塗料の有機溶剤【VOC】は有害?環境問題・シックハウス症候群への影響

この記事は、塗料から排出されるVOC(揮発性有機化合物)って何だろう?
身体に悪いの?何か悪影響があるの?

という疑問への解説です。

塗料のVOCとは?
  • VOCって何なの?
  • 身体に悪いの?
  • 何か悪影響があるの?
  • シックハウス症候群になるの?
  • 低VOC塗料のオススメを教えて!

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

実際に30年近く戸建住宅の外壁を塗ってきて、今も年間300棟以上の家を診断しています。
職人を20年以上経験しているので塗料技術の歴史も分かり、実際に自分で塗って来ました。
正直、ほとんどのネット記事はネット上で調べただけのライターさんの記事なので、それらとは比較にならないリアルな内容を書いています。

そこでこの記事ではVOCの裏話も交えてお伝えします!

目次

塗料のVOC=揮発性有機化合物とは

VOC揮発性有機化合物

VOC とは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で、揮発性があり大気中で気体状となる揮発性有機化合物の総称です。

VOCは大気中にある揮発性有機化合物のうち沸点が50℃〜260℃(WHO基準による)の物質の総称で、その種類は数百種類にもおよびます。

中には発がん性など人体に有害な影響を及ぼすものも多く,最近ではシックハウス症候群の原因物質としても知られています。

また、窒素酸化物(NOx)とともに光化学スモッグをもたらす主要な原因物質です。

塗料の中成分では、シンナー(有機溶剤)がVOCになります。

VOCとは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれます。

環境省 https://www.env.go.jp/air/osen/voc/voc.html

VOC は塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどが代表的な物質です。

VOCと塗料中の有機溶剤の関係

塗料用シンナー

有機溶剤とは、塗料の「薄め液=シンナー」のこと。

有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、
様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されて
います。

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/120815-03.pdf

有機溶剤は数百種類あるVOCの中から、有機溶剤中毒予防規則(有機則)の対象となるものを言います。
ですから【VOC】>【有機溶剤】となります。

第1種有機溶剤
  • クロロホルム 67-66-3 62℃ 2B ○
  • 四塩化炭素 56-23-5 77℃ 2B ○
  • 1,2-ジクロルエタン(別名二塩化エチレン) 107-06-2 84℃ 2B ○
  • 1,2-ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン) 540-59-0 60℃
  • 1,1,2,2-テトラクロルエタン(別名四塩化アセチレン) 79-34-5 146℃ 3
  • トリクロルエチレン 79-01-6 87℃ 2A
  • 二硫化炭素 75-15-0 46℃
第2種有機溶剤
  • アセトン 67-64-1 56℃
  • イソブチルアルコール 78-83-1 108℃
  • イソプロピルアルコール 67-63-0 83℃ 3
  • イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール) 123-51-3 132℃
  • エチルエーテル 60-29-7 35℃
  • エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ) 110-80-5 135℃
  • エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート) 111-15-9 156℃
  • エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ) 111-76-2 171℃ 3
  • エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ) 109-86-4 125℃
  • オルト-ジクロルベンゼン 95-50-1 180℃ 3
  • キシレン 1330-20-7 138℃ 3
  • クレゾール 1319-77-3 191℃
  • クロルベンゼン 108-90-7 132℃
  • 酢酸イソブチル 110-19-0 118℃
  • 酢酸イソプロピル 108-21-4 89℃
  • 酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル) 123-92-2 142℃
  • 酢酸エチル 141-78-6 77℃
  • 酢酸ノルマル-ブチル 123-86-4 126℃
  • 酢酸ノルマル-プロピル 109-60-4 102℃
  • 酢酸ノルマル-ペンチル(別名酢酸ノルマル-アミル) 628-63-7 149℃
  • 酢酸メチル 79-20-9 57℃
  • シクロヘキサノール 108-93-0 161℃
  • シクロヘキサノン 108-94-1 156℃ 3
  • 1,4-ジオキサン 123-91-1 101℃ 2B ○
  • ジクロルメタン(別名二塩化メチレン) 75-09-2 40℃ 2B ○
  • N,N-ジメチルホルムアミド 68-12-2 153℃ 3 ○
  • スチレン 100-42-5 145℃ 2B
  • テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン) 127-18-4 121℃ 2A ○
  • テトラヒドロフラン 109-99-9 66℃
  • 1,1,1-トリクロルエタン 71-55-6 74℃ 3 ○
  • トルエン 108-88-3 111℃ 3
  • ノルマルヘキサン 110-54-3 69℃
  • 1-ブタノール 71-36-3 117℃
  • 2-ブタノール 78-92-2 100℃
  • メタノール 67-56-1 65℃
  • メチルイソブチルケトン 108-10-1 117℃ 2B
  • メチルエチルケトン 78-93-3 80℃
  • メチルシクロヘキサノール 25639-42-3 174℃
  • メチルシクロヘキサノン 1331-22-2 163℃
  • メチル-ノルマル-ブチルケトン 591-78-6 126℃
第3種有機溶剤
  • ガソリン 38~204℃ 2B
  • コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む。) 120~200℃
  • 石油エーテル 35~60℃
  • 石油ナフサ 30~170℃
  • 石油ベンジン 50~90℃
  • テレビン油 149℃
  • ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む。) 130~200℃
  • 注:上記有機溶剤が5%を超えて含有されている物質も該当します。有機溶剤かどうかわからない場合は、その製品に添付されるSDS(安全データシート)等により確認することが必要です。
  • 注:IARC(国際がん研究機関)の発がん性分類
    • 1:ヒトに対して発がん性がある
    • 2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある
    • 2B:ヒトに対する発がん性が疑われる
    • 3 :ヒトに対する発がん性が分類できない
  • 注:がん原性指針については9ページ参照
  • 注:上記物質名中、「クロル」は「クロロ」と表記されることもあります。

