この記事では、遮熱塗料のJIS規格について、その変遷と経過をまとめています。
遮熱塗料を語る上で基準となるJIS規格ですから、うやむやにしないで何とかして欲しいです。
各省庁のサイトもリニューアルやページの閉鎖などがあり、いつまでも残っているわけでは無いので資料保存のためのページです。
制定・公示された遮熱塗料関連のJIS規格
地球温暖化対策や都市部でのヒートアイランド現象・電力消費の増大が問題となったことで、高日射反射率塗料への期待と需要が高まりました。
2020年現在では下記のJIS規格が制定されています。
- JIS K 5602(塗膜の日射反射率の求め方)
- JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)
- JIS K 5603(塗膜の熱性ー熱流計測法による日射吸収率の求め方)
今後の遮熱塗料関連JIS規格のロードマップ
現状では遮熱塗料のJIS規格は制定されていません。
今後の予定は以下のようになっています
- 新JISによる遮熱性能の比較レベル
業界基準と共通のラベル表示 - 共通の熱エネルギー・省エネ計算式
遮熱塗料が優位性を示す - 共通の検証データ・「見える化」
施工前後・体感温度 - 塗装材・建材業界との共同
遮熱塗料のJIS規格が出来るまで
1997年(平成9年)12月 京都議定書の採択
- 京都議定書の採択 環境への関心が高まると予想され、各社高反射率塗料を上市
2004年(平成16年)8月20日 遮熱塗料の効果検証を目的とした温度測定実験
東京都環境局主導のもと、ヒートアイランド現象緩和材料として遮熱塗料の効果検証を目的とした温度測定実験を実施した。
大日本塗料 当社の遮熱塗料と各分野における適用事例(508KB)
2005年(平成17年)
- 2月 京都議定書の効力発生
- 日本塗料工業会でJIS制定委員会が発足
- 遮熱塗料が環境省環境技術事業「ヒートアイランド対策技術分野」の実証対象技術になる
2008年8月5日~8月18日 長屋実験棟による省エネ効果検証
環境対応型省エネルギー対策塗料に関する研究開発
https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/annual/heisei/h20-pdf/2-8-1.pdf
[交流研究員] 田村昌隆 ロックペイント(株)
[指導担当者] 本橋健司
本研究は、ヒートアイランド対策として注目されている高反射率塗料及び熱遮蔽中塗り塗料について、昨年に引続きその性能評価を行った。
日本建築仕上材工業会(NSK)の遮熱塗料研究会で実施された長屋棟を使った省エネ実験の結果を示します。本実験では約7%の省エネ効果が確認されています。
https://toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/reflect-info2.pdf
JIS K 5602(塗膜の日射反射率の求め方)
太陽光を反射することにより、建物や道路表面の温度上昇を抑えることができる遮熱塗料は、近年、都市部を中心に問題となっているヒートアイランド現象の効果的防止策として期待されている製品です。
現在、遮熱塗料は、メーカー各社で開発が進められ、一般に市販もされていますが、製品の性能である反射率を測定する方法については各社が独自の方法を採用しているため、購入者がその性能を客観的に評価することが困難な状況にありました。
そこで、経済産業省では、遮熱塗料の反射率を評価する方法を統一し、購入者が適切に製品選択をできるようにするため、日本工業規格(JIS K5602 塗膜の日射反射率の求め方)を平成20年9月20日に制定・公示しました。
2008年(平成20年)9月20日 JIS K 5602(塗膜の日射反射率の求め方)の制定
平成20年9月20日 遮熱塗料の性能評価のための JIS を制定
規格番号 | JISK5602 |
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規格名称 | 塗膜の日射反射率の求め方 |
主務大臣 | 経済産業 |
制定年月日 | 2008/09/20 |
最新確認年月日 | 2018/10/22 |
JIS K 5602 参考文献
- JISK5602:2008 塗膜の日射反射率の求め方
- JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」の技術解説
- JIS K 5602 「塗膜の日射反射率の求め方」における不確かさ
- 高日射反射率塗料の評価方法と効果について
- 遮熱建材の日射反射率について
2010年(平成22年)2月5日 高反射率塗料がグリーン購入法の登録品目に追加される
「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)第6条第1項の規定に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」は、平成22年2月5日にその変更について閣議決定しました。
