だった事
  • しかも、それが分かっていながら今まで何も知らされなかった事

パミールの不具合について黙っていた建設会社の対応は不誠実だと思わざるをえません…

建設会社の提案内容

そして、その建築会社からの対応(補償)の内容は、以下のような場合がほとんどです。

屋根を塗装する料金で(格安で)屋根を吹き変える。※ただし外壁も屋根も一緒に塗ること。

そんな、条件付きの補償になります。
この条件に納得ができるかどうかは、大きなポイントです。

条件付きの補償に納得できるかどうか?

確かに、建設会社が提案する外壁と屋根を同時に塗る料金で、屋根を吹き替え外壁を塗装する料金は、その工事をするならリーズナブルです。

となると、今まで何も言わずにいた建設会社の誠意の無さには納得はできませんが、だからといってこのパミール屋根を放置するわけにはいきません。

ですから、建設会社と縁を切って自費で屋根を控えると言う選択支も現実的には考えにくくなります

建設会社ではパミールの件で十分過ぎるほどの対応をしているでしょう。
対応策の経験値や「落としどころのノウハウ」があって当然かもしれません。

お客さんが納得する(諦める?)頃合いが分かっているという感じもします。

パミール屋根の改修案

さて、もしかするとあなたの今の状況は、まさに「今ここ」で、建築会社に外壁と屋根を塗る値段でパミール屋根を葺き替えると言われた直後…かもしれません

そこで、ちょっと冷静になってパミール屋根の改修案について、現実的にどうなのかを考えてみると以下のパターンになります。

パミール屋根の選択肢
  1. 何もしない
  2. 屋根に塗装をする
  3. 屋根を交換する(葺き替え)
  4. 屋根の上に金属屋根を載せる(カバー工法)

一応、各パターンについてメリット・デメリットなど考えてみましょう。

何もしない

何もしないメリットは以下の点です

  • メリット…費用が掛からない事
  • デメリット…屋根の劣化が早い事

何もしないと屋根はどうなってしまうのかと言うと、基本的には雨漏りに直結する事はありません。
パミールの先端が欠けて行き3割程度が無くなって残りが7割になってしまわない限り、それが原因で雨漏りする事は考えにくいでしょう。

しかし、欠けた屋根がバルコニーや庭や玄関先などに落ちてが来るようになると、見た目にも非常に見苦しく心配になるのは確実です。

それに耐えられるか?が問題になります。

また、この先30年以上その家に住むつもりがある場合には、下記の工事を行っておいた方がコストパフォーマンスの点でも良いとは思います。

屋根に塗装をする

屋根屋さんならこの提案は無いと思いますが、塗装屋さんならこの提案も条件によってはアリです。

パミールであっても、現状の劣化の状況によっては塗装で済ます事も出来ます。

ネット上には「葺き替え工事で儲けたい業者」もホームページを持っているので、当然パミール=塗装が出来ないと派手な宣伝をしているのが現状です。

しかし、実際問題パミール屋根にも塗装が出来る事は出来ますし、劣化が進んでいなければその後の経過ではミルフィーユ状に剥がれて来る部分は著しく抑えられます

つまり、条件と予算と納得感が合えばですが、パミール屋根に塗装をする事で他の屋根と同じような寿命にする事も出来るのです。

ですから、パミールを塗装するメリットとデメリットは以下のようにまとめられます。

パミールを塗装するメリットとデメリット
  • メリット…屋根塗装をするつもりだった場合、特に改修費用が増えない
  • デメリット…不安が残る・下手な塗装業者では出来ない

屋根を交換する(葺き替え)

パミール屋根を剥がし、他のスレート屋根に交換する工事です。

出来たらこれが一番理想的な改修になります。

ちなみに、建築会社が提案する改修工法は、下記のデメリットの理由でこの方法ではありません。

パミール屋根を交換する(葺き替え)メリットとデメリット
  • メリット…以降の不安が無くなる・あるべき姿に戻る
  • デメリット…費用が一番高い・工事中に雨が降ると心配・自費で工事をするならメーカー/建築会社への怒りが収まらない

屋根の上に金属屋根を載せる(カバー工法)

現在の屋根改修方法で(業者が儲かるので)一番流行っているのが、このカバー工法による修理方法です。
(施工業者にもメリットが沢山あるため)

建築会社が提案する改修工法は、下記のメリットからこの方法になります。

パミール屋根の上に金属屋根を載せる(カバー工法)メリットとデメリット
  • メリット…以降の不安が無くなる・工事中も工事後も雨漏りの心配が無い
  • デメリット…鉄板なので屋根が暑くなる・雨どいも交換しなければならなくなる・雨音がうるさくなる・自費で工事をするならメーカー/建築会社への怒りが収まらない

冷静に考え判断する

…と言う事で「何もしない」も含めたパミール屋根の今後を4パターン挙げてみました。

どのパターンで判断するか?になると、憎たらしいですが建設会社の提案があればそれに乗るのが現実的に思えます。

屋根を塗装する金額で屋根を葺き替えるのは本当に得か?

さてそこで、建設会社の提案した外壁塗装の料金が、実は屋根を葺き替える値段だったら?
単に騙されているだけになってしまいます。

念の為に一般住宅で外壁・屋根を塗装する際の金額と、屋根を葺き替える時の価格の差額の目安をお伝えしておきましょう。

塗装と葺き替えの費用の差額
  • 一般的な30坪程度の住宅で、外壁に足場をかけて全塗装をすると、80万円から100万円程度かかります。
    さらに屋根を塗装するのに30万円から40万円程度かかり、合計で110万円~140万円程度です。
  • これに対して屋根を葺き替える代金は70万円から100万円程度がおおまかな目安です。
  • もしも建設会社の保証が無く、他社で外壁を塗り屋根を葺き替える工事を依頼した場合は、150万円~200万円程度の出費になります。

したがって、40万円~60万円程度の差額が生じる事になります。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか。

繰り返しになりますが…

今まで何も言わずにいた建設会社の誠意の無さには納得はできませんが、だからといってこのパミール屋根を放置するわけにはいきません。

その納得行かない部分を上記の差額で埋める事が出来るか否か、それにより他の案も検討してみると良いでしょう。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【屋根の種類と塗料の種類】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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