建物のパーツの名前には専門用語が沢山あって普段使わない言葉が沢山出てきます。
例えば外壁塗装工事の見積り書に書いてある項目が、どこにあるもので何なのかが、分からない事もしばしばあります。
この記事は「破風板」がどこに有って、どういうものなのか?が簡単に分かるように書きました。
是非参考にしてみて下さい。
破風板とは?
破風板は屋根の軒先の端に付いている「板の部分」の事を指します。
破風板の場所
写真の屋根のように端が「への字」になっている屋根を「切妻屋根」と呼び、その「への字」を形作っている板の事を「破風板」と言います。
破風板と鼻隠し
屋根の縁端の板の部分は「への字」になっていない所にもあります。
(おおむね雨どいが付いている部分)
この部分は正式には破風板とは呼ばず、【鼻隠し】と呼びます。
ただ現在、慣用的に「破風板」と「鼻隠し」は区別せず「破風板」として呼ぶ事が多いです。
破風板の役割
破風板の「役割」を、その成り立ちから考えてみます。
お城や神社仏閣など、和風建築における破風板の成り立ちは以下のような役割を求められています。
風を遮る
読んで字のごとく「風を破る板」なので、建物に吹き込む風から主に屋根の軒先を守るため。
雨を遮る
破風板が無いと、屋根の垂木の木口(こぐち)に直接雨が当たります。
材木の木口は木の年輪が見えるように切るので、雨が掛かると切り口から水をよく吸ってしまい、そこが早めに腐ってきます。
破風板を付けると、その垂木の木口に雨水が掛るのを防ぐ事が出来ます。
装飾
破風板は装飾的な意味合も強い部分です。
お城で良く見られる何段も屋根が重なり合っている建物では、デザイン的に破風板があるとアクセントとして際立ちます。
唐破風(からはふ)
お城の屋根を見ると、やや反ったように弧を描いているようになっている場合があります。
曲線で屋根をつくるよりも確実に手間が掛り装飾的な建物になります。
太宰府天満宮59 本殿(唐破風造の向拝) posted by (C)Hide
千鳥破風(ちどりはふ)
切妻破風を葺き降ろしの屋根に直接置いて造られる。妻側の面を正面に据えるように付けるので据破風(すえはふ)ともいう
破風板が無い家
破風板が無い家も有ります。
破風板を付けるとしたら、下記赤囲いの部分に付ける事になります。
この家のように、特に破風板が無くても特に問題がある訳ではありません。
ただ、このように破風板を付けず、軒下の板も見せるように作るととても手間が掛ってしまいます。
下地の材木を1本1本カンナで削って仕上げ塗装もしなければならないからです。
手間が掛かるという事は、建築費もその分高くなってしまいます。
ある意味破風板が無い家の方がデラックス仕様なのです。
現代の一般住宅における破風板の役割
そこで、洋風建築の様式を取り入れ始めた戦後の建物から徐々に変わって行きます。
自分が分かる範囲で、昭和40年以降の住宅建築の歴史を振り返りつつ考えて見ると、平成・令和の一般住宅では「破風板の役割」は既に上記の「成り立ちから考える破風板の役割」を知っていてもあまり意味はありません。
簡単に言うと、昭和後半以降の日本式洋風一般住宅用式では、下記の【軒裏廻りの3点セット】が流行して現在に至るのではないかと思います。
日本式洋風一般住宅用式の軒裏廻り3点セットとは?
- 雨どいを付ける場所としての「鼻隠し」
- 切妻屋根の母屋の先端を覆うための「破風板」
- 軒裏の垂木が見えてしまうのをベニヤ板で塞ぐ「軒裏」
これらはいずれも和風建築の風合いを消し、洋風に見せる工夫なのかな?と思います。
また、建築コスト削減にも一役買っている気もします。
特に軒裏を板で塞いでしまった方が、下地の材木を現わして見えなくしてしまった方が中身が見えてしまうより手間とコストがかからないのです。
破風板の素材・実例集
破風板の素材は主に以下の材質になります。
- 木製
- ケイ酸カルシウム板
- 板金板
- モルタル
木製の破風板の例
ケイ酸カルシウム板の破風板
板金の破風板の例
モルタルの破風板の例
まとめ
いかがでしたか?
建物のパーツには普段使わない用語も沢山あります。
今回は「破風板」についての以下のポイントについてまとめてみました。
この記事で「破風板」がどこに有って、どういうものなのか?が簡単に分かるようになったと、あなたのお役に立てたら嬉しいです。