2011年【黒い遮熱塗料の効果:フラット塗板・凹凸塗板】実験の結果

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2011年 遮熱塗料実験 黒い遮熱塗料の効果

遮熱塗料の効果を正しく検証するために、自分で実測しています。
「メーカーの言う事を鵜呑みにしてはいけない」と言うのが父の口癖だったからです。

2009年から毎年行っている遮熱塗料の実証実験の3年目の結果をまとめました。
今年は全部で5種類の実験を行っています。

ここでは遮熱塗料の下地の違いによる効果を確認するために「フラット面」と「リシン吹き付け面」で温度を計測した結果をまとめてあります。

※塗板(ぬりいた)とは、外壁塗装の色を決める時作る色のサンプル見本の事です。
今回は、手持ちの塗板に各遮熱塗料を塗って計測用の塗板を作りました。

計測用塗板の作り方や遮熱塗料実験の概要はこちらで詳しく解説しています。
2011年遮熱塗料実証実験の概要

目次

実験を行った塗料

実験を行った塗料は以下塗料、遮熱塗料4種類と比較用の一般屋根用塗料です。

フラット塗板の遮熱塗料の効果・実験の結果

試験の結果は下記の表のように【水谷ペイント 快適サーモU が一番温度が低くなりました

順位遮熱塗料
1位水谷ペイント 快適サーモU
2位エスケー化研 クールタイト
3位日本特殊塗料 パラサーモ
4位日本ペイント サーモアイUV(専用シーラー有り)
5位日本ペイント サーモアイUV(専用シーラーなし)
2011年 遮熱塗料実証実験の結果平均値(フラット塗板)
2011年 遮熱塗料実証実験の結果平均値(フラット塗板)

全データのグラフ(フラット塗板)

全てのデータを見ると、毎日夕方の17時には外気温と同程度に温度が落ちる事が分かります。
また、必ずしも外気温がこの温度になると塗板表面温度もこの温度になるといった同一性がありません。
ただし、温度の上昇はどの塗料もほぼ同じ事から、フラット塗板表面の温度上昇は外気温だけでなく直射日光による影響を受けやすい事が分かります。

2011年遮熱塗料実証実験の結果(フラット塗板)全データ
2011年遮熱塗料実証実験の結果(フラット塗板)全データ

リシン塗板の遮熱塗料の効果・実験の結果

試験の結果は下記の表のように【エスケー化研 クールタイトが一番温度が低くなりました

また1位~5位までの温度差は1.37℃となっています。

順位遮熱塗料
1位エスケー化研 クールタイト
2位日本ペイント サーモアイUV(専用シーラー有り)
3位水谷ペイント 快適サーモU
4位日本特殊塗料 パラサーモ
5位日本ペイント サーモアイUV
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)平均温度のグラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)平均温度のグラフ

全データのグラフ(リシン塗板)

全てのデータを見ると、毎日夕方の17時には外気温と同程度に温度が落ちる事が分かります。
また、必ずしも外気温がこの温度になると塗板表面温度もこの温度になるといった同一性がありません。
ただし、温度の上昇はどの塗料もほぼ同じ事から、フラット塗板表面の温度上昇は外気温だけでなく直射日光による影響を受けやすい事が分かります。

2011年遮熱塗料実証実験(7月1日~7月9日)リシン塗板(全データ)
2011年遮熱塗料実証実験(7月1日~7月9日)リシン塗板(全データ)

フラット面と凹凸リシン面との温度差の結果

今回の実験では、フラット板とリシン下地の温度差がハッキリ出ました。

2011年 遮熱塗料実証実験の結果平均値(フラット塗板)
2011年 遮熱塗料実証実験の結果平均値(フラット塗板)
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)平均温度のグラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)平均温度のグラフ

上記2つの表を合体させると下記のようになります。

2011年【リシン・フラット塗板】比較

薄まっている方のフラット塗板の方が全体的に温度が高く、2℃前後の差があります。

この実験から、表面が平らな塗装面よりも凹凸のある塗装面の方が表面温度が低くなる傾向がある事が分かりました。

日本ペイント サーモアイUV専用シーラーの遮熱効果

また、今回の結果からはフラット塗板下地の「サーモアイUV・専用シーラー有り」に著しく悪い結果が出ています。
本来なら下塗り無しのサーモアイUVよりも温度が低く無ければおかしいのに…これはどういう事でしょうか?

