バルコニー防水の種類の見分け方【初心者向け】

バルコニー防水の種類の見分け方【初心者向け】

この記事は【戸建て住宅の外壁塗装で、バルコニー防水のメンテナンスも考えている方】に向けて「バルコニー防水の種類や特徴」についてお伝えします。

バルコニーの防水性能を保つためのメンテナンスで大切な事は下記の3つのポイントがあります。

バルコニー防水のメンテナンス3つのポイント
  1. 防水の種類と特徴の正しい知識を得る(FRP・ウレタン・シート…等)
  2. 現在の劣化の状況を見極める(経年劣化のみ・不具合がある・新築時に失敗がある…等)
  3. メンテナンスの適切な方法を判断する(補修・塗装・何もしない…等)

ご自宅のバルコニー防水がどんな種類で出来ているのかが分かったら、次は今の劣化状況を確認し各防水ごとに適切な工事内容を選んでいきましょう。

目次

バルコニー防水の種類

バルコニー防水の種類
バルコニー防水の種類
  • FRP防水
  • ウレタン防水
  • シート防水
  • コンクリート(仮)
  • 金属防水

一般住宅のバルコニー防水の種類は、主に上記の5種類です。
それぞれの防水について、見た目の判別方法や簡単な特徴を解説していきます。

FRP防水の特徴と見た目

FRP防水

FRP防水とは?

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称です。
ガラスを繊維状にしたものを機材として樹脂で固めたプラスチックになります。

FRP防水のガラスマット

バルコニーが「FRP防水だと分かる」見た目の特徴

FRP防水の見た目の特徴の中で「ごく一般的なもの」を挙げてみます。

FRP防水の特徴
FRP防水の見た目の特徴
  • 色はグレーが多い
  • 表面はツルツルしていて硬い
  • ツルツルしていると滑るので、表面をザラザラさせている場合もある
  • 側面(立ち上がり)の表面に維状の模様が見える
  • 軽くたたくとコンコンと軽い音がする
  • 下地材がベニヤか石膏系材なので、畳の大きさごとの継ぎ目ラインが見えることがある

また、FRP防水の特徴で「たまに見かけるもの」も挙げてみます。

30㎝角の石が敷き詰められているFRP防水
FRP防水の床でたまに見るもの
  • FRP防水本体の保護のため、30㎝角の石が敷き詰められている事が有る(豪華仕様)
  • FRP防水本体の保護のため、石粒状の表面処理が施されている事が有る(豪華仕様)
  • 稀にグレー以外の色も有る(グリーン・ベージュなど)

FRP防水の特徴(他の防水材との違い)

FRP防水と他の防水材の違いをまとめると以下のポイントになります。

  • 現場で柔軟に形が作れること
  • 継ぎ目の無い(シームレス)防水が出来る事
  • コストは高め
  • 戸建てのバルコニー程度の小さい防水向き (広い面の防水にはあまり使われていません)
  • 種類は主に1種類

ウレタン防水の特徴と見た目

ウレタン防水

ウレタン防水とは?

ウレタン防水とは、弾力性のあるゴム系の防水材です。
液状のどろっとしたウレタン樹脂を2㎜程度の厚さで塗り、主にコンクリート下地の防水として使います。

ウレタン防水は粘度の高いゴム系の樹脂をコテで塗っていく

バルコニーが「ウレタン防水だと分かる」見た目の特徴

ウレタン防水は柔らかいので爪で押すと凹む(元に戻る)

ウレタン防水の見た目の特徴の中で「ごく一般的なもの」を挙げてみます。

ウレタン防水の見た目の特徴
  • 色はグレーやグリーンが多い
  • 表面はツルツルしている
  • 柔らかいので爪で押すと凹む(元に戻る)
  • 下地がコンクリートが多いので、たたいてもあまり音はしない

ウレタン防水の素材の特徴(他の防水材との違い)

ウレタン防水と他の防水材の違いをまとめると以下のポイントになります。

  • 現場で柔軟に形が作れること
  • 継ぎ目の無い(シームレス)防水が出来る事
  • コストは安め
  • ビルの屋上など広い面の防水で良く使われている
  • 色々な種類やグレードがある

シート防水の特徴と見た目

塩ビシート防水_完成

シート防水とは?