VOC は揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどが代表的な物質です。
製品から見て直感的には、「有機溶剤」と考えておけば良いでしょう。

経済産業省

塗装によるVOC 排出量の発生は21%

VOC の発生源として塗料・燃料・化学品・印刷インキ・接着剤からの排出で全体の78%を占めています。

平成27年の東京都内でのVOC排出量の発生源では、工場内塗装の8%と屋外塗装の13%で21%となり、塗装関連が全体のトップとなっています。

以下、印刷15%・給油等14%・クリーニング6%と続きます。

都内のVOC排出量の内訳

低VOC塗装施工 ハンドブックより引用

塗料中のホルムアルデヒドとフォースター(F☆☆☆☆)

ホルムアルデヒド化学式

塗料・塗装に関係する化学物質の規制は、建築基準法でホルムアルデヒドのみが規制されています。

ホルムアルデヒドはVOCの中で特に人体に影響が強い物質なので、平成15年の改正建築基準法の施行により放散の等級表示がされることとなりました。

これにより塗料その他の建材でF☆値でホルムアルデヒドの放出等級を表すよう自主規制が始まりました。

等級の一番安全な建材は4つの☆マーク=フォースター(F☆☆☆☆)が付き、下記のように表示をしています。

☆ホルムアルデヒド値の段階
  • F☆☆☆☆(フォースター):規制対象外(制限なし)
  • F☆☆☆ (スリースター):第3種発散建築材料(使用面積に制限あり)
  • F☆☆  (ツースター) :第2種発散建築材料(使用面積に制限あり)
  • F表記なしの場合は使用禁止

塗料のフォースター(F☆☆☆☆)

現在の一般塗料メーカーの塗料では、フォースター(F☆☆☆☆)以外の塗料を探す方が難しく、基本的にはホルムアルデヒド値的には問題無いものばかりです。

ちなみに関西ペイントの塗料183種類の内訳は、F☆☆☆☆が179種類に対し、F☆☆☆が4種類だけでした。
※F☆☆☆の塗料はかなり昔のものなので、現在使っている塗装屋さんはいないと思われます。

塗装後のVOCと換気

塗装後の換気

塗料が乾く間にホルムアルデヒドを含むシンナーや水などの揮発成分の放散は、通常は1日経過すると終わります。

つまり、塗料が乾いてしまった後でも継続して揮発成分が出続ける事はありません。

「塗料」では無く「塗材」の場合のVOC

漆喰で壁をDIYする女性

ただし厳密には「塗料」では無く「塗材」を使用している場合には、注意が必要です

「塗料」は液体を塗るもので薄いものですが、「塗材」は固まりを塗りつけるもので厚みがあります。

塗りつける層が厚ければ、中の揮発成分が放出されるまでには時間が掛かる場合も有ります。

低VOC塗料とは?