専用シーラー有りの方がシーラー無しよりも熱くなっているのは、理屈が合いません。

サーモアイシーラー
サーモアイシーラー

温度の差は「下地の色でも変わる」証拠

サーモアイシーラー有り

塗板の下地はこげ茶

サーモアイUV・専用シーラー有り・無し
フラット塗板は、サーモアイシーラー有りの方が熱くなっている…
サーモアイシーラー無し

塗板の下地は薄い黄色

温度の差が出たのは、上記写真がヒントになるかもしれません。
これは塗板を作成している時のものです。

この写真から下地の色が温度に影響を与え、フラット下地の方は元の色が茶色なので上塗りを透過した赤外線が吸収されて熱くなった考えられます。

下地が同じならサーモアイシーラーが効果を発揮する証拠

サーモアイシーラー有り
(下地ピンク色)

サーモアイUV・専用シーラー有りの方が温度が低い

同じ下地なら、サーモアイ専用シーラーを塗った「リシン下地」は正しく温度が低くなる。

サーラー無しのサーモアイUV

サーモアイシーラーなし
(下地ピンク色)

その証拠としてリシン下地の方は【サーモアイシーラー有り】の方が【シーラー無し】よりも温度が下がっています
この2枚は下地の色が両方ピンクです。
下地の条件が同じであれば、きちんとサーモアイシーラーには効果が出るわけです。

シーラーの有り・無しの下地がどちらも似たピンク色なので、下地の色による影響は無いものと思われます。
この2枚の温度差は、他の塗料の「フラット・リシン」の温度差とほぼ同じです。

実験の詳細

遮熱塗料は全て遮熱機能の無い「新品屋根材」より温度が低くなっています。
金属面では直射日光が当たっていると遮熱塗料の中での温度差は3℃程度あるので、データ集計を重ねれば効果の度合いも分かって来そうです。

実験の概要

どのように実験を行ったのか、概要は下記をご覧下さい。

7月1日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月1日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月1日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月1日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月1日の計測グラフ

7月4日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月4日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月4日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月4日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月4日の計測グラフ

7月5日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月5日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月5日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月5日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月5日の計測グラフ

7月6日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月6日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月6日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月6日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月6日の計測グラフ

7月7日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月7日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月7日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月7日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月7日の計測グラフ

7月9日の遮熱塗料計測データ

フラット塗板

2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月9日の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(フラット塗板)7月9日の計測グラフ

リシン塗板

2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月9の計測グラフ
2011年遮熱塗料実証実験(リシン塗板)7月9の計測グラフ

計測の方法

このように1つ1つ温度を計って上記のデータを集計しています

2011年7月1日14時の計測(フラット塗板)

2011年7月5日14時の計測(リシン塗板)

まとめ

今回の実験では以下の3点が確認できました。

  1. フラット下地の方が熱くなり、凹凸のあるリシン下地の方が温度が低い
  2. サーモアイ専用シーラーを塗った方が温度が下がる
  3. 上塗りの色が同じでも、見えなくなっている下地の色により表面温度に違いが出る

