屋根は通常、山形や片流れに傾斜が付いています。
この傾斜の事を「勾配」といいます。
勾配の決め方は分度器で角度を出して決める訳ではありません。
例えば水平距離10に対して高さが3の場合、3/10というように決めた傾斜の事を「3寸勾配」と言います。
6寸以上の勾配は「急勾配」といい、10寸勾配(角度で表すと45度)のことは「矩勾配(かねこうばい)」いいます。
建物によって屋根勾配が違う理由は様々ですが、下記のような都合により条件と選択肢が考えられます。
- 一般住宅の場合は必要十分な機能性とコストパフォーマンスに関係するから
- 屋根建材の種類により最低勾配が一定条件決められているから
- 建築基準法による「北側斜線制限」があるから
- 建物のデザイン上の都合
- 屋根裏収納やロフト・吹き抜け等、室内空間の有効活用をしたいから
- 鉄筋コンクリート・鉄骨・木造など、建物の構造による理由
このように様々な都合が組み合わさって屋根の勾配が決まっていきます。
一般住宅の屋根勾配は6寸が主流
一般住宅の屋根は、主にコロニアル(薄型スレート)が多く、雨漏りしない事や小屋裏空間を確保したいなどの理由で6寸勾配が主流です。
外から見たら6寸勾配はこのように見えます。
屋根建材の種類により最低勾配が一定条件決められている
屋根の素材によって、最低勾配が決まっています。
最低勾配というのは、それ以上緩やかな勾配にすると雨漏りの危険が出てくるのです。
屋根材ごとの最低勾配は以下のようになっています。
屋根材の種類 | 最低勾配 | 一般的な勾配 |
金属 | 1寸以上 | デザインにより垂直までと自由度が高い |
薄型スレート | 3寸以上 | 主に5.5~6寸だが12寸等の急傾斜も可能 |
瓦 | 4寸以上 | 主に4~5.5寸が多い(急傾斜は不可) |
屋根勾配には建築基準法による「北側斜線制限」があるから
北側斜線制限とは、建築基準法で定められた建築物の高さを制限する法規、いわゆる斜線制限の1つで、北側隣地の日照の悪化を防ぐことを目的とした法規です。
北側斜線制限は、北側隣地境界線を起点として「高さ」と「斜線の勾配(角度)」によって規制されます。
建物のデザイン上の都合で屋根勾配が決まる
建物によっては、設計士さんのイメージや好みで屋根勾配が決まる事もあります。
傾向としては、片流れ屋根のデザインや複雑な形状の屋根・急勾配・緩勾配などがあります。
屋根裏収納やロフト・吹き抜け等、室内空間の有効活用をしたい
ロフト・吹き抜けのあるリビングや屋根裏収納庫は注文住宅で新築するなら1度は検討するべき要素です。
建ぺい率や北側斜線の関係で上手く屋根を高くしても建築違反にならない立地であればなおさらでしょう。
当然勾配は急になり、屋根の塗装や屋根工事をする場合に急勾配屋根の場合、必ず足場が必要になります。ww
鉄筋コンクリート・鉄骨・木造など、建物の構造による理由
建物の構造により屋根の形状にも適材適所があります。
勾配で言うと、鉄筋・鉄骨の屋根は勾配が緩く、木造はあらゆる勾配に対応出来ます。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
屋根の傾斜=勾配だけの話題でも色々な角度から調べて行く事が出来ますね。
この記事では以下の点についてまとめてみました。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。
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