塗料の低VOC化への取り組み

塗料の成分からVOCを除くには、水性塗料で塗装することが最善です。

下記資料にあるように、塗料中のシンナー成分=VOC(有機溶剤)は半分程度もあります。

しかし、水性塗料の場合は4%程度にとどまりその差は歴然となっています。

水性塗料塗料からの溶剤(VOC)の蒸発

経産省 近畿経済産業局VOC排出抑制対策セミナー「低VOC塗料の現状と今後

室内塗装の安全な取り扱い方法

一般的には室内用塗料は「水性塗料」を優先して塗るべきです。

ただし、部分的な木部の塗装やカウンターなどのニス系の塗装等では油性(弱溶剤・強溶剤)の塗料を塗りたい場面もまだある可能性があります。

その際は業者の方とよく相談や確認をしてから作業に取り掛かるようにしましょう。

フォースター(F☆☆☆☆)のラッカー系ニス塗料はホルムアルデヒド値は低くても、昔ながらのキツイ臭いがします。
十分な換気が出来る環境作りが重要です。

また、どんなに「F☆☆☆☆」や「水性塗料」を選ぼうとも、施工時および施工後の換気、養生は大切です。

外壁塗装の安全な取り扱い方法

低VOC水性塗料

VOCの問題を考えると、外部でも「水性塗料」を優先して塗るべきです。

ただし、水性は塗膜性能が悪いといった先入観やこれまでの実績・金属・塩ビ・木部にはまだ不向きといったことから、比較的VOCと臭気の少ない油性(弱溶剤)塗料が外壁にも使われています。

シックハウス症候群の観点で言えば、外壁に油性塗料を塗る場合には、居住者全員への確認と合意が必須です。

もちろん、乳幼児やお年寄り、療養中の方がいる場合には、外壁であってもまずは水性塗料を検討するべきでしょう。

とは言え、建物全てを水性塗料で塗れるようにはまだ少々掛かりそうで、例えば雨どいや鉄部(トタン・ガルバリウム鋼板など)には油性の塗料が必要です。

金属屋根を塗る場合な面積が多くなりますので換気に注意が必要ですが、屋根表面から出るVOC成分は風に流されて自然に換気されてしまう部分も多いでしょう。

それ以外は大きな面積にはならないので気が付かない程度かもしれません。

【参考】 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制ガイドライン

VOCが引き起こす環境問題と取り組み

塗装が関わるVOCによる環境問題は、下記の2項目です

  • 光化学スモッグ
  •  SPM・PM2.5の発生源

順番に解説します。

VOCは光化学スモッグの原因物質

VOCは、大気中の光化学反応により光化学スモッグを引き起こす光化学オキシダントを生成する原因物質の 1 つとされています。

光化学スモッグ

光化学スモッグとは、光化学オキシダント濃度が高くなり、空が白く「もや」がかかったようなスモッグを指します。

光化学スモッグが発生する仕組み
光化学オキシダントSPM・PM2.5発生のしくみ
  1. 塗料の中に含まれるシンナー成分(有機溶剤=VOC)が大気中に放出される
  2. 工場や車からは窒素酸化物(NOx)が大気中に放出される
  3. VOCとNOxが紫外線のエネルギーを受けて反応する
  4. 光化学オキシダントが出来る(オゾン・アルデヒド・その他)
     VOCの一部は化学反応したものが凝縮や吸着・吸収されてSPM・PM2.5が生成される二次生成有機粒子
  5. オキシダント濃度が高くなりやすい下記の気象条件になる
    【日射が強い・気温が25℃以上・風が弱い・大気が安定】
  6. 上記の条件が揃うとスモッグ(もや)が発生する
  7. この状態を【光化学スモッグ】が発生している、という
  8. 光化学スモッグが発生しやすい状況になったときに
    「光化学スモッグ注意報」「光化学スモッグ警報」「光化学スモッグ重大警報」などが発令されます

VOCとSPM・PM2.5の関係

フィルターの繊維に捕捉されたPM2.5

引用:環境科学国際センター > ココが知りたい埼玉の環境 > 「PM2.5」ってどんな物質なの?