「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の変更について(お知らせ)
「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の修正案が閣議決定され、高反射率塗料が「グリーン購入法」の登録品目に追加された。
高反射率塗料は、「グリーン購入法」が公共工事において使用が義務付けられる、一定の環境負荷低減効果が認められる資材、建機、工法等の品目に追加となりました。
JIS K 5675 (屋根用高日射反射率塗料)
太陽光を反射することで建物内の温度上昇を抑えることができる高日射反射率塗料は、夏期の省エネルギーへの貢献、ヒートアイランド現象の効果的な抑止策として期待されている製品です。
現在、高日射反射率塗料は、メーカー各社で開発が進められ市販もされていますが、日射反射率は色(明度)による影響を受けることや、耐候性や日射反射保持率などの屋根用塗料として求められる各種品質要求も満たす必要があることから、使用者・消費者がその製品がもつ性能を客観的に評価することが困難な状況にありました。
そこで、経済産業省では、屋根用高日射反射率塗料の品質、試験方法、表示項目等を規格化し、その普及促進に貢献することを目的として、日本工業規格(JISK5675 屋根用高日射反射率塗料)を平成23年7月20日に制定・公示しました。
2011年(平成23年)7月20日 JIS K 5675 「屋根用高日射反射率塗料」の制定
平成23年7月20日 屋根用高日射反射率塗料のJIS を制定
規格番号 | JISK5675 |
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規格名称 | 屋根用高日射反射率塗料 |
主務大臣 | 経済産業 |
制定年月日 | 2011/07/20 |
最新確認年月日 | 2016/10/20 |
JIS K 5675 参考文献
- JIS K 5675:2011 屋根用高日射反射率塗料
- JIS K 5675 屋根用高日射反射率塗料 – 建材試験センター
- 「高日射反射率塗料に関する補足資料 2011年7月版掲載」日本塗料工業会
- 太陽熱高反射塗料の性能評価 日本塗料検査協会
- 高日射反射率塗料の性能に関する研究 その7 耐候性試験後の日射反射率について
- 高日射反射率塗料の性能に関する研究その8 色相の違いによる耐候性試験と試験後の日射反射率
- 高日射反射率塗料の性能に関する研究 その9 色相の違いによる耐候性試験と試験後の日射反射率
塗料の省エネルギー性能のJIS規格の検討
JIS K5602・JIS K5675が制定されたものの、依然として下記3つの課題が残されたままになっています。
- 多様な遮熱塗料に対応出来る評価方法
- 日射による熱が「内側に伝わる熱」を比較する
- 消費者が簡単に理解できる基準
平成24年度、塗料の省エネルギー性能評価方法調査
平成24年度に経済産業省より、2つの省エネルギー塗料に関する委託事業の公募があった。
https://www.jpia.or.jp/items/doc/vague/134/134test1.pdf
一つは平成24年度エネルギー使用合理化基盤整備事業(塗料の省エネルギー性能評価方法調査)であり、もう一つは、タイ国における高日射反射率塗料の省エネルギー性実証実験であった。
2013年(平成25年)2月
タイにおける省エネルギー技術として有効な屋根用省エネ塗料の技術協力事業」
経済産業省が実施する委託事業:「貿易投資円滑化支援事業(実証事業・一般案件)」として採択された「タイにおける省エネルギー技術として有効な屋根用省エネ塗料の技術協力事業」は、平成25年2月28日、経産省に報告書を提出し終了しました。
https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/h24METI-thai-rep.pdf
2013年(平成25年)3月
平成24年度エネルギー使用合理化基盤整備事業(塗料の省エネルギー性能評価方法調査)「経済産業省委託事業」
最近では省エネルギー性能に着目した機能性塗料の製造及び販売が伸長しつつあり、今後、これらの省エネルギー塗料を活用した住宅の省エネルギー対策の推進が期待されるところである。
しかしながら、現在は塗料の省エネルギー性能の定量的な評価方法が存在しないため、製造事業者は独自基準による省エネルギー評価を行っている現状にあり、最終ユーザーの製品選択に際して省エネルギー性能を判断する共通の指標がないことは、今後期待される省エネルギー塗料の市場拡大に向けて大きな課題である。
本調査は、住宅用省エネルギー塗料の健全な市場の形成及び我が国における省エネルギー対策推進のため、省エネルギー塗料の性能評価方法の調査検討を行い、最終ユーザーにおける省エネルギー塗料選択の際の判断指標を作成することを目的とする。
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F11252727&contentNo=1
2015年10月(平成27年)最新のJPMS規格化の動向