2011年フラット・リシン塗板の遮熱塗装実験の全データ

フラット塗板で計測したデータ

日付時刻気温クールタイトサーモアイUV
(シーラー)
サーモアイUVパラサーモ快適サーモU
2011/6/2913:0033℃62℃66℃64℃64℃64℃
 14:0032℃42℃43℃42℃43℃42℃
 15:0036℃55℃58℃55℃54℃53℃
 16:0038℃47℃49℃48℃48℃47℃
 17:0032℃31℃32℃31℃31℃32℃
2011/7/113:0031℃46℃48℃47℃48℃47℃
 14:0030℃37℃37℃37℃36℃35℃
 15:0031℃40℃41℃40℃41℃41℃
 16:0030℃33℃33℃33℃33℃33℃
 17:0030℃31℃31℃30℃31℃30℃
2011/7/413:0031℃40℃40℃39℃40℃39℃
 14:3034℃62℃64℃61℃60℃59℃
 15:3034℃43℃42℃42℃42℃42℃
 16:3035℃49℃49℃46℃46℃45℃
2011/7/513:0033℃60℃61℃60℃59℃59℃
 14:0040℃66℃64℃62℃64℃62℃
 15:0039℃60℃60℃61℃61℃59℃
 16:0034℃34℃34℃34℃34℃34℃
2011/7/613:0033℃58℃68℃71℃68℃65℃
 14:0038℃60℃63℃60℃63℃61℃
 15:3037℃54℃57℃54℃55℃54℃
 16:0034℃38℃39℃39℃39℃39℃
 17:0032℃35℃35℃35℃35℃35℃
2011/7/713:0034℃45℃45℃43℃43℃41℃
 14:0033℃38℃39℃38℃38℃37℃
 15:0034℃40℃40℃39℃39℃38℃
 16:0032℃32℃33℃32℃32℃32℃
2011/7/912:0030℃55℃58℃56℃57℃56℃
 13:0038℃61℃64℃61℃62℃60℃
 14:0039℃67℃71℃67℃67℃66℃
 15:0040℃66℃68℃65℃66℃64℃
 16:3037℃56℃58℃55℃56℃56℃
        
 平均値 48.22℃49.69℃48.34℃48.59℃47.72℃

リシン塗板で計測したデータ

日付時刻気温クールタイトサーモアイUV
(シーラー)
サーモアイUVパラサーモ快適サーモU
2011/7/113:0031℃45℃46℃46℃46℃46℃
 14:0030℃37℃37℃37℃37℃37℃
 15:0031℃38℃38℃39℃40℃40℃
 16:0030℃33℃33℃33℃33℃33℃
 17:0030℃31℃31℃31℃31℃31℃
2011/7/413:0031℃39℃38℃39℃40℃39℃
 14:3034℃49℃55℃63℃63℃63℃
 15:3034℃41℃40℃41℃41℃41℃
 16:3035℃47℃48℃48℃48℃47℃
2011/7/513:0033℃55℃54℃53℃54℃55℃
 14:0040℃65℃65℃66℃62℃61℃
 15:0039℃55℃55℃55℃56℃56℃
 16:0034℃34℃34℃34℃34℃34℃
2011/7/613:0033℃64℃66℃66℃65℃61℃
 14:0038℃59℃60℃60℃60℃62℃
 15:3037℃48℃48℃53℃54℃53℃
 16:0034℃37℃38℃38℃39℃38℃
 17:0032℃33℃34℃35℃35℃35℃
2011/7/713:0034℃43℃43℃44℃43℃42℃
 14:0033℃38℃38℃38℃38℃37℃
 15:0034℃38℃39℃39℃38℃38℃
 16:0032℃32℃32℃32℃32℃32℃
2011/7/813:0036℃39℃39℃40℃39℃39℃
 14:0037℃40℃40℃40℃40℃40℃
 15:0037℃40℃40℃40℃40℃39℃
2011/7/912:0030℃53℃54℃54℃54℃52℃
 13:0038℃58℃59℃60℃60℃58℃
 14:0039℃63℃66℃67℃67℃65℃
 15:0040℃62℃63℃64℃64℃62℃
 16:3037℃55℃56℃57℃56℃55℃
        
 平均値  45.70℃46.30℃47.07℃46.97℃46.37℃

注意事項

実験に使用した塗料は当時販売していたものです。
閲覧して頂いている時点で廃版となっている塗料もありますので、その旨ご了承ください。

2011年遮熱塗料実証実験 各実験の結果

その他の年の実験結果

2009年の遮熱塗料実証実験の結果

2010年の遮熱塗料実証実験の結果

2011年の遮熱塗料実証実験の結果

2012年の遮熱塗料実証実験の結果

2014年の遮熱塗料実証実験の結果

2011年 遮熱塗料実験 黒い遮熱塗料の効果

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この記事を書いた人

高橋良一のアバター 高橋良一 花まるリフォーム株式会社代表

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営20年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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