「SPM」という言葉は聞いたことが無いかもしれませんが、「PM2.5」なら聞いたことがあると思います。

SPMとPM2.5の「PM」はどちらも「粒子状物質」のことで、
particulate(パーティキュレート=微粒子の)
matter(マター=物質・成分)
の略称です。

【SPM】と【PM2.5】の違い
  • PMのうち10μm以下のものが「SPM=浮遊粒子状物質」として、1972年に環境基準が定められています。
    Sは(suspended:サスペンデッド=浮遊する)の略称です。
  • PMのうち2.5μm以下のものを「PM2.5=微小粒子状物質」として、2009年に環境基準が定められています。

SPM・PM2.5の健康への影響は、呼吸器から肺や気管支へ

血圧を計る女性と看護師

このように大気中の大気中の粒子状物質を大きさで区分する理由は、健康への影響に大きく関係するからです。

粒子状物質は人の呼吸器(口・鼻から入り気管、肺胞まで)に影響を与えます。

その気道は折れ曲がり分岐を繰り返し細くなり、その過程で大きいSPMは気道の上部に、細かいPM2.5は気道の奥まで達する割合が多くなります。

SPMの健康被害

SPMは微小なため、大気中に長期間滞留し気管などに沈着して呼吸器に影響を及ぼす

PM2.5の健康被害

PM2.5はSPMよりも肺の奥まで入り込むため気管支炎ぜんそくなどを起こす確率が高まります。

VOCに関係があるのはSPMやPM2.5など4種類の「粒子状物質」

PM2.5の予防でマスクをする女性

SPM・PM2.5には下記の4種類があり、塗料(VOC)に関係があるのは4番目になります。

さまざまな粒子状物質
  1. 黄砂や火山灰などの自然起源のもの(自然由来の一次生成粒子)
  2. 工場,自動車などから排出されるすすなどの人為起源のもの(人為起源の一次生成粒子)
  3. 植物(森林など)もVOCを多く出す(自然由来の二次生成粒子)
    参考:研究者に聞く!!|環境儀 No.40|国立環境研究所
  4. 大気中の(NOx,SOx,VOCなど)が化学的に変化して二次的に生成されるもの(人為起源の二次生成粒子)二次生成有機粒子

VOCとシックハウス症候群

病気の子供を抱っこする父親

「シックハウス症候群」と呼ばれているのは、新築やリフォーム後の家で「目がチカチカする」「頭やのどが痛い」「めまいや吐き気がする」などの体調不良の症状の総称です。

シックハウス症候群の症状・原因

シックハウス症候群の症状
  • 呼吸器障害
  • 中枢神経障害
  • はきけ
  • 頭痛
  • めまい

※発ガン性があるともいわれています。

シックハウス症候群の原因

シックハウス症候群の原因
シックハウス症候群の原因
  • 建材中の接着剤・防腐剤・塗料等からのVOCやホルムアルデヒド
  • 住宅の高気密・高断熱化などが進んだことで室内の換気率が下がり、化学物質による空気汚染が起こりやすい
  • 湿度が高いと細菌・カビ・ダニが繁殖しやすい
  • 一般的な石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出される
  • たばこの煙にも有害な化学物質が含まれている

※影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに影響を受けない人、敏感に反応してしまう人もいます。

このようにシックハウス症候群の原因は化学物質の他にも細菌・カビ・ダニなどもあります。

そこで厚生労働省では【建材・家具・日用品などから揮発されたVOC】のうち、シックハウス症候群の原因となる可能性の高い下記13物質について室内濃度の指針値のガイドラインを策定しました。

この指針値は、『人間が濃度の空気を吸い続けても健康に影響を及ぼさないと判断される値』とされていて、室内環境汚染の基準として利用されています。めました。

この指針濃度は【人間が吸い続けても、健康に影響を与えない】基準になります。

物質名室内濃度指針値※主な発生源
1ホルムアルデヒド100μg/m3(0.08ppm)合板、壁紙などの接着剤
2トルエン260μg/m3(0.07ppm内装材、家具などの接着剤、塗料
3キシレン870μg/m3(0.20ppm)接着剤・塗料などの溶剤
4パラジクロロベンゼン240μg/m3(0.04ppm)衣類の防虫剤やトイレの芳香剤
5エチルベンゼン3800μg/m3(0.88ppm)合板、家具などの接着剤、塗料
6スチレン220μg/m3(0.05ppm)断熱材、浴室ユニット、畳心材
7クロルピリホス1μg/m3(0.07ppb)防蟻剤
8フタル酸ジ-n-ブチル220μg/m3(0.02ppm)
但し小児の場合は0.1μg/m3(0.007ppb)
塗料、顔料、接着剤
9テトラデカン330μg/m3(0.04ppm)灯油、塗料
10フタル酸ジ-2-
エチルヘキシル
120μg/m3(7.6ppb)壁紙、床材、電線被覆
11ダイアジノン0.29μg/m3(0.02ppb)殺虫剤
12アセトアルデヒド48μg/m3(0.03ppm)建材、壁紙などの接着剤
13フェノブカルブ33μg/m3(3.8ppb)シロアリ駆除剤