日本塗料工業会 技術委員会
遮熱塗料の熱特性測定方法
遮熱塗料に関する規格としては、JIS K 5602(塗膜の 日射反射率の求め方)およびJIS K 5675(屋根用高日 射反射率塗料)が制定されているが、市場で販売されて いる塗料で謳われている多様な遮熱機能、たとえば放射、 断熱、融解などについては評価ができない。
また、上記JISでは、日射反射率による性能規定であるため、直接に熱エネルギー量として比較することができない。
本規格においては、塗膜を通過する熱量を直接測定することによって、すべての遮熱機能を横並びで比較でき、一般消費者にも簡単にその特性が理解できるようにすること で、遮熱塗料の健全な市場形成と消費の拡大を図ること を目的とする。
最新のJPMS規格化の動向
2017年(平成29年)2月
平成28年度製造基盤技術実態等調査(都市部における暑熱対策・技術と化学産業の貢献可能性に関する調査)報告書
本調査では、化学産業における暑熱対策技術として、「高日射反射率塗料」を取り上げ、その普及状況調査や、普及に向けての課題点の整理を行った。
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000117.pdf
JIS K 5603 塗膜の熱性ー熱流計測法による日射吸収率の求め方
塗膜の熱性能に関しては,既に JIS K 5602(塗膜の日射反射率の求め方)で塗膜の日射反射率が,さら
に,JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)において塗料として要求される性能が光学的な方法で規定されている。
この規格は,日射吸収によって発生する熱量から日射吸収率を測定評価するために作成した日
本工業規格である。
この規格は,建築物の屋根及び外壁,構造物,機器並びに設備に用いられ,屋外で日射照射を受ける場
所で使用される塗膜の日射吸収率の熱流計測法について規定する。
2017年(平成29年)11月20日
JIS K 5603 塗膜の熱性ー熱流計測法による日射吸収率の求め方
JISK5603 塗膜の熱性能-熱流計測法による日射吸収率の求め方
規格番号 | JISK5603 |
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規格名称 | 塗膜の熱性能-熱流計測法による日射吸収率の求め方 |
主務大臣 | 経済産業 |
制定年月日 | 2017/11/20 |
日塗工は、一般財団法人 日本塗料検査協会(以下、日塗検という)と共同で、平成26年度より、日射反射機能以外の断熱、放射などの様々な遮熱機能に関わらず、日射によって塗膜に発生する熱量のうち、内側に通過する熱量として、塗膜の遮熱性能を横並びで比較評価できるような評価測定機の設計とその測定方法の標準化を推進してきた。
遮熱塗料における遮熱性能業界基準の策定と統一表示の運用について 日本塗料工業会 技術部 鈴木 譲
JIS K 5603 参考文献
- JIS K 5603:2017 塗膜の熱性能-熱流計測法による日射吸収率の求め方
- JIS K 5603:2017(塗膜の熱性能ー熱流計測法による日射吸収率の求め方)の制定
- 遮熱塗料 新JIS制定、測定横並びで比較可能に
- 塗膜の熱性能-熱流計測法による熱特性測定方法の再現性向上
- 遮熱塗料における塗膜の熱性能測定JIS制定と今後の普及活動について
2018年(平成30年)10月1日 遮熱塗料(屋根用)自主管理要領
日本塗料工業会
日塗工は、遮熱塗料の遮熱性能基準を策定し、商品の遮熱性能基準レベルの登録と、それによる統一表示を2018年10月1日より、漸次、運用していきます。
この業界基準に基づき遮熱塗料の遮熱性能を正当に評価し、その性能を分かり易く表示することにより、一般消費者に遮熱機能の理解を得ることで、遮熱塗料の認知度向上と更なる普及を目的としています。
遮熱塗料(屋根用)自主管理要領 制定:2018 年10 月1 日
2019年(令和元年)
省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費について
産業技術環境局基準認証政策課
政府戦略との連携<平成31年度の実施テーマ例>
省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費について
エネルギー基本計画>エネルギー産業政策の展開>その他の先端的な省エネ・再エネ技術
>グリーン建材・設備製品の性能評価方法(例:高日射反射率塗料の日射反射率測定方法)
遮熱塗料における遮熱性能業界基準の策定と統一表示の運用について
まとめ
1997年から数えると今年2020年で23年経ちました。
遮熱塗料もようやくゴールが見えてきたようです。
次のJIS規格で、下記の目標が早く実現する日を楽しみにしたいと思います。
- 新JISによる遮熱性能の比較レベル
業界基準と共通のラベル表示 - 共通の熱エネルギー・省エネ計算式
遮熱塗料が優位性を示す - 共通の検証データ・「見える化」
施工前後・体感温度 - 塗装材・建材業界との共同