シート防水とは、弾力性のあるシートを貼っていく防水材です。
シートは主に2種類あり、塩ビシートか合成ゴムシートを接着剤や機械で固定します。

塩ビシートの表面

バルコニーが「シート防水だと分かる」見た目の特徴

シート防水の見た目の特徴の中で「ごく一般的なもの」を挙げてみます。

シート防水の見た目の特徴
  • 色はグレーが多い
  • 1m幅程度でシートの合わせ目が直線状にある
  • 表面に凹凸柄が有り、滑り止めになっている
  • 隅の立ち上がり部分が緩やかに折り込んで曲げられている

シート防水の特徴(他の防水材との違い)

シート防水と他の防水材の違いをまとめると以下のポイントになります。

  • 現場で柔軟に形が作れないので広くシンプルな形状の防水面に向いている
  • 継ぎ目が出来る
  • シートの厚みが均一なので、職人による施工の誤差が出にくい(合わせ目処理だけ)
  • コストは安め
  • ビルの屋上など広い面の防水で良く使われている
  • 鉄骨造の建物で多用されているが、木造ではほぼ使われていない

コンクリート防水(仮)の特徴と見た目

コンクリート防水(仮)

コンクリート防水というのは無いのですが…

便宜上コンクリート防水と書きましたが、実際はコンクリートでは防水出来ません。
本当は防水していないので、タイトル上は(仮)としました。

実はコンクリートの下に防水層があります。
その防水層を保護するためにコンクリートを載せているのです。

コンクリートの下にある防水層の種類

コンクリートの下にある防水層にはどんな種類があるのでしょうか?
一般的なものを挙げてみます。
(見えない防水層が何なのかを確認するには設計図面が無いとおおむね無理です)

コンクリートの下にある主な防水層
  • シート防水
  • ステンレス
  • アスファルト防水

コンクリートが見える防水の特徴(他の防水材との違い

コンクリート防水の目地


現状でコンクリートが見えているベランダと他の防水の違いをまとめると以下のポイントになります。

表面がコンクリートになっている防水の特徴
  • 目に見えている下層に必ず何かの防水層がある
  • コンクリート表面のヒビ割れは基本的に防水に関係無い
  • 下層の防水層の寿命の目視判断が出来ないので、20年程度で表面防水に切り替える必要が有る
  • アスファルト防水+コンクリート工法はビルの屋上で多用されている
  • 木造ベランダがコンクリートの場合、防水層は概ねシートかステンレスが多い

コンクリートが見えない事も多い

コンクリ防水の再防水はウレタン防水+脱気筒が多い

コンクリート防水をメンテナンスすると、コンクリートの上から防水やり直す事になります。
つまり元々のコンクリートは見えなくなってしまいます。

コンクリートの上に防水をする場合、基本的には上記「ウレタン防水」をする事がほとんどです。

元々コンクリート防水だった上にウレタン防水が施工されているかを確認する簡単な目安は【目地の跡が見えるか?】と【脱気筒が付いているか?】になります。

金属・板金防水の特徴と見た目

金属防水

金属・板金防水とは?

金属防水は、薄い板状の金属(=板金)を折り曲げ・加工してバルコニー床面から浸水しないように囲う防水工法です。

バルコニーの床が金属だった場合の板金の種類

床に金属が見えている場合で、板金の一般的な種類を挙げてみます。
※以下金属=板金と表記します。

板金防水の素材の種類
  • 塩ビ鋼板(鋼板にポリ塩化ビニール樹脂をコーティングしたもの)
  • ステンレス
  • ガルバリウム鋼板
  • カラートタン

板金防水の特徴(他の防水材との違い)

金属防水(塩ビ鋼板)の劣化の症状


板金防水と他の防水材の違いをまとめると以下のポイントになります。

板金防水の特徴
  • 板金を加工するため折り目が直線の防水面になる
  • 床面に板金の継ぎ目が出来る
  • 板金の錆びが耐久年数に直接関係する
  • 塩ビ鋼板製の場合、塩ビ内の鋼板が錆び出すとその後のメンテナンス対応がかなり難しい。
  • 板金防水を作れる板金職人=技術者がいないので、今後増えることは無く、仮に作ろうとするとコストは高くなる

まとめ

以上でご自宅のバルコニー防水の素材が判断出来るようになりましたら、続いてそれぞれの防水材ごとの【現在の劣化の状況を見極める】に進みましょう。

バルコニーは雨漏りの危険は屋根よりも多い場所です。
また、外壁塗装工事よりも専門性が必要なので、適切な工事を行える職人があまりいません。
もし知識の無い業者に依頼してしまうと、不適切な工事をされてしまい「工事をしない方が良かった」という事にならないよう注意が必要です。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事では下記の点についてまとめてみました。

この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。

興味がありましたら、その他の【バルコニー防水】の記事も読んで頂けると有りがたいです。

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この記事を書いた人

塗装職人の2代目・職人15年・外装会社経営15年。塗料や塗装の知識・業者選び等…正しい情報を分かりやすく発信します。このサイトの目標は「誰もが適切な診断と良い工事が出来るようになる事」

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