VOCと大気汚染防止法

大気汚染に関して国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することなどを目的として、昭和43年に「大気汚染防止法」が制定されました。

大気汚染防止法では、固定発生源(工場や事業場)から排出又は飛散する大気汚染物質について、物質の種類・施設の種類・規模ごとの排出基準等が定められています。

規制を受けている主な物質の内訳は以下の通りです。

大気汚染防止法による規制物質
  • ばい煙
  • 揮発性有機化合物(VOC)
  • 粉じん
  • 特定物質
  • 有害大気汚染物質
  • 自動車排出ガス
  • 水銀

改正大気汚染防止法とVOC

大気汚染防止法の一部を改正する法律が平成17年6月1日から施行され、VOC排出の規制に係る規定は平成18 年4月1日に施行されました。

改正の目的は、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染を防止するためです。

その原因物質の一つであるVOCの排出及び飛散の抑制を図ることを目的に制定されています。

参考資料

主なVOC(100種類)と除外物質

VOCは数百種類あり具体例を挙げるとキリが無いので、代表的な100種類をピックアップしておきました。

番号物質名番号物質名番号物質名
1トルエン34エチルシクロヘキサン67トリクロロエタン
2キシレン35テトラリン68アクリロニトリル
31,3,5-トリメチルベンゼン36メチルアミルケトン69テトラヒドロフラン
4酢酸エチル37メチルn-ブチルケトン70エチレングリコールモノメチルエーテル
5デカン38クロロメタン71n-プロピルブロマイド
6メタノール39ベンジルアルコール72メタクリル酸メチル
7ジクロロメタン40シクロペンタノン731,3-ブタジエン
8メチルエチルケトン412-メチル-1-ブテン741,1-ジクロロエチレン
9n-ブタン42n-ヘプタン752,4-ジメチルペンタン
10イソブタン43ビシクロヘキシル76酸化プロピレン
11トリクロロエチレン44N,N-ジメチルホルムアミド77クロロホルム
12イソプロピルアルコール45trans-2-ペンテン78臭化メチル
13酢酸ブチル46cis-2-ペンテン79ジペンテン
14アセトン47スチレン801-ヘプテン
15メチルイソブチルケトン48N-メチル-2-ピロリドン811,4-ジオキサン
16ブチルセロソルブ49エチルセロソルブアセテート82アセトニトリル
17n-ヘキサン50ベンゼン83塩化アリル
18n-ブタノール51イソホロン84アクリル酸
19n-ペンタン52シクロヘキサノン85イソプレン
20cis-2-ブテン53エタノール86アセトアルデヒド
21イソブタノール54メチルシクロペンタン871,2-ジクロロプロパン
22プロピレングリコールモノエチルエーテル55酢酸ビニル88メチルセロソルブアセテート
23テトラクロロエチレン563-メチルヘキサン89エチレンオキシド
24シクロヘキサン572,3-ジメチルブタン90o-ジクロロベンゼン
25酢酸プロピル582,2-ジメチルブタン91クロロベンゼン
26trans-2-ブテン59メチルシクロヘキサン92ギ酸メチル
27エチルセロソルブ60イソプロピルセロソルブ93トリエチルアミン
28ウンデカン611,2-ジクロロエタン943-メチルヘプタン
29ノナン62塩化ビニル95フェノール
30プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート63テトラフルオロエチレン96ナフタレン
312-メチルペンタン64エチルベンゼン97アクリル酸メチル
32エチレングリコール65クメン98ジクロヘキシルアミン
332-メチル-2-ブテン66クロロエタン99ホルムアルデヒド
100エピクロロヒドリン

注1:本表は平成12年度における排出量推計結果に基づき排出量の多い順に配列した。 注2:物質名には通称を含む。

VOCではない除外物質として規定されている物質
  1. メタン
  2. クロロジフルオロメタン(HCFC-22)
  3. 2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)
  4. 1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC141b)
  5. 1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)
  6. 3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)
  7. 1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)
  8. 1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、他の【雑学・考察・豆知識】関連の記事も読んで頂けると有りがたいです。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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